使い古されたピアノが一台
早朝の小さな港から
出航する
ピアノの幅、奥行、高さ
しかもたないのに
言い訳をすることなく
ただ外海を目指していく
誰もが自分自身のことを語りたがる
....
雪が降っている
ゆっくりと
確実に
地面に
森に
山に
田畑に
人に
犬に
家々に
音も静かに
きちんと降りてくる
そんな様を見ている
景色が
無音の白にな ....
昔、
浜辺に白紙が漂着した。
それは昨日、
ぼくが君に貸した
本の一ページだった。
文字はおろかシミさえ無くなっていて、
大海で起こりうる時間の消失を
実証するのに充分だった。もしくは、 ....
シートに座る前からメーターはColdを振り切っていた
それでも彼は
あたしを見捨てない
朝がくるまでに
悪いことしましょ
朝がくる前に
悪いことしましょ
願いごと叶えてあげるわ
悪魔のKissしてあげるわ
朝がくるまでに
悪いことしましょ
....
多摩川に架かる鉄橋を渡りきる頃
メールの着信を知らせる携帯の光が走る
両親も恋人と認める彼からのメール
簡潔な朝の挨拶に優しさ溢れる短いことば
先輩は幸せ過ぎるから
傍から見ると憂鬱 ....
まわる まわる
くるくるまわる
世界はまわる
今日も停まることなく
くるりくるりと
目がまわる
この世界には
たくさんのことがありすぎるから
流れは知っていた
ただ、それを変えることが出来ない
捨てられない
せめて渦の中にいたいのに
手を拒み続けた罰、でしょうか
あなたが 空が大好きだから
わたしも 空を見上げる機会が増えました
空の色とか 雲の形とか
興味なかったけど
あなたが 嬉しそうに語るから
いつのまにか わたしも
空の 表情や 機嫌が 気にな ....
ただ、好きなだけじゃダメなんだ。
力も何も持たない僕は。
ただ、頷くだけ。
ただ、頷くだけ。
ただ、頷くだけ。
好きなら、想えば良い。
それだけ、だけど。
大 ....
ぴしぴしと波打つ様な雨
大きなツリーから
延びた電飾に絡まりぶら下がる星
風に揺れている
昼間の電飾は滑稽だ
雨に濡れ風に揺れればなおさら
揺るがない憩い
揺るぎ無い寂しさ
人 ....
妹が嫁に行くのですよ
あれは妹が3歳ぐらいのことだったか
サンタクロースがやってきたとき
母にしがみついて 泣きじゃくってた あの娘が 嫁に行くのですよ
「幸せにしてもらえよ」と言 ....
春 夏 春 と ずっと繰り返すものなんだと思ってた
彷徨って 流離って 笑って
早く眠れば良いのに 睡眠不足のくせに
ひとりきりの部屋で 誰に中指たててるの
水分補給も ....
何気なく
瞳がとらえたカラー
まばたきを拒んだ時間に
荷物を忘れて来たのかな
イイ顔して笑ってる私が
ガラス越しに見えた
豊かさの中で
ぼくたちは泣いている
ほしいと思ったものが
いつでも手に入るから
いつでも捨ててしまう
持つべきものがなくとも
誰かが持ってきてくれる
便利さだけでは
豊かに ....
私は祈っている
シナモンロールをフォークとナイフで食べることの違和感を覚えながら
私は気づいている
届くようにという願いの半分以上は届かない
私は祈っている
と ....
乱視の僕の世界
蝿のざわめく青空
蟻のうごめくアスファルト
猫の舌の様に泣いてみた
懺悔はトイレで吐くのがエチケットで
飛ぶ鳥が落ちるのを願うのが祈りで
神様は武装して何処へ?
子供 ....
何気なく「おはよう」なんて言わないで声が震えてオーバーリアクション
初デート肩を並べて歩いてもあなたの歩幅は速度オーバー
長電話疲れてるんならやめればとオーバーオールのあのこが唄う
....
棚の上を 覗く
踏み台をしつらえて 登る
確か 神棚があったように思う
古めかしい 品々が出てくるのか
その事は 成りゆきまかせ
棚の上を背伸びして
覗くのだ
手探りで
....
あのね
そのね
きみのかたがね
すごくふるえてるのが
わかったから
わたし
あのとき
あなたがしんけんなんだってわかったからね
もういい加減なこと
してた ....
まっしろな四角い小部屋に
ひとり 丸くなって
ピンク色の魚たちに触れる
やわらかなユビサキで
そっと 溶けていく
ように
そこにある
確かに存在する
....
紅葉は
いのちを透かしていた
紅葉は
金属の錆びのようにも見えた
いのちは
金属の錆びではないのに
ぼくの心は
窓を開けると
外はさめざめと
雨降り
灰色の空と 灰色の空気が
僕の部屋の中に充満していく
僕は なんだかまた
例の不安の波が押し寄せてきているらしく
なんだかまた 泣きべそかきそ ....
僕は手紙を書きましたが投函できず
結局その手紙は引き出しの中に沈んで行きました
そうして毎日引き出しの底から
静寂を運んできました
僕は海に行きました
青いハーフパンツの水着を持って行き ....
大好きな、あの人と同じ位置に ホクロが欲しいの
左眼の下 ナミダボクロ
削って尖らせたエンピツを グサッと刺して、ポキッと折って
私も ホクロをつくったわ
これ ....
枝の端に
咲きぬ君に目もくれず
落ちたその時
恋初める僕
青でつながってる
どこにいるかも解らぬあなたへ
ひさしぶり だね
わたしもしばらくここへ来ていなかったし
あなたももしかしてきっと ここへはもう来ていないのかな
だからいえる
「ひさし ....
満天の星空を仰ぎ
潮の音を耳にして
灯台の光が眩しい
ちっぽけな自分が
くしゃみがでた
なみだがでた
はながでた
世の中は冷たかった。
南天の実が一つ
鳥が飛び
落ち葉
....
冷たい夢 もわんもわん
目覚めの悪い 午後二時
休みが不定期な君に
あわせてとった有給休暇
綿密にたてたデートプラン
直前になって水の泡
しかたのない理由
優しく受け入れるの ....
古い油紙に
絵を描いては
町をふらつくから
落として
何度も
太陽のもとで
水たまりに
浮かぶそれを拾って
濡れた絵は
ぼやけてしまうので
また
晴天 ....
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