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赤茶けた透明な木々が
大きくて清々しかった
あの清洌の真下を歩く
歩いている
それが紙をめくられるようにちぎられる
ぼくは夢を見ていた
あのひとに昨晩
祖国の秋について話したからだろうか ....
あなたにされていることを浮かべていた
生きたままナイフで切り裂かれるようだ
ぼくもおんなじことをしていたのだろう
あなたは戦線を離脱してしまったけれど
ぼくはなんとか踏み留まって堪えている
....
ねえなぜ
朝になりそうな夜
電気がついていたの
星が冴える
月が煌めく
ぼくの全てが回転する
なぜ
どうして
朝になりそうな夜
透明になるの
....
いちねんのうち
ひょっとしたら三分の一はホテルだ
芸能人でもないのに
いや、たしかに芸能人にはよくあう
でも、芸能人でもないのに
しんとした部屋
街の音が入ってきている
地球がまわる音 ....
粗雑な人生の
粗雑な吹き溜まり
サヨナラ出来ない
このサヨナラ
茫々とした
ひかりと雲が
茫々とした
前途をてらす
粗雑な人生の
粗雑な吹 ....
孤独の質はおなじでも
住んでる世界がちがうから
かけらの位置はおなじでも
おたがい鍵ではいられない
涙の音がする
声の匂いがする
秋の風が
微笑んでぐるり ....
こうしたらこうなる、
それは幻想だ
そんな思想に価値はない
自然に身を任せることが
むずかしいのは
この幻想にとらわれているからだ
谷間のひかり、のような幻想、 ....
ひかりは
ぼくの目にひかる
未来からか
過去からか
異界からか
もう秋なのかもね
夏から熱を
すこし引いただけで
ひかりは
ぼくの目にひかる
....
大好きは
どこから来るんだろう
どこから来て
どのくらい滞在するんだろう
有限世界、このことわりのなかで
あとどのくらい
こんなこと考えていたら
きみに
....
東京の街路樹では
幾種類ものセミが鳴いていた
夏の時が豊か、だった
品川プリンスの坂をあがる
湿ったアスファルトの匂い
木々のひんやりとした匂い
いまからきみに ....
欠けたピースは
故障していて
だから
覗ける
希望があった
白い帽子被って
裏切りのない
五月の
風には
灰色の影には
欠けたピースは
....
街にほどかれて
悲しみがほころんで
ふらついていた
悲しまない
悲しむまい
どこかで僕らは
計られ
見守られ
さやかな風が運ぶ
なにを見た ....
夜風を、友よ、
ぼくは、青春と呼ぼう、
黒の日だまりのなかで
ひとりを抱えて
自転車をこいでいる
いくつか光を過ぎて
セルロイドみたいな
外灯のそばの新緑 ....
オレンジに闇が曳かれ
精神のカルテ
群青に染まる
僕らかけがいのない宙
地球での
それはお話しか
死ぬまで
生きているのか
オレンジに闇が曳かれ ....
どうでもいいような
純情を
世界にまきちらしといて
それはないだろう
オレたちがいなくても
世界はまわると、知ってはいるけれど
世界がまわると、知ってはいるけれど
....
いのちに寄り添えば
なんでこんな哀しいのか
外灯がけぶってます
希望、
寂しい、
胸を
見つめた
いのちに寄り添えば
なんでこんな哀しいのか
....
春になると
知らない街の匂いがする
それと
なつかしい匂いもする
人の心にはなれない
だからたくさんの
心をつくってゆくのだ
きのうは啓蟄だった
お ....
好きの定義はわからないけど
目を赤くさせながら
メールのやり取りをしている
セックスがゴールなら
そうではないと教えるだろう
月はまるいというけれど
ちがう光のかた ....
放った光で
きみのすべてを
てらしたい
裸のなかみは
かなしみでも
嘘でもかまわない
まぶしい。
だいすきすぎる。
あなたは。
放った光で
きみのすべてを
てらしたい
裸の ....
どこからか音がしている
いまから探しにゆくんだ
ぼくらがはぐれた場所を
孤独がしみてくるよ
バイク、トラック、バス
クルマなのかどうか
どこからか音がしてい ....
もう二度と
会えなくなるひとなんて
ほんとうにいるのだろうか
この有限世界から
ぼくらはなにを失うというのか
慟哭の朝の光に
普通の日々が重なってゆく
もういちど問う
もう二度と
....
雪が散り舞う
気の遠くなる場所から
此処まで君らは降りてきた
君らが人間なら
乾杯といきたいところだ
どうやって来たんだ、
重力で来ました、
途中大変だっ ....
かなしみは
ひかって滴りやまない
目がにじむ
結晶
それはあなたと
永訣するその夜だった
かなしみは
ひかって滴りやまない
目がにじむ
結晶
それはあなたと
永訣するそ ....
こわいです
うすらこわいです
蛍光灯の無機質さ
でもあるんです
あるんです
そんな無生物だけが
ぼくをなぐさめるということが
オレンジは青で汚れている
影絵のような駅舎をすぎる
夕暮れはだれかのカルテだ
西方の空が
光ではないもので
輝いている
オレンジは青で汚れている
影絵のような駅舎をすぎる
夕暮れは ....
景色はぼくを過ぎてゆく
ぼくを残らず消しこんでゆく
集落の瓦屋根が白く輝く
いくつかトンネルを抜ける
市街地の中層ビルが白く輝く
いくつかトンネルを抜ける
山間 ....
のっぺりとした入江だった
寒風にやられながら
煙草に火をつけるがうまくいかない
生活をまえにして
異邦人の俺はカチャカチャやっていた
目的がでっかすぎると
手段が目的になってしまう
反 ....
めぐる
メリーゴーランド
そばにいて
夕日も見えない
孤独は動詞のようで
めぐる
メリーゴーランド
少し痛みに
さよならをして
天国は動詞のようで
ふざけんな
アスファルトに
....
郵便ポスト、その赤
狭い歩道、低い街路樹
助手席から、眺めている
くんっ
はっ!?
くんっくんっくんっ
鴬じゃねえかっ!
郵便ポスト、その赤
狭 ....
おんなから
そんなこと言われりゃ
逆ギレするしかないわけで
逆ギレしたところで
それはふたりの
延命装置でしかないわけで
寒が山を薄くしている
アイドリン ....
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