浮き輪がなくなっていて
気づいたときには
けっこう遠くまで流されていた
風がきつかったからかもしれない
お父さんがちょっとだけ顔色をきつくさせてから
でも勢いよくむかっていった
わたしと妹 ....
ひと足踏み入れば
彩る花弁の甘い香りが
しあわせの時を与えてくれる
いつの日も
六月の雨に濡れている足が
軽やかに茨を縫って進み
見え隠れする背中を追う
赤い薔薇、白い薔薇、あなたの ....
抱き締めて
抱き締めて
抱き締めて、よ
君の風邪なら幾らでもうつしてくれて構わない
キスをしようよ
最近、君が半袖を着てくれる
付き合って1年10ヶ月の私でさえ
今まで4、5 ....
{引用=「序」
万華鏡に
甘い想い出だけを そっと詰めて
くるくるまわして のぞきこむ
金平糖のじゃれあうような
さらさらした音がはじけて
あまりの甘さに 歯を痛めて ....
思い出の残骸が
懐かしさという形で
たむろする畔
平気な顔で笑えるようになった昔を
織り交ぜて偲ぶ時間は
秒針に静寂を傾けながら
絹を編み始めた
繊細さのたゆたう
か細い枝を広げ
撫でる髪
面影を ....
夏の交差点で
朝に出会ったのは
真っ赤なトマトと
黄色のトウモロコシだった
トマトはトウモロコシの甘い匂いに
胸がきゅんとなって
さらに赤くなった
夏の交差点で
昼に出会ったのは
....
僕は浜辺から海を見つめていた
人々は海で泳いだり波打ち際ではしゃいだり
楽しそうで眩しくて僕からはとても遠い
波の煌めきやしぶきが飛ぶ様をぼんやりと眺めていた
僕だけがここに取 ....
ぽくぽく歩き
ぽくぽく休み
どんな時でも
咲かすよな
無造作に
繋いだ手が
日溜まりに映える
優しい鼓動が
君まで届くように
ぎゅっと強く
握っていた
季節の色彩が
....
僕らがまだ何も知らずに
無邪気に笑っていた頃
太陽はいつだって暖かく
幸せのひかりを注いでくれた
雨はいつだって優しく
恵みの飛沫を降らせてくれた
いつからだろう
眩し ....
爪先がそっと
水鏡を優しく犯して
小さな波紋たちが
ちゃぷちゃぷと揺れている
指の腹でなぞった
かたつむりの足跡は
今はもう
乾いてしまった
抜けるような空は
白と ....
今日、いつもあるべき所に
自転車がなくなっていた。
いったいうちはどうやって家に帰れというのか
誰かとしゃべりたくなったのか
携帯で妹に電話してそのことを伝えたら
「あほか、そんなん盗 ....
陽射しを包み込んで
柔らかい手をした
風が
頬を撫でる
気持のよいそよ風
抱きしめてあげたい
その温もりを感じて
応えてあげたい
その優しさに感謝して
風は黙って ....
変わっていく君が怖くて
ボクは逃げた
置いてかれる僕が醜くて
キミは笑った
ぼくはね、何も変わらない
不自然な自然体
卒業、あれから
もうすぐ
はっぱがね 雨でぴてぴて おちてきて
どうろに ぺたり
はりついた
きをつけの しせいで伏せる はっぱたち
もう帰れん もう
親の木に
風吹いて とばされてても
おぼえてる おぼ ....
「大丈夫だよ」
あなたの言葉が不安定な気がして
水面に浮かべたら
あっという間に沈んだ
「俺に任せろよ」
あなたの言葉が乾いている気がして
地面に落としてみたら
....
こころは今、穏やか
あの頃にみた
夏の坂道で
一斉に立ち昇る綿毛
花が行く、
歩き急がないで
だけど抑えられないのは
高揚
澄んだ青に
フォルテを描く
ステップを踏む、つま ....
プラットホームに無数に付けられた
チューインガムの黒点が
未熟な夏の気温を
幾分か下げている気さえして
ぎんいろの屋根に逃げ込む
そこから視界に飛び込む紫陽花の
無防備な一片は
まだ ....
おとうさん
ぼくが生まれたとき
祖父母が ぼくを溺愛し過ぎるから
「このままでは息子がダメになってしまう!」
と
滋賀県移住を本気で考えたそうやなぁ
もし ホンマに滋賀県に引っ越し ....
駅までの道を雨の中歩いていて
改札に入ろうと財布から定期券を出して手に持って
けれど指からすり抜けて濡れた道路に落としてしまって
だから拾おうと僕はしゃがんで
水の流れるアスファルトを爪で引っ ....
ひどいことを
じつにさらさら言い募った後で
ごめん
あたし、
心を病んでるの って
えもいわれぬ大噴火を
だから布団に叩きつけた
ごめんな、
お布団
一 「ミッシング・ピース」
手渡されたたった一枚の
欠けた切符のように
行き先でもなく
日付でもなく
空白のはずなのに
それ以上に大切なものを
どこかに忘れたまま
....
近頃やたらと
涙もろくなっちゃった
なんでかな
自宅で映画の予告編を眺めていても
気がつくと
ぽろぽろしている
自分に気付く
やっと梅雨入りしたんだってね
紫陽花は
お隣 ....
「がんばりました」
とても短いけど
私の学校での一日の感想です
毎日ノートに書いて
お父さんかお母さんに見せます
そしたら何でもいいから書いてもらって
次の日に先生に渡します
毎 ....
おんなの子が 銃を
ぶっ ぱなしているけれど
おとこの子の 詩のほうが
弾丸よりも はやく
相手に 届いている
関連作品→http://po-m.com/forum/showdoc. ....
この宇宙のどこかで 広がる景色は
どれだけの時間を 刻み込んでいるの
海の底に沈む 悲しい歴史は
変わらない気持ちを 物語っているの
真実の愛も 錆びついてしまえば
嘘に変わ ....
緑の山に響くのは
わたしの声か 呼子鳥
夏の滴りに濡れそぼち
わたしはわたしを呼んでいる
遠い風に乗り響くのは
わたしの夢か 呼子鳥
それともあのひとのささやきが
わたしの耳もと ....
眼鏡が曇って
それがなんだか気持ち良くて
梅雨っていいものかもしれないなんて
思ったりして
ふざけあいすぎて
ほころんだ気持ちを
梅雨の雨は優しく包み込んで
梅雨 ....
ひくく香りは 風の帆を駆け上がり
瞑っているもやの巣の中
はやく運ばないと
息を つのらせてしまうから
どこかに隠れていた
泡の綿帽子が
ささやきを運んでいく
祝いのメロディのなか
少し照れたおまえは
肩をすぼめて優しくゆれている
ななつのロウソクの灯を
遠く、近く
瞳に映して
{引用=
おまえの生まれたときを思い出すよ
(パパ、気絶しち ....
六月の湿度が肩に降りつもる
いつかの唇のように柔らかくあたたかく
黒髪にからみついた結晶
はじけて香る 夕立
銀色の坂の向こう
ちいさな教会の鐘の音がする
ふいに横切る上りの急行
....
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