旅先の田舎のベンチで
君の名前を見つけたよ
夏子
いつたい誰が 断りもなしに
君の名前を書きつけたりしたんだ
(こんな色褪せた おんぼろベンチの
背凭れに 乱暴な稚拙な字で ....
さびしんぼうは
自分にふたをして
こみあげる感情を殺し
涙を流さない
自分まで騙している事を
自分で知っている
本当はね
さびしんぼうは
今日も道端のあちこちに
一つ二つと落 ....
おいしいもの
きみと一緒だと2倍おいしい
だってほら
ひとりじゃおいしーって叫べないし
ひとくちちょうだいって
おいしいものふたつ味わえる
きれいな景色
きみと ....
新幹線の方が楽だろうに
母はいつも
鈍行列車にゆられてやってくる
孫娘の成長のたびに
少ないけど
と、袋を差し出す指先は
黄色く乾いている
風邪ひいてないか、とか
おまえは季節の変 ....
なぜ湖がよいのか
一望にできる姿をしてゐるから
瞳のやうに澄んでゐるから
四囲の風景をとかして
もう一つの世界をつくつてゐるから
おそらくそれら諸相に根ざして
....
床に線を引いて、
彼女は国境を決める。
彼女はとても怒っているので、
とっても横暴に決める。
彼女は地図を作ったので、
ぼくらの部屋は地図になった。
彼 ....
僕の
親友の
奥さんの
親友の
弟が江頭2:50
つまり
彼の
姉さんの
親友の
だんなの
親友が
おれ
ここは田舎町だから
電車の中はいつもの様子
ポツンポツンと
どこに座れば良いのか
迷ってしまう
どうせ辿り着いてしまう
ガタンゴトン
揺れる
窓の外には
見慣れているという
さ ....
ママが死んだの
私が高校を卒業して間もなく
ママが死んだの
ママと二人だけで生きてきたのに
そのママがこの世からいなくなってしまったの
ママはパパのことを私に教えてくれなかった
私 ....
もういいかい。
まあだだよ。
もういいかい。
まあだだよ。
もういいかい。
もう探してもいいかい。
もう見つけてもいいかい。
探すことで見つかる程度のことを、
もう探し ....
今あなたが見ている空は
どんなにがんばっても
裏側までは見ることができません
けれども
その裏側を想うことは
できるはずです
今あなたが見ている人は
どんなにがんばっても
心までは ....
輝いたダイヤモンドのような1日は
毎日訪れるものではない
毎日をダイジに生きろと言われても
時間は無情にも過ぎていくもので
止められるものなら止めたいと何度願ったことだろう ....
婚約指輪を失くしました。
大切にしたくってトイレの後、外して手を洗いました。
そしてそのまま忘れてきてしまったの。
30分後に電車の中で気づいたの。
心臓がド ....
息子(小3)が「学校行きたくない」と言ったのが今年の7月始め。話を聞くと、「死ね」「この世からいなくなって」「うざい」等の言葉の暴力、身体の方はあざなどないけど、しょっちゅう蹴られたりこずかれたりする ....
人を好きになるのは、目に良いこと。
互いに目を見つめ心を読み合う。
昼に二人して野を歩けば、 ....
◇光
雪山には
光が爆発してゐる
人影はなく
光の爆発はつづいてゐる
◇粉雪
粉雪がさらつてゆくものは
甘い想ひ出と
酩酊
ちりち ....
かみ合わない歯車に、また少しだけ時がずれる
秒針のきしみは それでも
壊れたメトロノームのように 私を、
追うから
逃げ込んだいつかの雪原で 私は、
細雪がわずかに切れる夢を見た
....
戦争を知らない子どもたちが
大人になって
大人の信用を知らない子どもたちが
大人になって
戦争を知らない子どもたちを知らない僕等は
髪の毛が茶色いと許されないなら
携帯電話を持つと許されな ....
見て。
これが 不自由。
そして
あれが 自由。
ね。
怖いぐらい紙一重でしょう。
だからきっと
人生ってものが 作られたの ....
いま生きているんぢゃない
老いぼれただけだ
老いぼれただけぢゃない
恵まれているんだ
恵まれているだけぢゃない
赦されているんだ
赦されているだけ ....
市場通りに一尾の魚が落ちてゐる
眼は赤く悲しげに潤み
視線を曇天へと彷徨はせる
そして
路面についたもう一方の眼は
闇の地の深みを透視してゐる
魚は期せずして
天国と地獄を
同 ....
少しずつずれた紙の束を。揃えようと焦る
指先が乾くからまた少しずれてゆく、それを
ありふれていると笑いながら言の葉と呼び合った
ふたり
絶え間なく淡い音で空隙をう ....
森の中を歩いていた
何かを探しているわけでもなく
何かに追われているわけでもない
ただ単に 森の中を歩いていた
しばらく歩くと ある空間に辿り着く
おそらくは森の中心なのだろう
大きく空が ....
もやもやとココロうずき。
タバコやめたいなと吸いながら熟考す。
現状を変えるとは自分が変わることか。
空の青さに訳なんてないのに。
もやもやとココロうずき ....
風に
どこまでゆくの?
と尋ねたら
わからないけれど
吹けるところまで
と返事をして
どこかへ行ってしまいました
雲に
どこまでゆくの?
と尋ねたら
わからないけれど
....
どんなときだって
それだけで元気になれるんだ
―冬が来る前に一同集って
旧交をあたためようぜ―
Zからこんな招待状が舞い込んで
まあ、行ってみるか くらいの気持ちで
出かけていった
Zは中学時代の番長で
苛めっ子だった
俺はいつ ....
優しさとは人を信じること
温かい気持ちで素直に接すること
温かい交流はいつまでも繋がる
お互いに幸せになれる
利害や損得なんて関係ない
楽しく気持ちいい関係
....
コルクにあわせた
瓶などないのに
飲み ほしたら
捨て去られるだけなのに
杖のように立って
流れていかないように
静かに仕事をしている
歌われないことなど
気にもしない ....
ある日
少年の中に
戦争が充満する
少年の中に
潮騒が充満する
少年の中に
愛情が充満する
少年の中に
故郷が充満する
ある日
少年の中に
憎悪が充満 ....
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