{引用=
かりそめの
さようならに
わたしを
儚い者
と呼ばないでください
宴の余韻に身を任せ
ただこのまま
眠りにつく
しばしの別れ
夢を見る
子供の頃
夢の無かった ....
百年前、砂浜に寝そべっていたら
「カニだー」と言いながら幼女がわたしをつまみ上げた
「カニじゃない!」と一喝すると
幼女は両親の元へ泣きながら戻っていった
怒らなくても良かったかな、と少し反省 ....
僕らはさみしい子供だから
間違いだらけの夜更けの中で
雨の音を聴いている
最近雨が好きになったのだと
君は言う
明日も雨が降ればいいねと
僕は言う
壊れたテレビを何度でも
....
1
・
・
羽虫の亡骸が
そらに・うかんでる
・
・
・
親指と
人差・指でつまむ・
....
嫁の腹が日に日に膨らんでゆく。
検診に行くたびに倍の生命力で大きくなってゆく。
嫁は四六時中続く気持ち悪さを懸命に我慢している。
風邪を引いてもなるべく薬を飲みたくないという。
嫌いなニンジン ....
何人目かのオンナが踊っていた
純粋だった景色も
捨てられた新聞紙のように
風に吹かれ、転げてゆく夜の雑踏
街は痛みも
嘲笑で、もて遊ぶ
ナマあたたかい酒を知り、
....
祖父が昨年末に亡くなった。
それから、祖母はひとり暮らし。
正確には、ひとりと犬一匹と暮らし。
僕の身内で詩なんて書く人はいないと思ってたのですが、
祖母が昔から短歌を書いていたことを最近 ....
ふれたいの
手も髪も、声も視線も
くちびるも、指も肩も
全部、
ホントはね、
ふれたいの
なれてないから、
....
桜の花が散り始め
新たな春の姿見え
時の移りに風が舞い
生まれる夢も空に浮く
梢の先が萌え始め
出てくる春の命見え
時の香りに風が飛び
羽ばたく夢も空をゆく
緑と白のこの色は
....
コカ・コーラの瓶ボトルを
一日一本並べていく
コカ・コーラは好きじゃない
だから中身は飲まないまま
飾っていけてちょうどいい
たまには飲む日もあって
少し飲んだもの
半 ....
全身が侵されていく
あなた色に染まる
濡れて、蝕まれていく
あたしは真っ白なパン
プラットフォームのうえで
学生が夕焼けにさよならしてる
桜色の空の真ん中では
ぐるぐるトンビが廻ってる
ぼくは君がくれた
読みかけの詩集を閉じて
琵琶湖と比 ....
夜空に見える、という
星座ってやつが
点在する星をつないで
こころでみる絵画だった
とは、しらなかったころ
僕は君の名前を
まだしらなかった
君の名前を
まだしらなかったころ 僕は ....
メガネをはずした
わたしの素顔
おとこのひとにはじめて見せた
胸ボタンの間にネクタイを押し込め
腕まくりした。あなたは
同僚を叱咤激励して
そんな。あなたに恋焦がれていた
それで ....
上がったり下がったり
俺の心の温度
行ったり来たり
俺の旅路
どこに向かうかなんて考えるのは止めにした
自分の位置を知りたくて
確認するのももう面倒くさい
ただ今を生きることにし ....
{引用=註)まず、めちゃめちゃ長いと思うので時間がない人は、時間があるときに読んでいただけるとうれしいです、そして、長くてごめんなさい、拝}
一
おれ ....
友達と呼ぶ時
少し気後れしてしまうが
知り合いと呼んでしまうのは寂しい
私に黄金町を教えてくれたのは五つ年上のKさんだった
女子高生が一人で歩くのは危ないよ
彼はそう笑った
駅の改札を ....
おまえの与えてくれる苦痛は
いつも、生ぬるい
絶望なんていう造形は
そんな光景じゃ、描写しきれやしないんだ
愛したことの罪と罰だなんて思考は
夜の帰り道じゃ、ちっぽけだ
....
君がまだ言葉をうまくしゃべれなかった頃
青空を指差しては「キー!」と叫んでいた
最初は何のことかわからなかったけれど
君の指差す方向にはいつも
飛行機が気持ちよく青空を滑って行って
....
泣きたくて 泣けなくて
母に手紙を書いた夜
滲むことさえ出来ずに
笑顔の文字が並んだ
「変わらずに元気です
新しい服を買いました
今度の休みに帰る
その時に着て行 ....
去年は、フェンスの内側から、
桜を見ていた。
今年は、フェンスの外から。
たった一年で、なにもかも変わった。
「この桜さえもなつかしく思い出す」
去年書いた文章。
....
帰宅ラッシュだった
階段で圧力に耐えかね
ひょろ長い女の背を
あわあわと胸で押してしまった
(押すなよおっさん!
おっさんではない
武士である
{ルビ法度=はっと}に ....
ひとりぼっちに
ならないように
鳴くことをおぼえた
あの日
どこまでも届けと
生まれてくる、こえ
書き付けられた
記憶ではなく
いま、あふれだす、こえ
ことばは、忘れないため ....
春の雨になりたい
あたし 春の雨になりたい
あなたはすぐに 春の砂にまとわれて
その嵐の中に {ルビ荒=すさ}ぼうと揺する
小さなオルゴールの中に
こころ を 忘れてきた ....
何処に行ったのか
何をしているのか
わかってる
確かに私は
ここ にいる
でもそれは
本意ではなくて
あなた を
待っている わけではなくて
ただ
打ちのめされて
佇んでいる ....
あなたを通り過ぎた風は
凪いで
睫の高さで追いかけていた
ニ歩先の肩甲骨と
くしゅん、と鳴った鼻
とのあいだに、置いていった
指先にのせて飛ばした
内緒のくちづけの形をした
ふ ....
夏にして 君と出会い
秋にして 君を想い
冬にして 君と結ばれ
春にして 君を愛す
{ルビ季節=とき}を越えて 我が心
奪いし君の その{ルビ未来=さき}に
{ルビ永遠=とわ}の二人を ....
小さな子供たちは
小指で誓う
幼稚園の無花果の樹の下で
色づく頬はうふふと笑う
遠くで鳴るオルガンはメヌエット
大きな子供たちは
唇で誓う
通学路を外れ孤独を埋めるものは二人以外には ....
「好き」だけじゃ
片付かない事も多いけど
「好き」だけで
片付く事もいっぱいあるんだよ
「好き」だけじゃ
許し合えない事も多いけど
「好き」 ....
換気扇の音が気になって眠れないよ。
そういう君のいびきは換気扇の音よりはるかに大きかったけど。
僕は換気扇を止めてベランダで煙草を吸ったんだ。
角を取るなんてズルイ。
そういう君には一 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53