大きな葉の下から
そっと空を見上げると
とても薄い緑色が輝いている
そろそろ夏が生まれる
風が吹くと
きららとした緑色は
暗くなるけれど
遠くで流れている川の水のように
他の場所で光り ....
渇いた瀝青の道に散る
ジュエリーの煌きと渦をえがく黒髪
鉛の銃弾は、みごと額を貫通し
――鮮血を枕に眠るオフェーリア。
たぶん、昨日。
黒いシークィンのトップが視線を浴びて
胸元のゴー ....
風が、やんだ
鳥の声を探して
下草に濡れたのは
迷い込んだ足と
慰めの小さな青い花
遠ざかっていた場所へ
私を誘う手は
湿っていて
それでいて
優しいから
触れたところから ....
おぼろげに見え隠れする夢の欠片
綱渡りしながら捕まえていく
流れ弾に当たる
宝くじははずれる
アスファルトに落とした視線を
夜の透明な星空に浮かばせる
何度も ....
星 無き夜にも 日は昇る
日 無き昼にも 夢昇る
無心で 今日も空を見上げる
そこには
きっと何かが待っている
朝をはじめる太陽は
まるで線香花火のようで
小さく揺れるその玉は
何も迷わず空へ空へ
紫に寝惚けた水平線を
橙に燃やしながら昇っていく
やがて膨らみ色を変え
放つ光は僕を丸ご ....
今よりももっと
自分のこと好きになるには
今よりも少しだけ
あなたのこと好きになれば
いいのかな?
種が風に乗って
そこに着地したことは
わかっているけど
私の頭の中には
君がうんしょこらしょと
木に登る姿が
浮かんでしまう
擦り切れている背表紙を
後生大事に持ち歩く
付箋に躓くことを繰り返してしまった
左手には一束のシャレード
紐解いている間に
夏の森は
微笑や涙やトキメキを頬張って
色彩を奏ではじめて ....
ちゃぽんと音がするので
ふり向くと
道端にいわしが跳ねていた
どうしてこんな所で跳ねているのか
と問うて見たら
どうもこうも無い
そんな事を聞くなぞ人間も野蛮になったものだ
....
2007/04/29
空飛ぶ独楽を回してる
空を飛ぶなんて
嘘でしょ
嘘!
嘘おっしゃい
ごちゃごちゃと言われて
紐が絡んで回らない
回らない独楽が
困った ....
似ているから好きになった
けれど
仕草のひとつひとつは
全く あのひととは別のもの
同じひとはこの世に存在しない
あのひとはもう 戻ってこない
幻影を追っているだけ ....
春を作ろう
土しかない心の中に
春を作ろう
伸び始めた草を
小枝の先に開き始めた葉を
かわいい小さな花を
入れてみよう
ほら
もう蝶が飛んでいる
春を作ろう
土しかない心の ....
母が縄跳びをしている
僕はしゃがんで回数を数えている
あんなに腰が痛い
と言っていたのに
背筋をピンと伸ばして
交差跳び、綾跳び、二重跳び
次々ときれいに跳んでみせる
既に数は百回を超え ....
友よ
僕は時に背を押されて歩くのに
疲れたよ
身軽になるために
大事なものまで捨てて
登った山の頂上にあったものは山
週に一度の休日と
未来の何かにだまされ続けてゆく
....
ちゃりんちゃりんりん
とベルを鳴らしてカーチェイスの様に
すり抜けていく自転車に憧れて
朝のすっと染み込む
水の匂いの濃い晴れた日の風に流れて
ジャっとタイヤを鳴らして
僕にはそん ....
もう10分も
おんなじポーズ
その亀さんの
まねをしてるの
どんなに待っても
動かないよ
その亀さんは
重ねるほどに
見えるものまで見えなくなる
それを情け無用と切り捨てようにも
思うが侭にならぬ身体と
曖昧な優しさで隠す意志の弱さ
諦めることさえ捨て去ってしまい
手の中の小さな夢を ....
明日雨は止むから
もう少しだけ
待ってくれないか
そう言って
鍵を閉めたのは
君だったのに
君、だったのに
絶妙に見えない
位置関係で
勝手に進んで行くのも
君な ....
ねぇ
君は知らなかっただろうけどさ
その小さなニキビであったり
背の低さに悩んでるとこだったり
あんま太く無いくせに深刻な顔してたり
そんなとこが僕は好きだったんだよ
ふざけて二の ....
それぞれには帰りたい場所というものがあった
所属欲だ
僕と君は何故か駅で別れた
君は東京へ向かった
東京とは、夢の中に出てくる場所、のイデアを
指す、幻の国の名、ではないのかと
僕は呟く
....
君はアイドル みんなのアイドル テレビの中で笑ってる
君はアイドル みんなのアイドル 僕だけの君じゃない
歌に舞台に ドラマにCM
映画 ....
キミの気持ちになりたくて
キミと同じマイルドセブンを吸ってみた
吐いた煙が目にしみて
キミのようには涙を流せなかった
キミの気持ちになりたくて
コントラバスを弾いてみた
キミと同じ音は ....
―お向かいのお母さんとお嬢ちゃんが僕の庭のさくらんぼうを盗むのですがそのひそひそとした犯行が可愛いのです―
もうちょっとしたらもっとおいしくなるのよ(ひそひそ)
あさってとりなさい(こそこそ) ....
とても独りじゃ持ちきれない荷物
「持ってやるよ。」って
ひょいとかついで
私の半歩前を歩くあなた
きっと顔は苦しそうなんだろうけど
背中は大きくて
とっても ....
2000/05/31
17歳の桜の木
満開の花を咲かせる
ほんとにやつら
好きなこと言ってやがる
いったいおれたちの
基本的人権も労働者の権利も
そんなものど ....
家出をしようと思った
理由なんて適当だ
ただやってみたかったんだ
とりあえず思い切り外へ飛び出した
母さんが追いかけてきて
財布だけ取り上げられた
仕方がないからひたすら歩く
と ....
本を読む人の眼は
例外なく真っ黒い色をしている
それはもちろん
眼が活字のインキを吸収してしまうからである
本を読みすぎて
白眼まで真っ黒になってしまった人が
こちらを向い ....
気がつくと両手は
真っ青な血管から真っ赤な鮮血が
噴出し体中を染め
このまま私は永遠に
何を思う事もなく
記憶も閉ざされ
やっと
煩わしいことも
苦しいことともお別れと
微笑んだとき ....
ばらばらに散らばった
こころをかき集めて、
「こんなにも だよ」
って、見せるキミの手は
散りゆく破片で 血まみれで
降りそそぐ花びらは、
しきつめられて
....
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