夏の終わり
りんりんと鳴く虫の音の響く夜の淵
なまあたたかいぬめり気が
頬をなでる
セックスを終えてアパートを出た後の
このにおい
夏のにおい、のような
記憶のか ....
のんだぶんだけ
はきながら たがいの
さまつな ちがいを
ののしりあった おれたちの
ふれんどしっぷ に
グランドの端で滲んだ石灰にあの日の雲の面影を見る
新学期水が抜かれたプールにもやがて積もるか木の葉と思い出
鐘が鳴る吸い込まれていく先はどこ一人で帰る放課後の道
....
星島 〜タカラジマ〜
銀の帆の船は拒まぬ「可能性」ムゲンのココロ映せるものは
指で作る望遠鏡に反転のスカイオーシャンさよなら地球
広すぎる世界 ....
告げることもなく
終わるものの
西日に照らされる
影のかたち
騒がしく
鳴り続けた夏が
ひとびとの胸に刻まれる
記憶のかたち
あの角にはたしか
食堂があったはずだ
なぜ ....
時に 花となり
微笑みを 届けましょう
時に 鳥となり
詩(ウタ)を 奏でましょう
時に 風となり
涙を 拭いましょう
時に 月となり
静寂(ココロ)を 抱き ....
あなた
こんな夜に
あなたの強い視線を
その行き先のことを
ふと考えてしまった
私は、ね・・・
「私は、ね・・・」
口にしかけて、やめてみた
伝わるなんて、理解されるなんて
はじ ....
行く夏や新幹線の中のこと
夕暮れのバス停で
鳥になるの、と
呟いたきみの背には
小さく
ほんの小さく、翼が生えていて
ぼくは思わず
溜め息を吐いてしまった
砂時計の砂を飲み込んで
時を止めようとしたことを ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない
器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない
朝と呼ばれるものや
愛と呼ばれるもの
....
せつない夜は
何して過ごす
ことば遊びの
ことば紡いで
とろとろ落ちる
時間を織ろうか
それとも
赤い月から滴る
ゆらいだ糸で
あの人に裂かれた
心を繕うか
....
見慣れた夏が来て
また、あの少年が
車に轢かれて死んだ
死に続ける者も
生き続ける者も
同じグラウンドのうえで
確かな約束を探していた
かつて
連れて行って欲しい
と願った場所は
....
そこにあった
小さな温かなもの
確かにここに存在した
いつのまにか
幸せを勘違いしていて
私の目はくもりかけていた
世界が発 ....
電話番号占いって知ってる?
って唐突の質問
教えてよっていえば
じゃあここに番号入れてと
携帯を差し出すあなた
結果はどう?って訊いたら
明日運命のひとから電話があります、だって。
....
瞼の向こうはいつも雨…だから「ひとみ」のナミダ誰にも見えない。
別れ際に用意したナミダは嘘っぽくならなくて少しホンキ。
磨りガラスにナミ ....
蜃気楼を信じて
砂漠に打ち上げられた鯨
現実から逃げ出して
淡水の夢を見たけれど
安らぎは
もっとずっと
遠かった
求めたものと
与えられたものと
砂粒みたいに
隙 ....
あなたは背を向けたまま一度もこちらを向かなかった
遠くで誰も乗らないバスが走り去っていく音
コップの水が夕陽に照らされて
あなたの重荷になりたい。
あなたの心が崩れ落ちてしまうほどの重荷になりたい。
なくなったら、
軽すぎて、空っぽみたいに感じてしまう。
そんな重荷になりたい。
あなたの守らなくて ....
「エナジー×ブルー」
群青がはじきかえした陽の弱み それでも翼奪える熱射
まどろみの窓に映った海岸線 打ち寄せる青い波の憂鬱
波あらく感傷拒絶せし海よ 昨日 ....
「目にはさやかに見えねども」
二の腕に日向の匂い残りおり 気付けば日暮れ夕風の立つ
秋来ぬと告げんばかりの午後六時 風鈴の音も耳に違へて
水を踏む頭上に蓮の花が咲く ....
手遅れ、と
浜辺に寄せる弱音
汽笛に消された潮騒を
どこかに探してみたりして
声をなくした鳥のよう
唄うも風は冷たくて
結局ひとりを持て ....
やめたいと言うと
やめちゃいなと君は言う
そんなに簡単じゃ無いよって言うと
いつも簡単だよと返される
いつか君は僕をやめるのか
いつも簡単みたいだから
とても恐ろしい
一先ず君の胸に耳を ....
ジリジリと太陽が
アスファルトに焦がれる思いを
告げる午後二時の
濃い影がさす
向こうには
枯れてしまったシクラメン
欠けてしまったクリスタルの花瓶
半分腐りかけの林檎
止まっ ....
音が雨の滴のように
はじけた
波紋を描き
拡がった
ふわふわと飛ぶ綿毛のように
繊細だけれど真っ直ぐな意志を持った
事象の拡散
空よりは高くはない
ただ、
この丘から見える景色をながめている
「素直にしているの?」
「凛としているの?」
そんな問いかけは
この宙に、あてもなく溶けていく
....
暑苦しい部屋の中で
ぼくはひとり
蓋を開けたばかりのコーラの
二酸化炭素の泡のように
空気中に溶けてしまいたい
みんみんみん
だれかがないてる
....
「蒼い旋律」
記憶の中から抜けて舞う譜面一枚奏でてみれは゛半音の思い出
セロを抱え閉じた目の中咲く花の絡む紫苑は夕闇の弦
放課後の音楽室でくちづけを交わ ....
「愛というハンバーガーはありますか」
マクドのバイト よわりスマイル
「君が好き」
それを言うのに
あといくつ
フィレオフィッシュを食べればいいか
あわよくばマッククルーに ....
あなたの行きつけのジャズ・バーへ
初めて連れていってもらった
薄暗い店内は煙草の匂いが染みつき
レトロな丸いテーブルと椅子が
老舗といわれる趣を物語っている
店のウエイターがにこやか ....
わたしに世界を否定されても、
しらないものは知らないのだというだけ。
わたしが世界に定義をきめて、
あなたがそれを否む筋合いはない。
傷付けられたら痛いんです、
それをあなたは理 ....
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