気がつけば
見上げるのを忘れるほどの暑さ
八月の太陽は
僕の服を一枚ずつ脱がしてゆく
ぜんぶ脱ぎ捨ててしまおう
そう思えるくらいの
光線を放っていたはずなのに
いつの間に ....
親しいからこそ、言えなくて
どう思っているかを聞きたくて
友達にも話したり
してみたけど
なにかが違う、
なにがと聞かれても
僕の知っている言葉では言い表せない
知っている言葉が ....
わごむとはとばすものですよ
この目に焼きついて離れない海岸線
手を伸ばせば届く そういう場所
波打ち際に寝転んで星を数えているというのに
あなたは僕の隣りでそんな無粋なことを言う ....
お兄ちゃん、と
呼ぶのが
照れくさくて
そのまま
僕たちは年をとった。
あなたは家を出て
後を追うように
私も出て
あなたは戻り
あるいは他所の国へ
私は
死ぬまであなたの弟 ....
私は毎日 君を見つめる
私は毎晩 君を見つめる
私はいつも 君に悩まされる
真っ黒くて 細くて でも意志の強さを感じさせる
昨日あんなに時間をかけて 君とは別れられたと思ったのに・・・また来た ....
会社に行ったら
がむしゃらに
仕事をこなして
家に帰ったら
絶え間ない雑用を
次々に片付けて
外に出たら
ボランティアで
誰かのために汗を流して
それでも
時間が余りそ ....
鳴き終わったわけじゃない
力尽きたわけじゃない
(季節が移っていくだけだ)
ふぅっ
と
ためいきをつく
うつむきかげんに
なりがちなかお
ちょっとがんばって
あおをみつめて
あおにむかって
はきだされたそれは
やがて
くもになる
まっしろ ....
見えない津波に怯えながら
呑みこまれてたまるか
油断せずに流されずに
後悔
しなくてもいいように
慌てている日々は
自分を失う
人は
機械じゃありませんから
繊細で
こころのこ ....
えにかいたように
みごとにころんだ
あたまのうしろで
ものすごいおとがして
なにがなんだか
わからなくて
だいのじになって
ぽろぽろなみだがながれて
たいようのまわりの
にじいろ ....
やさしさをうたうは哀しき{ルビ歌人=ひと}ゆえか
いたみを知りてその{ルビ歌人=ひと}を知る
眠れずに聴く子守歌は中島みゆき
何故か重な ....
わたしがむやみに数えるものだから
蛍はすべていってしまった
わたしが思い出せるものは
ひとつ
ふたつ
と
美しい光
いつつ
むっつ
と
美しい光
けれどもそこ ....
閃光と爆音が果てしなくつづく
長い長い夜だった
終戦前夜の静かな港町に
これが最後とばかりに
ありったけの爆弾が落とされて
夜空はまるで夕焼けのように
真っ赤に染まったという
....
ある日、仕事を終えて
更衣室のロッカーを開くと
取り付けの小さい鏡の下に
お守りのようにぶらさげていた
5センチのくまのプーさんが姿を消していた
プーさんは
うまくいった日も
へまを ....
あっというま夜が暮れた
走り出したい
鎖
すべて断ち切って
踏みしめる大地も
漂う風も
いらない
夜が
あれば
温もりを重ねあえればそれは優しく愛しい痛み
いたわりが静かに染みて祈るように繰り返す
時々僕を邪魔するこびりついた劣等感と
不意に君を襲う耐え切れない寂しさも
悲しみを乗せた最終電車の ....
君の左腕には
何本かの白い筋が、横に伸びている。
いつか話してくれたことで
初めてその傷に気づいたんだ
遠目からじゃわからないんだけれど
それ以降、君の左腕が気になってるんだ
....
なぜ
こんなに
落ち着くのか
このグラデーションが
この雰囲気が
僕の心を優しくつかみ
一時の安楽に
導く
つながっている
その声に
心がうつって
つながっている
指を絡めるように
ひとつのことばと
その隙間に
つながっている
瞳を
間近で見ている
ように
....
左からきた電車の窓に
私たちの姿が
映る
映る
あなたと
私との距離は
そうか
こんなふうなのか
それは
なんだかとても自然な
風景のようで
まるで
あなた ....
自分も
いじめたりするけれど
猫を悪く言う人が
嫌いだ
猫を
かわいがりすぎる人も
なんとなく
気持ちわるい
認めなかった犬と
いまは暮らす
犬は
帰るたび
喜んで ....
空を飛びたいわけじゃない
からだいっぱい手のひら広げ
君を受けとめたいんだよ
良き友よ
お前の肩を
叩かせてくれないか
軽く 一度だけ
そして
良き友よ
おれの肩を
叩いてはくれないか
軽く 一度だけ
渾身の力を注がない分だけ
渾身の ....
その小ささは僕に似て
その綺麗さはキミに似て。
考えてみたら・・・オレオレ率と吟醸度は相反するものなのかもしれず、オレオレ率と吟醸度をともに低くするなんてすごく難しいんではないか。実作者はオレオレ率がひじょーに高くてもかまわないと思うし、逆に純読者 ....
名前のない鉢植えを買って
如雨露で水をやっていたら
ある日 みぎとひだりの
ひとさしゆびの さきっぽを
あわせたような虹が咲きました
何年かぶりに
虫歯がひどく痛む夜
でも
この感覚っていい感じって
生まれて初めて考える
ズキズキ歯痛に
全神経が集中するから
今夜は
久しぶりに
心の芯が痛まない
13年ぶりの大きな地震があった
あの日の午後
僕は都心にいたから
あわてて君の携帯に電話したよ
でも、何度電話しても繋がらないし
メールを何度送っても返事はこないし
山手線は何時までも止ま ....
買い物袋から
オレンジが転がったのは単なる偶然で
私の爪の端っこに
香りが甘くなついたのも単なる偶然で
果実が転がり出さぬよう
そろりと立ち上がった頭上に
飛行機雲を見つけ ....
ある朝
会社までの道を急いでいると
見慣れた制服姿
サルサ銀行のお兄ちゃんだわね
あ、そ、と思って通りすぎようとしたら
突然制服は
深々とお辞儀をして
申し訳ありません、と
わたしに向 ....
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