折れてはじけた針の先
小さく鋭い小さな痛み
難しい言葉なんてほしくない
せめて 恋の証として
ただ一つ残された瞬間の
君の末梢を
いつでも
思い出せるように
あたしはまちの人気者
運動会には引っ張りだこで
野良達の羨望のまなざしに囲まれる
気のいい、やおやのおいちゃんや
魚屋のあんちゃんから余り物の貢ぎ物
喰いっぱぐれる心配は無い
オリンピ ....
僕がしっかり支えるから
信じてくれるね
ちょっと頼りない腕だけど
咲き残る
幾重もの紅き花片は
誰人かに
散ることを留め置かれた
木枯らしに晒されて
「私はもう疲れたの」と
通りすがる男達に
哀しい微笑を投げかける
おれは言った。風を語るには
新しい記号を使わなければならない、と。
けれど、気象予報士は覚えようとしない。
テレビを信じる人たちの意見も一致している。
目下、おれの立っている場所には、
ヘ ....
事情をしらない猫はあくびする
歯車のなかでせいかつするぼくは
くだらないことで悩む
そんな僕に猫はひざにのって
あくびする
事情をしらない猫はえさをねだる
しがらみのなか ....
キラキラしているものがスキ
身近なもので言えば やっぱり宝石は 素敵
ひとつ 身に着けるだけで 何だか 自信に繋がるような
大切な人から もらえたら どんなに しあわせだろう
....
白いチョークで
道路にドアを描いている
白いチョークでは
どんなものも白く描かれるから
羽を描いても
飛ぶための空が描けない
だから僕は
ドアを描こうとしている ....
とにかく
何にも感じません
やさしくされても
自分でやさしくしてあげても
どうしてもどうしても
それじゃまずいの?
病気治れば大丈夫
そんなことありません
なんかこうグ ....
宵の衣の澄む空に
水を含んだ
月浮かぶ
果てを映したせせらぎに
火照る裸体を浸します
夢に染まった
つめたさが
しずかに狂って微笑した
(すわ)
終りにそなえて 花が咲く
朝起きたら
郵便受けが手紙を{ルビ銜=くわ}えていた
切手はないのに消印はある
宛名はあるのに差出人がない
ちぐはぐな手紙
開けてみると光が入っていた
光はみるみるうちに封筒から出 ....
窓の外は
ひどい風の音です
のどが苦しく鳴るような
うねるような
激しさなのです
思わず私は
自分ののどを押さえます
ひどい風の音です
いま飛び出せば
何を吐き出して ....
世界で一番輝いているもの
それは夏の太陽でもなく
北風に瞬く冬の星空でもなくて
君が捨てようとしたもの
君がいらないと思っているもの
世界で一番輝いているもの
それはブルガリの ....
そのひとは
ひっそりと
木漏れ日の中にいた
何かおこりそうな空だこと。
そういえば、このあいだの鳥は、
どうしたかしら。
陽にひらめいて、
虹を食べて、
七色になって、
空へと消 ....
猫はネズミを捕る
と決まっているわけでもないだろうに
きみときたらネズミをくわえて
クリスマスには早いわたしの枕元
スズメの時もあれば
夏にはカエルだったね
食べる為ではなさそうだけど
....
キミに何をしたらいいのか分からなかった。
キミは今 絶望の淵に居るのかもしれない。
私は笑っちゃうくらいの 不器用だけど 考え付いたのが
何故か 手作りの お守りを渡したくなった。
....
北の国では雨粒が
まっしろな六角の花を咲かす頃
運命をギュっと掴んでいたその指は
夢や幸せも白く結晶させたようで
すべからく物事は
原因があって転がりだし
人との出会いも必然で ....
飛行機雲が伸びていきます
大きな空を見上げて 残した軌跡に追い越されぬよう
空気を切って伸びていきます
はじまりはいつだったか
忘れられた原点が 今は水蒸気の一粒となり
尾の端から融けていき ....
ひっそりとした雨で
灰色に染まる
視線までも
{ルビ一色=ひといろ}に濡れる
雨垂れに
声が
くっきりと響く
そっと
ちらつく姿に重さを重ね
落ちる雫に映りこむ
吐息は熱く
....
じんわり汗ばむ首筋を
ハンカチーフでそっとふき
夕陰草をみつめる手許
無風の文字は ただれてしまい
あてどなくもたれかかる
夕影の一輪挿し
やがて雨薫り
境界 薄く煙る
雲の流 ....
おばあちゃん、元気ですか
って死んでるのに変だけど
あなたに似て僕もヘビースモカーですよ
あなたは肺がんで亡くなりましたね
僕を見守ってくれてるんですか?
この世に未練を残してま ....
黒髪の視線が伸びてゆき
瞳が羽化をすれば
艶やかに空を含み
風と交わる
子供のころ
父さんの行きつけの床屋さんで
髪を切ってもらっていた
そこのおばちゃんは私の髪を梳かしながら
「○○ちゃんの髪はほんと硬いね〜、櫛が折れちゃうわ」 って笑うから
いつも ....
おっきいの一つで250円
ちいさいのが一つ200円
「おばちゃーん、おっきいの一つちょうだい」
「あら、小さいのしかないみたい
2つで300円にするけどどう?」
「うーん、じゃあそれで ....
擦り切れたブランケットを放せない子供みたいね 君依存症
ねぇわたし、あの娘がしているマフラーが欲しいの。はやく盗ってちょうだい
陽だまりのように私をなだめてよ パールなんか ....
風の筆で残す暗号は
地図のため息と
おたがいの足跡をかくして
いつも同じかたちに戻ろうとします
その度に行方は
なぎさに吹き寄せられて
波に、雨に、さらに細かく
見失ってしまい
....
彩るうたを{ルビ口遊=くちずさ}む
こんな命があるかしら
{ルビ水=み}の{ルビ面=も}に蝶が浮いている
ちらともせずに浮いている
こんな命があるかしら
あすを知りえず浮いている
....
ピュウピュウ北風吹けば
寒くて唇が乾くので
つい唇を舐めてしまう
舐めるうちにカサカサになって
赤く腫れ上がった
僕のたらこ
リップクリームを塗ったら
気にしないのが一番
だけ ....
きみが目を閉じても風は草原を夜空を海を旅してまはる
涸れてゆく泉にきみの瑠璃色の絶唱とわに不滅の予感
雨の駅、雨のバス停、雨の庭。きみが ....
人生には いくつかの分かれ道がある。
それを最後に決めるのは 自分自身。
その道を 選んで後悔するかもしれない。
だけど 選らば無ければならない時が かならずくる。
私の 今の ....
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