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帰り道のパン屋で
硝子越しに覗いては 
ランプに照らされていた 
こんがり丸い窯焼きパンを買い 
紙袋に入れてもらう 
今日は、給料日。 

10回の高級料理と 
たった1個の窯焼きパ ....
林道の枯草を踏み鳴らし 
彼は音楽室へ歩む

灰色の壁に 
暗闇の口を開けたドアを入り 
細い通路を奥へ進む

無人の音楽室は広く 
黒板の前に置かれた 
パイプオルガンと椅子の上で ....
 今夜は、僕が特に親しみを感じる詩の友が集う忘れ得ぬ日なので、僕が最も大切な{ルビ女=ひと}と出逢った{ルビ縁=えにし}の糸を{ルビ遡=さかのぼ}ってゆくことで、人と人の・・僕と彼女の出逢いの不思議を .... 夕餉の向かいの空席に 
在りし日の祖母を浮かべて 
問うてみる 

(聖なる世界はどうだい?) 

初老の親父と母ちゃんが 
娘の嫁いだ富山へと 
生まれて間も無い 
孫息子の顔を見 ....
玩具銀行の赤い判子を押した 
福沢諭吉の万札を短冊代わりに 
笹の葉群に吊るします 

夏の涼しい夜風が吹いて 
はたはたはたはた 
数え切れない諭吉さんが
笑います 

時折ちらり ....
{ルビ若布=わかめ}の{ルビ疎=まば}らに干し上がる 
六月の浜辺を振り返れば 
今迄歩いて来た僕の 
たどたどしい足跡が 
霞がかった岬の方まで 
延々と続いていた 

あの岬の幻は  ....
誰もがきっと探してる 
心の穴を埋める 
たった一粒の薬を 

誰もがきっと求めてる 
この世の果ての薬局にいる 
あの不思議な薬剤師を 

群衆に紛れた君が 
ビル風に飛ばされそう ....
誰もいない静かな部屋で 
時折鏡を、覗いてみる。  

目はふたつ 
鼻はひとつに  
口ひとつ 

奇跡を行うこともなく 
些細な魔法もわからずに 

背伸びをするわけでなく 
 ....
チェーン店のカレー屋で 
「グランドマザーカレー」
を食べていた 

自動ドアが開き 
ヘルパーさんに手を引かれた 
お婆さんが店に入り 
隣の席にゆっくり  
腰を下ろした 

 ....
くたびれた足を引きずって 
いつもの夜道を帰ってきたら 
祖母の部屋の窓はまっ暗で 
もう明かりの灯らぬことに 
今更ながら気がついた 

玄関のドアを開いて 
階段を上がり入った部屋の ....
最近、黒い手袋が
落ちているのをよく見かける 

ある時は職場の廊下 
ある時は駅の構内 

人間達の無数の足が 
通り過ぎてゆく隙間に 
{ルビ木乃伊=みいら}の面影で 
誰にも届 ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
生前の君と最後に語り合った 
このCafeに来るといつも 
テーブルに一つ  
硝子の灰皿を置いてもらう 

向かいの空席に 
ぼんやりと君の面影を浮かべ 
日頃誰にも言えない 
秘密 ....
PC画面の暗闇で 
林檎が独り 
浮かんでいる 

紅い皮の傷口から 
白い肌を晒しながら 

( 昔々、楽園にいた 
( アダムとイヴを誘惑した 
( 私は紅い林檎です  

 ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
「免許を取るには、年齢位の金がかかる」 

誰かさんが言ってた通り 
33歳にして33万という金を 
母ちゃんは惜しげもなく貸してくれた 

二俣川で筆記試験に受かり 
初めて免許を手に ....
食事を始めた 
一口目に 
山盛りポテトフライの皿の 
隅っこにのせられた 
パセリを食べる 


噛み切れない小さい葉達が、苦かった。 


今日も世界の
あちらこちらの食卓で ....
遥か昔「人は弱い時にこそ、強い」と語った 
旅人の屈すること無い「精神の柱」について。 

ある時彼は頭の良い哲学者に嘲笑され 
ある時彼は民衆に石の霰を投げつけられ 

( 人々が立ち去 ....
三日後にわたしは 
三十三年間着ていたわたしを脱いで 
風の衣を着るだろう 

その時世界の何処かに響く 
あの産声が 
聞こえて来る 

その時空から降る 
透けた掌と差しのべるこ ....
昼食を終えた 
車椅子のあなたを 
ベッドに寝かせ 
おむつを開けば 
あふれるほどの排泄物 

「先輩ちょっといっしょにお願いします」 

腕っぷしのいい先輩がやってきて 
拘縮し ....
「 抵抗することに疲れた 」 
そう言い遺してある友は 
自ら世を去った 

思い通りにならない日々の 
不自由な鎖を巻いたまま僕は 
しばらく横になっていた 

ランプの灯りの下 
 ....
独り暮らしの古家から 
週に一度 
玄関から門前に出て 
杖を手にワゴン車を待つ 

「おはようございます」 

ドアが開いて下りてくる 
孫のような青年の
腕につかまりながら
車 ....
田舎の駅の階段を 
せーらー服の少女は軽やかに上り 
ひらひたと舞うすかーとのふくらみに 
地上と逆さの重力が働いて 
自ずと顎が上がってく 

まったくいくつになっても 
男って奴ぁい ....
老人ホームで 
19年間すごした
Eさんが天に召された  

すべての管を抜いて 
白いベールを被る
安らかな寝顔の傍らで 
両手を合わせた日 

帰り道に寄ったマクドナルドで 
 ....
東口を出た歩道橋に 
一人立つ 
目の見えない 
フルート吹きの奏でる 
あめーじんぐぐれいすの 
音色を前に 

手押し車の老婆は通りすぎ 
土産袋を持ったサラリーマンは通りすぎ 
 ....
春雨の降る午後 
私は一人傘を差し 
無数の蕾が開き始める 
桜並木の道を往く 

三っつ目の信号を曲がり 
学校に沿う坂を下ると 
傘を差す 
君の母が立っており 
喪服の私は頭を ....
  {引用=わたしはすでに 
わたしそのもの}


自ら望み 
生まれてきたわけでもなく 
自ら選んだ
両親と国と時代でもなく 

窓辺に置かれた鉢の 
枝葉を広げた小木のように  ....
恋人を亡くし 
自らのこころを立て直そうと  
遠い旅先で 
免許取得の合宿に入った君は 
今日初めてのハンドルを握った 

仕事から帰った僕は 
君のブログの日記を読む 

「ギア ....
久しぶりの路上ライブで 
再会した彼は 
唄い終えると 
ギターを背後の壁に立てかけ 

白い吐息を昇らせて 
小鳥みたいに震えてる 
ファンのみんなに 
ほっかいろを配る 

昼 ....
はじめて車に乗った日 
すでに僕は30を過ぎていた 

はじめて車に乗った日 
先月25になったばかりで 
自ら世を去った君のことが 
頭から離れなかった 

はじめて車に乗った日 
 ....
銀猫さんの服部 剛さんおすすめリスト(276)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
幸いの味_- 服部 剛自由詩2*12-8-13
黙想の部屋_- 服部 剛自由詩310-12-24
結婚披露パーティーで読んだ手紙_- 服部 剛散文(批評 ...7*10-10-23
無人の家_- 服部 剛自由詩209-7-28
ましろい短冊_- 服部 剛自由詩509-7-8
明日の海_- 服部 剛自由詩909-7-3
「_猫ノ薬_」_- 服部 剛自由詩709-5-9
月夜の草_- 服部 剛自由詩909-3-27
稲穂のこころ_- 服部 剛自由詩1109-3-22
遺影のまなざし_ー四十九日前夜ー_- 服部 剛自由詩2009-3-10
黒い手袋_- 服部 剛自由詩809-3-4
海に還った祖母に捧ぐ_- 服部 剛自由詩3509-1-24
硝子の灰皿_〜亡き友との対話〜_- 服部 剛自由詩208-12-7
林檎の転生_- 服部 剛自由詩408-11-18
Freedom_Song_- 服部 剛自由詩32*08-9-22
免許を取れた日_- 服部 剛自由詩27+*08-8-26
パセリ達_- 服部 剛自由詩1708-8-12
死紺亭兄さんへの声援(エール)_- 服部 剛自由詩8*08-7-31
風の衣_- 服部 剛自由詩2008-7-8
不思議な風_- 服部 剛自由詩408-6-16
太陽の瞳_- 服部 剛自由詩408-5-20
踏み台_- 服部 剛自由詩508-5-16
お花畑にて_- 服部 剛自由詩6*08-4-30
蜜柑の木_- 服部 剛自由詩808-4-10
五線譜の橋__- 服部 剛自由詩17*08-3-24
春雨の午後_- 服部 剛自由詩18*08-3-24
きせきの日_- 服部 剛自由詩808-3-17
声援_- 服部 剛自由詩14*08-2-21
唄人の石_- 服部 剛自由詩508-2-18
オリオンの唄_〜_亡き友への_requiem_〜_- 服部 剛自由詩5*08-2-16

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