ライオンさんのやる気が
ゼロでしたので
わたしは舌打ちをしました
タイガーさまも同様でした
残念でした
同じくネコ科のクロヒョウくんは
動いていました
しかしなが ....
地底人さんの朝は早い。
日の昇る前から働いて、
せっせせっせと働いて、
日が暮れたって、
月が笑ったって、
まだ働く。
地底人さんは穴を掘る。
くる日もく ....
ベンチに腰を下ろしたら
まるで恋人みたいな気分になって
不思議
人の通りの薄い時刻
けれども人がいない訳ではなくて
噴水を挟んだ向こうのベンチには
しっかりと
恋人た ....
かくすためだけの
キャミソールに飽きて
このごろは いつも
はだかで過ごしている
夏はまだ
わたしの腰の高さで停滞している
午後4時をすぎると
夕凪に 夏がとけてゆく
....
「寄生虫」だと言われてしまった
ひっそりと唇からしのび込み
大事なものを少しずつ吸いとってゆく
あなたの内臓に絡みつき肉を食む
そのうち
あなたの骨も脂肪もすかすかになる
心は風船 ....
となり街にある
パン屋のお兄さんはいつも笑っている
入り口の貼り紙には
「冷めないうちに食べてください」と書いてあって
お店のショーケースにもところどころに
「冷めないうちに食べ ....
強い信念があれば
幼子の指一本で
巨人を倒すことも出来る
二機の飛行機が
大国の象徴を滅ぼしたように
しかしその信念は歪んでいたために
多くの生命を無駄に奪い
....
やがてテントを夢色に染める
オルゴールの{ルビ音=ね}は消えゆき
客席に響く拍手の{ルビ渦=うず}におじぎするピエロ
幕が下りるとくるりと背を向け
舞台袖を降りて入った
楽屋の鏡の前に座り
....
満月とは中秋の名月
ゆらゆら揺れる水面にて
時と戯れる
満月とは君の面影
苦しい時も笑顔を絶やさず
額の汗をそっと拭う
僕は忘れたりしないよ
君の優しさを
君は ....
あの子は逝ってしまったのよ
夏の名残の陽射しが注ぐ朝の庭で
何度か苦しそうに喘いで
だけどそのうち眠るように
少しづつ少しづつ
呼吸が弱くなって
愛するみんなが見守る中で
頑 ....
死にゆく蝉の声で起こされて
夏と寝ていたと気づかされる
まどろむ意識の中で
シーツに潜む
残り香を探す
枕の隅に
鼻を押し当てる姿は誰にも
見つかることはなく
....
ごらん あれは
眠りの間際の窓辺たち
ごらん あれは
烏賊を釣る船の漁り火
人々の暮らしは在り続けていてくれる
汗をにじませながら
涙をうるませながら
人々の暮らしは在り続けていてく ....
あれ、おかあさん
この花火どうしたの、もらったの
今日はけんちゃんの命日だからね
買ってきてもらったんだよ
こんな暑い日だったのですか
いや戦死公報に ....
手のひらを
じっとみる
樹木
にキス
傷つけている
怪しい空
魔法じかけの空
手のひらの中の空
伸びる空に
手首に傷
手首にキス
闇を空に
病みを空に
目がつかまえた ....
みきすけとまきすけは似ていて、区別がつきにくいと感じてる人もいるかもしれないので、ここでその真相を書き表そうと思います。
実はみきすけこと私は統合失調症と言う病気にかかっていて、療養していました ....
目を閉じてひゃく数えるあいだの
静けさがこわかった
(いーち にーい さーん)
ぼくはずるだと言われるのがいやだったから
はんぶん泣きそうになりながらゆっくりと
(しーい ごーお ....
いつもどうりのことが
ふわりとしてるので
ところどころ鋏で切って
整えてみるけれど
散らかるばかりで
ああ もうめんどうだ
自分自身もパシャパシャ切っちゃう
誕生日でも何でもないところで ....
室外機 夏のプロペラ ぶんまわし 飛ぶんだいつか ビルのボルト引き抜いて
ぽくぽくと砂埃の道を
踵の低い靴で歩く
道端にときおり現れる
柿の木の下で
風に吹かれて和みながら
寂れた雑貨店は
小さなオアシスのように見えた
冷蔵ケースのコーラの瓶の
くび ....
クリープ現象で
夜をすべる
アクセルを踏みそこなった右足で
有明ランプをまたぐと
すこし遅れて
あした が きょう になる
うしろへと流れる景色を手がかりに
恋人だったはずの
....
雨の夜は大介を思い出す
悲しくて悔しくて
泣いてしまった夜は
ずっと側にいてくれた
大介はわたしを
甘やかさず
突き放しもしないで
絶妙なバランスで
一緒の布団に寝てくれた
そして
....
こどもみたいに
世界の底
天井がつきぬける
ように書きたいが
不自由な気持ち
気持ちとは無器用なものだから
なかなか
屈折率
もって
言葉はくねっていく
詩らしい詩はもうい ....
琥珀色の9月を覚えている
怪しい季節だった
夜空とダンス
雨降りのタンゴ
憂鬱虫を飼いならしたタンス
そう、ぼくらは裏街道を突っ走るギャング
すみれ色の夕暮れ ....
ごらん、
イルカが橋を飛び越えて行くよ。
突っ走って
踏んづけちゃった
ミドリの影
滑って
身体ぜんぶ
足の先から
頭のてっぺんまで
ミドリになっちゃって
それでも
突っ走りつづける
ミドリの身体
薄暗がりの木陰から
....
「サンタマリア」
僕は神様の名前を
あなたしか知らないけれど
僕は神様の存在を
信じたことはありませんでした
「サンタマリア」
僕にも名前があるけれど
あなたは知って ....
心臓を 下さい
何処かに置き忘れたのです
シナプスを飛ばして 過去の駅
遺失物預かりの四角い顔は
どうして揺れることがないのでしょう
同情して下さい なんて
云えないのだけれど
....
男がケンタの二人掛けテーブルに座り
何やら絵を書いている
風体には似つかわしくない童話の挿し絵
雰囲気には似つかわしくない
どこまでも明るく優しい印象の絵
そんな男の斜め後ろで
僕 ....
ときどき
思い出した
ふりをして
その面影を
そっと
胸に抱いてみる
きつく抱いたら
もろく崩れて
カタチをなくして
しまいそうで
優しい顔
笑った顔
悲しい顔
....
嵐はつれて来た
雨や風
悲しみや空虚
そして、季節も動かして
ああ、人間は無力だ
西の空、月までが
埋火に
焦がされている
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