宮沢賢治の詩を読むのは、とても辛い
自分の苦に、まといついてくるみたいだから
彼は、いつもじたばたしている「デクノボー」であるから
辛いけど、あざとい詩もあるけど、美しいから困る
日本語が ....
掌に乗る
生命の記憶の
なんと軽いこと
さくさくと軽い音をたてながら
生きものたちの影を求めて歩きました
胸いっぱいの冷たい空気を吐き出せば
白いけむりの中に春が見えないかと
苔にすべってつかまった木の肌は
渇いた鱗のように剥がれ ....
仄暗い公園のベンチで
みかんの皮を食べろと言われている老人が
喜んでと言って頬張っていたのは新聞紙
これでいいですかとにこにこしながら
鳩の目で少年たちを睨みつける
ぽおっぽっぽっぽ ぽ ....
とりあえず ここから出よう
空 に 見 つ け た
君 の 羽 根
神が不在の夜
その間隙をぬって
あくまでも地上的な硬い何かが
天上の淡い光を覆い隠す
その時
人びとの喉はゆっくりと絞められ
背徳の快楽に意味のない言葉が虚空にばらまかれる
昔日の絵の中 ....
君と僕を結ぶ距離を地図に書いて線を引いてはかってみたら
あまりに長くなって驚いてしまった
しかたがないので線の上に輪ゴムをのせて
びーん と引っ張って結んでからもとに戻すと少し縮まった
....
「どれだ、どれがあいつなんだ!こいつか!」
「ふっ、残像だ。」
そんな水槽。
季節をさがして
日毎景色を眺めている
そして偶然見つけたのが
北風に揺れるコスモス
置いてきぼりになっちゃって
少しかわいそうだけど
あなたとても目立ってますよ
....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ
いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
「ねぇねぇ ムカデさん ムカデさん
足がいっぱいあるけれど次はどの足動かすの?」
「何だい君は! そんなことを聞かれたら
ずいぶんと歩きづらくなるじゃないか」
「だってムカデさ ....
皿の上には
肉じゃが
ほうれん草の白和え
和風ハンバーグ
みかんゼリー
今日の昼食
いただきますが待ちきれない
食事前の体操なんかクソくらえ
前掛けをつけて
食べる
....
僕は病院が嫌いです。
痛いし辛いし怖いし寂しいし、何もいいことなんてありゃしない。でも、行かなきゃいけないときは行こうと思っています。何でそう思うようになったのか、僕の話を聞いてください。
僕 ....
日付の裏側で微笑んだり
「おはよう」に
「おやすみなさい」と
噛み合わない会話でも
それはそれでいい
はるばる空はどこまでも
はるばる海はかなたまで
途切れることなく流れ ....
力の抜けた指先
軽やかに動いては
言葉を並べて楽しんでいる
自分が自分であることを確かめたくて
無意識に飲まれないことが
その証明になるのなら
身を削って書こうじゃないか
....
僕 鬼はやらないよ
僕 隠れている方がいい
僕 呼ばれても返事しないし
僕 うまく隠れるもん
「君!お尻が見えてるよ!」
「えっ!ほんと!?」
「みーつけた・・・」
....
その皇子
東へ進軍し
その剣
雲を斬り
丘を割き
沼を埋め
戦に次ぐ戦
謀殺に次ぐ謀殺
返り血の乾く間も無く
川にかかれば妻を売って渡り
海峡にかかれば妻を売って船を買い
船を打 ....
いってらっしゃい
ううん、ほんとは寂しいの
でもそんなことを言ったら
笑ったあなたの頬が困ってしまうから
言わない
昼間、楽しいことがあったとき
あなたがいないと、少し寂しいの ....
僕 達 は も つ と 一 緒 に ゐ る べ き だ つ た 。
遠 く で 鳴 く 蜩 の 夏 。
夏休みの宿題は終わったのと
かあさんは訊ねる
私はもう学校卒業したんだよと
何度説明しても
かあさんは言う
おまえはやく宿題をやんなさい
ツクツクホウシが鳴く前に
とっとと宿題を終わ ....
境内の裏に入ると
空間を埋め尽くす
しなやかな竹林の足元を縫うように
白い石畳の道を辿る
少女は
ひしめきあう竹の頂を仰ぎ
さやぐ笹の葉の隙間の青をみつめ
木漏れ日を浴びる{ルビ女 ....
残業もそこそこに
今夜もいそいそと帰ってきた
玄関のすぐ脇の部屋で
かつて母だった生き物が
また呻いている
父の三回忌を済ませた頃から
母は溶け始めた
ビデオテープのように過去を ....
詩をやっていこうと思う方は、本来「本を読むこと」が好きな人が多いです。それなりの向上心と努力があれば、関わってゆけるでしょう。
ところが私は、本を読むのが大変苦手で、特に詩や小説、文学を読むこと ....
まぼろしは
青空の下
児童公園の、ねむたげな
楓の木陰の
ごむぼーる
夏がくる
あつくなる
汗をかく
ひや
あせをかく
誰にも届かないと思っ ....
あなたの好物を作ろうと
夕暮れ
サンダルを引っ掛けて買い物にでる
昨夜の 些細ないさかいの 償いに
海老の殻を
無心でむけば
いとおしさに変わるような気がして
という
無邪気な ....
それがほしいのだという
網の籠を背負って
捕まえて入れるのだという
静かな息に
舞い上がり漂ったのち
重さを感じて落ちてくる頃に
掴むのだという
小走りに途切れて
靴音の後ろか ....
エミリー
あなたと最初に出会ったのは羊水の中
あなたは何も言わず
私を蹴って押し出してくれました
あなたはそれっきりそのままで
難産だったと語る母にあなたのことを訊いてみたのです ....
かのん、は、カンパイがすき
かのんのコップと、おかあさんのコップで、カンパーイ!
かのんのぎゅうにゅうと、おとうさんのビールで、カンパーイ!
かのんのおちゃわんと、おにいちゃんのおちゃわんで ....
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