ひどく壊れた
{ルビ短笛=ピッコロ}の夜
胸の隙間にしみこんで
かたく凍った涙が
この身を裂く音

修行者のように
振り仰いだまま
静寂に刻む
生きたまま
この身を裂く音

  ....
22歳の誕生日から3日経ち
私は生理になった


さあ、とお腹の中の月時計が私に言う
いつか生まれてくる赤ちゃんのために
お布団を新しいのにかえましょうね


初潮を迎えてから
ち ....
あの人の
名前を呼びたくなったなら
音にはせずに
水に書くよ

岩に刻まず
砂に描かず
水に書くよ

すぐに流れて
この世から

思いは水底に
叫びは水面に

波紋は ....
ふたりは出会う
雛連れの野鴨憩う山郷の水面は茜に染まり
 

  ほら手をつなご
  これから暫くふたりして
  同じ水脈を流れ行くのだから


ふたりのささ舟は
透き通る冬の気象 ....
冷えた夜が
低地を這っている
これもまたもうひとつの
忘れられた夜であろうか
――あの人は
  貴重な生を召し上がりました
何ひとつ 言い残すことはなく
混沌の角度で経験は薄まってゆく
 ....
ずるやすみの木で
かみさまを見かけた
なにをしているんですかとたずねたら
ずるやすみをしているのさとこたえた

ぼくも人のことは言えないから
ああそうですかと
おおきな幹にせなかをよりか ....
悔しいときにこぶしを握るのは
相手を殴ろうとか
この手をどうにかしてやろうとか

そういうのじゃなく

目に見えない旗を両手でしっかり

ふたつ

握ろうとしているから。

ま ....


昼休みの男子休憩室の扉を開くと
新婚三ヶ月のM君の後ろ姿は正座して
愛妻弁当を黙々と食べていた

「 おいしいかい?
  結婚してみて、どうよ・・・? 」

と買ってきたコンビ ....
なっちゃんだって
辛いこと、悲しいことあると思うよ
みんなが寝静まった頃
こっそり泣いてるのかもしれないな

それでも朝には
こんなに笑顔


自分も頑張ろうと思う
{引用=赤い木の実の瞳から
流れる涙は止まりませんでした}


身体の悪い妹に
この冬はどうにも寒すぎて
コンコン、コンコンと
咳を繰り返すたびに
雪が降り積もります

それでも妹 ....
舞い上がったタンポポの綿毛が
振り返って見下ろした風景

歩道で蝉の抜け殻を
知らず踏みつぶしたときの音

そんなふうに目覚める朝

新しい自分が
古い骸に驚いたり
影よりも陰 ....
あんしん したい
ボクは もっと あんしん したい

やさしい おんなのこと いっしょに
おふとんで まるくなるのも いいし

いつでも なんでも
おかわり じゆう ってのも いいし
 ....
黒い車がつぶになって 道の上から消えてゆく

山田くん、ねぇ、山田くん

君は 幸せだったのかい?

道は雨のように流れ出して

頬にも雨がつたい

山田くん、ねぇ、山田くん

 ....
大人だってたまには
思いっきりお菓子を買いまくりたい
大人のお菓子屋さんには
ちゃんとグリコのキャラメルだってある

大人のグリコのキャラメルには
おまけに
ひとつだけ詩がついてくる
 ....
なにごと にも きょうみを もって

いろいろ においを かいでみる

きょう は おにく の いいかおり
カルマのはじっこで
誰にも知られないように
泣いてるヤツがいるのを
ふと、みつけた

なにがあったのか、知らないけど

隠しておいて
あげるから

黙っておいて
あげるから

 ....
降り頻る悲鳴は
冬の朝に沈み

はち切れんばかりの
黄色は、空に浮かぶ

たまに、青白く光る


僕がいなくなってから
十五日経って

誰かが、奴は月に帰ったんだ
なんて
 ....
いっぴきのむしけら

どこからまよいこんだのか
へやのなかをあるいている

へんおんどうぶつのおまえだから
まふゆのさむさにうごきもにぶい

かんたんにつかまえて
ちょっとち ....
こぼれずに
あふれずに

ひらいたならば

うみをそこにみて
そらがといになり

ぬぐえずに
すくえずに

つむったならば

ほしをそこにみて
そらがついになる

つい ....
月の滴り糧にして、
傾くが儘に流れ征く。

果ての浄夜は音も亡く、
地を這う我影、
唯ひとつ。
たとえば
カーテン越しの陽だまりに
できるだけぽつんと
たよりなく座ってみる

時計の針の
こちこちという音だけが
胸にひびくように
明るみの中で目をとじる

いつの日かお ....
午前五時
買ったばかりのブーツでも足がかじかむ
約束にはまだ早いけど待ちたいからあのコを待つんだ
ふたりで今日どこまでもいこうって約束した

午前七時
バスが通勤のサラリーマンを詰め込んで ....
絶望さえ透けていく
初夏の陽射しのもと
雲へ手をふり
永遠する未完の涙

生れ立ての傷が
{ルビ鎖状=さじょう}に結晶し
{ルビ手鞠唄=てまりうた}に弾む午後
幼き声の純粋にひそむ響き ....
仕事帰りにくたびれて
重い足どりで歩いていると
駅ビル内のケーキ屋に
女がひとり
微笑みを浮かべて立っていた 

ガラスケース越しに
ふと{ルビ眺=なが}めるささやかな幸福

その{ ....
{ルビ穏=おだや}かな初春の陽射しを{ルビ額=ひたい}にあびて
目を細め のんびりと自転車をこいでいた

狭い歩道の向こうから
杖をついたお{ルビ爺=じい}さんがびっこをひいて
ゆっくり ゆ ....
歩道の残雪を
踏みしめる律動
声でもなく
音でもなく
歌でもなく

  白い吐息に飽きて
  見上げる
  大気の天蓋
  一弦の
  その楽器

  透明におびえ
   ....
降り続く雨が
肩を優しく包むから
あふれた涙が止らない

ひとしきり泣いたあと
涙のわけを考えたけれど
言葉にすることが出来なかった

それは
生まれたときから
始まっていたのかも ....
暗闇の中
まっしろな雪が
舞っている

遥か彼方の高みから
白い花が舞い落ちる

音も無く
無邪気に
降り積もる雪は

やがて
世界を
ひといろに塗り込める

憶 ....
発売まで指折り数えたCDを
ようやく手にして
するするセロファンを
むいているときのときめきは
リンゴを倍速でむいているみたいで

ポンと
再生ボタンを押すと
さらに加速度を増して
 ....
あの暗闇は
くらやみではなくて
照らされていない
本当の姿

あの光は
まばゆいのではなくて
その向こうが見えない
闇の別名

くぐり抜けて
会いに行く
降る雨も、雪も
肌で ....
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