そんなふうにね
上からものを言われるのが
いちばん傷付くのよね
文句があるなら
正々堂々と
アタシの目の高さまで
下りてきて言ってよね
あ〜、もうっ!
ご飯もそんなふうに見下して
「餌をやる」
な ....
兆し
まだ何のためか
なんであるか
わからないまま
僕は
昼間泳いでいる
つかんだ波
はなさないために
好きでいられるように
とつとつと
祈る
笑うひと
奪う波
死に ....
隣の白蛇が、
皮を脱ぐ。
彼は失恋すると、
いつも絶食して、
いつも脱皮する。
センチメンタルなのだ。
脱皮する少し前から、
蛇の目は白濁しはじめる。 ....
あの日の電話の奥では結局どこにも繋がっていないと
夢を語るような視線で伝え合っている
その不確かな存在証明に、わずかな呼吸で集中すると
世界は真っ直ぐに夕暮れ落ちて
確かめようとする背中も
....
ボクは外側がボクである
ヘヤは内側がボクである
それがボクとヘヤとの
相違点
しゃらしゃらと
粉雪が風に渡る音
鈴の音も高らかに
朗らかな笑い声が
こだまする
雪山が呼んでいる
動物のアシアト てんてんてんと
梢からがさっと雪帽子が落ちる音
真っ白な ....
冬の夕暮れ 老人ホームの庭に出て
A {ルビ婆=ばあ}ちゃんと若い僕はふたり
枯葉舞い散る林の中へと ずんずん ずんずん 進んでく
「 A さん、目的の宝物がみつかりました・・・!」
....
何故 君はいってしまうのか
大人たちよりも ずっと ずっと先に
危ないよ
あんまり先を急ぎすぎると
石ころだか何だかわからないものにつまずいて
転んでしまうよ
危ないよ
とん とん ....
冬の空のしんとした質感に
しなだれる肺のたおやかなこと
木枯しに枯れていく太陽のもと
不透明な雪の結晶となる重さを
熱く呼吸して火照る
湾曲している波に共鳴する
空との境界で
風 ....
明治生まれの 女らしき女の貴女に会いに行きました
いつも凛としていて こぎれいで 弱音を聞いたことはありませんでした
気丈で 自分の意見を曲げない所もありますが。
今の貴女は 腕には ....
彩りが白く染められ
輝きが覆い尽くす
秋に重ねるから美しい
君の
季節に染まったほおに
想いが重なれば
雪景色のように
清らかに美しいだろうか
それとも
ただ ....
僕のからだの内燃機関は
なにを動力にして
ここまで
走らせ続けてきたのだろう
西日はいつも眩しいね
僕の手が掘り出したいものの
手がかりを
きっと
西日は知っている
....
橋のうえに
大きな虹がでたので
ぼくはトイレへおとうさんを呼びにいき
台所へおかあさんを呼びにいき
お嫁にいった妹を呼びにいき
死んでしまったおじいちゃんを呼びにいき
介護施設のおばあ ....
闇雲にかいてたら
白い雲に襲われて
遅くなって
白けた
知らない雲
クモ
おんな
走り去って
死んだわたしは
弾かれた
世界から
ひとりのおんなが
席をたって
わたしを避けた ....
青空の向こうにあるのは、消え損ねた星のがらくた達だ
今日はとてもいい天気だった。
空は青く澄み渡り、雲1つなく、風は穏やかに吹いていた。
あそこやここに、風の塊が落ちてい ....
錆び付いた夜
カタカタと軋んだ音をたてて
綴られていく 砂色のあした
バラバラと崩れていく
哀悼の鐘の音
脆弱な信頼の鎖を断切った いま
かさぶたが 癒えるよりもすぐ ....
目には見えない「現実の壁」に敗北して
言葉を失いしばらく立ち尽くしていた僕の背中は
やがて青空からの{ルビ息吹=いぶき}に押されて
いつのまに
古時計の長針と短針がゆったりと逆回転する
不思 ....
真っ暗な筒、ひとりズルズルと降りてくる
あぁ、靴下がないな 枕元でいいか。
大きなリボンにぶら下がる 大きなプレゼント
さて、あと何件周れば終わるかな
袋の中を覗き見る。
....
三才のおいっこが
坂道のうえの車庫から
インフルエンザの予防接種へいくぼくを
タッタと追いかけてくる
車があぶないから
きちゃだめだよ
ちゅうしゃしにいくんだよ
いたいいたいだよ
....
繋いだ手の感触を
消してしまえずに
たとえば、今
この空のあの雲
と 私の指が示しても
あの人にはもう
届かないでしょう
尾とひれのついた
魚の形の 群れが
泳いでい ....
とりかごをね
夜にむかってかざしたら
まぬけな星がいくつかね
僕のかごに入ったよ
ボクたちは 結ばれちゃいけなかった
そうね あたしたちは結ばれちゃいけなかった
彼の名前は 鰻 太郎
彼女の名前は 梅干 花子
互いの 運命に 気が付いたのは
胃の ....
大切なコトってなんですか?
と聞かれたら
あたしは自分が満足する事かな
と答える
ベタで、性善説に寄りかかった
あまちゃんな考えだけど
やっぱり
自分 ....
キミは 何を考え 毎日を過ごしているの?
時に 怒り
時に 甘え
気まぐれにしか見えないキミ
だけど キミの存在 キミが居るだけで 私たちは 救われている。
時々 じっと ....
何気ない会話で
笑う
マスクにかくれた
君の顔の
半分が
紅く染まると
なんだか
勝った気分になるぞ
アナタ トテモ ツカレチマッテ イル ラシイジャンカ
ユビノサキマデ シビレチマッテ イル ラシイジャンカ
ソレハ タイソウナァ クロウダァ クロウダァ
ソレヲ ダレカニ シッテモライタイッ ....
世の風に流され
秘め事を{ルビ懐=ふところ}に隠し
灰色のコートを羽織った背中を丸めた男の後姿が独り
世の風に{ルビ抗=あらが}い
闇の向こうに見える光へと澄んだ瞳を向け
空色のシャツを ....
水の中にいると
からだが少しだけ重くて
しぶきが鮮やかで
とても冷静で
水から顔を上げて
ゴーグルから水がこぼれて
いつまでつづくかわからないけど
いつまでも
いつまでも
少し苦 ....
グリーンのセーター
さわりごごちがあんまりよくて
緑のなかにとけだした
だれもいない朝の公園
雨上がり
ぬれそぼるベンチ
とぎれっぱなしの会話
胸のアルファベットも
ばらばらになが ....
他人に優しいって事は
自分にも優しいって事かな
君に優しい顔を見せるたびに
僕は自ら犯した罪を
古いものから順に消し込む
過去に犯した罪を贖う為に
君の気侭な振る舞いにも優しさ ....
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