月の波形
mizunomadoka
探査星という名前の
もう戻ってこない人工矮星を
私たちは見送っている
稜線に海面が沈み
草原がブルーに染まっていく
追いかけるように
次々と浮かび上がる船団は
私たちの乗れなかった最後の便だ
時空の歪みで
一時的に大きく見える赤い矮星に
子供たちが手を振っている
誰かの持ち込んだラジオから
ローカル局のリクエストが流れる
私は通信機で
彼らの周波数を追いかけた
自由詩
月の波形
Copyright
mizunomadoka
2011-07-03 16:56:32