夜の漁から戻ってきたとき
さびれた銀のバケツの中に 一匹の{ルビ河豚=ふぐ}を入れました
おじいが売り物にならないと云ったから
じゃあ飼っても良いの と訊いて
まだ おじいの返事がないうちに
 ....
輪郭だけをのこしたまま
あのひとがいなくなってしまったので
いつまでもわたしは
ひとりと半分のからだで過ごしている


明かりの消えた部屋で ひとり
アルコールランプに、火を点ける
ゆ ....
サハラ砂漠で夏眠中のカエルは
とてもつらい

遊牧民に掘り起こされ
厚い安らかな粘膜のシートを
乱暴にこじ開けられ
たっぷりと溜め込んだ皮膚の水分を
絞りとられるのだ

たいせつ ....
心の屈折率が違うから君と相対して話せない
記憶の圧縮率が違うから思い出を共有できない
眼鏡越しに見る世界はとても綺麗だ
舞い上がる大空に

白い紙吹雪

あなたからの最後の手紙


異国へ旅立った

あなたを

辛くても

見送った


いくら待っても

あなたは

ずっと

 ....
なつ の


  お  わりの    あめ が

ぼくた   ち を

  そ       める



    きみ    は


 ど  ん      な いろ


 ....
口紅がはがれた後のりんご飴 確信犯のうつくしいきみ


こんなにも渇いていたと知らされる 始めのひとくち貪る夕べ


日に焼かれ濃縮された僕達を還元しては味見する海


やわらか ....
夜霧の向こうで、
待っている。
蝸牛。

にょきりと、
角を出してご挨拶。

こんにちは。

ゆるりゆるり、
糸を引き。
てらてらり、
雨水舐めてゆきま ....
よくわからない食べ物を食べ
よくわからないものを着て
よくわからないけれど生きている
よくわからない神仏を仰ぎ
よくわからない星を見つめる
よくわからないと叫び
よくわからないのに痛み
 ....
うなじのあたりが
ピリッピリしている
神経痛かな
いや、それとも
いつものアイツ

アイツは時折姿を見せる
いや、肉眼では見えないのだけれど
幻覚でもない

ソイツは時も場所も問わ ....
せみ時雨夏の心は風誘い
    剥き出しの肩陽に揺らぎゆく


通い合う心模様を重ねれば
    枕に添えるタオル直して


向日葵の風の音遥か陽に遊ぶ
    日 ....
静寂の海
咲いて波間に
ほの白い影を落とす月

寄せる波は
真夏の喧騒
返す波は
秋の訪れを
それぞれに伝えて

移ろう季節を人知れず
見送り
迎える

久遠の光は ....
小さい色したカエルの子
小さな瞳で恋をして
一億年が過ぎたけど
健気で綺麗な心映え
心はすこしも変えないで
透き通る小さい瞳で見つめては
小さい色に恋をする
きょだいな
へりくつのかたまりが
そらからおちてきて
まちのたいはんをおしつぶした
こうえんのかぞくづれも
やくばのひとたちも
へりくつのまえでは
ひとたまりもなかった
みんなのつ ....
あかんぼ
胸にうづくまる

僕の同級生の女の子
が産んだんだ

その子を僕の母親
が抱いて笑っている

僕は31
子供はいない
頭がからまる

あかんぼいいな

僕が笑う ....
まだ幻になるには早すぎる夏

したたる汗を拭きながら
影を引きずってみる

昼下がり
気がつけば青信号は点滅し
横断歩道は白くアスファルトを削っている

そしてゆらりと
行き過ぎる ....
玄関の靴脱ぎ場で
わたしはあなたと話をしていた
あなたの欲しい不動産の話
わたしの欲しい不動産の話
玄関のドアは閉まっていた

肩にかけた鞄
夏の玄関は暑く隙間もない
わたしは不動産を ....
つーら つーら

流れてゆきます 時○
 
流れてゆきます 血○
  
流されてゆきます 財○
   
流されてゆきます 人○

さよさよと さやさやと
流れるまま 流されるまま ....
夕立が無色透明装って世界の色を塗りかえていく


夏草で作りし花冠捧げればいろどり添える幼い香り


真夏にしか開かない扉見つけ出す触角のばせ跳ねる子供ら


縁側で午睡のさなか風鈴 ....
休日をうだうだとねっころがって過ごす
時々
素足をぺとーっと
重ねて

あなたがうるさそうに
足をはらう
ので

わたしは
ごろごろとベッドの端へ

SOS
SOS
ベッド ....
    卵を産んでいる親蜘蛛を
    卵と一緒に握りつぶして
    やさしい少女の顔をした少年
    そのままの手で夏の樹を抱く
私には保証書がない
雨は灰を帰すから
空が大地が、きらめいている
くやしい
鮮やかすぎる日中

それでも静かにお茶する。
珈琲の苦さが、じんわりと重みのなかを通過して沈み広がる
夏でも ....
声色を憎んで 鮮やかに失えば
月明かりの下 子猫が呼んでる

子守唄を奏で 艶やかな貴女は
あの日に繋いだ その手切り落とす

(さくら さくら) 夜毎に咲くは
(さくら さくら) 赤く ....
{引用=エレクトラ、たったひとつの恋なのに琥珀の瞳に総てを凍らせ}



{引用=041:迷}
「迷ったら、やめる」家訓の中ひとりメビウスの輪を愛する小娘


{引用=042:官僚}
 ....
月が月こぶ月の憑き月浸かれ点きし月の輪突刺す月の眼



酒と詩と歌う口からごあいさつ草の上にも眠れ夜の獏



探すのかさすらうのかはこの樹にもたどる葉脈花弁の夏日
 ....
 ベートーヴェンのピアノソナタ第8番『悲愴』の第2楽章がピアノ三重奏によって奏でられるうちに、静かに下手にひとりの男が現われる。やがて上手からもひとりの女が現われる。そうして次々と現われた登場人物たち .... 突然こんな言い方ってないけれど

あなたとあの人を

秤にかけた訳じゃないの

どちらが得かなんて考えてなかった


季節は心のためらいも知らず

訪れ去るのですね


あ ....
両手に降りしきるパズル

ひとつひとつの破片にふれる隙も

与えてもらえない大手町の足枷

待ってよ、いまこの目で見たのに

落ちてしまえば影さえ残さぬプリズム



違う ....
瞑想し、神秘的なオーラに包まれると
彼はあらゆる奇跡を起こすのだった
水は固いと信じれば水の上を歩き
虹の向こうに幸福があると思えば虹を渡った
彼は奇跡の力をどんどん強めていった
今夜、夜空 ....
いつだって取り分け用事はない手紙暑い夏ですお元気ですか


熱き息傍らに聞き盆送り今日の日の人毎日の君


にわか雨染み入る砂浜のごとくのどかに揺るる稲穂のごとく


便箋の印に沿い ....
しらいし いちみ さんのおすすめリスト(1064)
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