微かな水滴が
雨の存在を地上に示す

磁力線に沿わず自由な思想で
舞い落ちる雨粒は
落下する意思そのもの

季節の移りを告げてまわる風が
鈍色の雲を次の季節に追いやり

残り火がわ ....
わたしのキャンディーボックスは閉鎖的な雰囲気
零れ落ちるわたしの手のひらにはフェイク
あくまでアップルフレイバー
でも一粒舐めると甘い夢を遡上する
わたしの原始的回顧
エヴァは、何故、林檎を ....
これまで

神といった神を
信じるでもなく
疑うでもなく

言わばあまりに無関心で
ありました


けれどもし
許されるなら
病に臥す若き母親のために
祈りを捧げたいのです
 ....
あのひとのまちは
晴れるだろうか
あのひとのまちは
曇りだろうか
あのひとのまちは
雨だろうか
………

あのひとの季節には
どんな花が
咲いているのだろう か




 ....
しらないのですか

 しらないのですか

わたくしはもはや
すがたなきもの

たいしゃはすれども
かれはのしたの
つち
とおなじ
からだをもっているのです

しこうはすれども ....
{引用=

吸って
胸の奥深く
ため息
にもなれない
わたしの
中の

はい

{引用=
こんとん ふつ ふつ

そこより いづる

いき

透明な箱の行き先ボタンを押したところで
君の行き着く先は選択出来ない
目をかっと見開いていても
ロバのように耳をそば立てていても


透明な箱の行き着く先は
既に決まっている


 ....
乾燥が吹くわけではない乾燥はドライヤーからにじみでるのだ

光源を通過しながら我々の地球ごときとそっちにのける

運動だきみがあちらにいくのならこちらのぼくは力学どおり

夕暮れに彼女の髪 ....
九月
雨が多いのは毎年のことで
それはさしてめずらしいことでもない
のかもしれない

秋というにはまだ早く
ちょうど残暑という言葉があてはまる
そんな晴れの日も多い
九月


家 ....
肩が
うっすらと重みを帯びて
雨だ

気がつきました
小雨と呼ぶのも気が引けるほど
遠慮がちな雫が
うっすらと

もちろん
冷たくはなくて
寒くもなくて
そのかわり少しだけ
 ....
変動を予見する者微熱持ちひとはひそかに囁き交わす 

自爆テロ現場に残る指先の紅あざやかに風を掴みぬ

メッセージカードいちまい落ちている楽屋にランプシェードの黄色

柔弱でありつづけるこ ....
 何ともやっかいな詩人を採り上げてしまったものである。しかし、一度決めたからには、筆を先に進めなければならない。
 入沢康夫は難解な詩人である。とても一筋縄ではいかない。僕のような素人が立ち向かうな ....
眩しさの中にいるとは知らぬ頃 ひかる手足を隠そうとした


境界は線ではなくてざらついた手触りだった 校舎みたいな


放されて時間通りに戻るのは別に躾の成果じゃないんだ


夕暮れ ....
  
  「本を読みなさい」
  

   その人はそう言って
   夕暮れて図書館が閉まるまで
   わたしの隣で静かに本を読んでいた


   映画を観なさい
   音楽を聴き ....
夢がいろづいていく

こんもりと繁る みどりのなかから

そらが冷たく 澄んでいくごとに

ほほを そめていく 木の葉

ほら また ひとひら

風に乗って 旅立っていっち ....
幾千幾万の人波は終わりを告げない


すれ違う一つ一つの顔を
忘れる代わりに
白の背中が
鮮烈に映える

本当は
黒であり
青であり 
赤であるかも知れないが
白で良い ....
 




   膝をたたみ 目を伏せて
   思い出すのは
   折りたたまれた空に見つけた夏のかけら
   黒髪が 風を誘った雨上がり

   わたし ここで猫が飼いたいの
 ....
かくすためだけの
キャミソールに飽きて
このごろは いつも
はだかで過ごしている


夏はまだ
わたしの腰の高さで停滞している


午後4時をすぎると
夕凪に 夏がとけてゆく
 ....
てれびをみるきょうだいのよこに

みたらしだんごが

いっぽんあって

いっぽんには

さんこささっていて

きょうだいはひとつずつたべて

のこりのいっこをふたりでうかがって ....
乳白色の
血を流す
草の名を忘れてしまい
野原にからだをうずめた

満天の星の鎮魂歌を
あすの朝の火に{ルビ焼=く}べて
壊れた時計の可燃率とともに眠る

忘却は
時を経るごとにや ....
あれ、おかあさん

この花火どうしたの、もらったの


今日はけんちゃんの命日だからね

買ってきてもらったんだよ


こんな暑い日だったのですか


いや戦死公報に ....
誰にだってあること


こんなに淋しい
ひとりきりの昼間は
妙にアイスクリームが欲しい


  ときどき部屋の時計が
  止まってるけど、それは
  数えるのをやめただけで
   ....
君はあっちを向いているよ。
なぜ あっちを向いているのか私は知らない。

君は何か考えてたよ。
何を考えてたのか 私はわからない。

でも 背中を合わせて
私はこっちを向いて
君と一緒 ....
室外機 夏のプロペラ ぶんまわし 飛ぶんだいつか ビルのボルト引き抜いて 緑の木々がゆらめいたり
遠くのコオロギが聞こえるということ

低い雲が重々しく北へ向かったり
小窓でレースのカーテンがはためくということ

白い水鳥のひと群れが南へ進路を取り
黄色い砂粒 ....
秋のはじめの
雨は優しく
しずかに
しずかに
色をさす

花かんむりの薄紅
手折るのを忘れ
肩にも雨は
優しく降りる
せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう ....
落書きは消さない
向かい風にむかって
ときおり模様を懐かしむ
みあげた空がいとおしいなら
転べ、青い獅子

記憶にとどめたい
最後の絵を抱えて    
おれの神さまは
無慈悲で かわいいやつだぜ
傷口から したたる詩を
無邪気に よろこんで
唾 吐きかけやがるんだ
しらいし いちみ さんのおすすめリスト(1064)
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