すべてのおすすめ
久しぶりに三人で手を繋ぐ
いつもより寒い冬
汗をかいた小さな掌は
どことなく妻に似ていた

歳を聞けば指で
三本や五本を出していたのに
今では両手の指すべてを使わなければならない ....
話に尾ひれがついて
泳ぎだす速度で
泳ぎだす
身体にあたると少し痛く
自分の血はまだ赤い

眠たい目を擦りながら
恋人のだらしない口元にキスして
唇から溢れたものは
唇に戻る ....
部屋に突然インドがやって来て
勝手にインダス川を氾濫させるものだから
部屋は水浸しになるし
大切にとって置いたものも
すべて流されてしまった
これは何の冗談だ、と
食って掛かっては ....
夜の更ける頃
君の身体から
今までに聞いたことの無いような
音が聞こえてきた
安らかに君は君の中で
溺れているのかもしれなかった

+

縄跳びの回数を
数え間違えて
少女はずっ ....
太った男の人が
日向で陽の光を浴びて
まだ少しずつ
太っている
やがて坂道経由の犬がやって来て
すべてを食べてしまった

+

お座り、が得意な子でした
お手、もしたし
 ....
焼き鳥が
香ばしい匂いを振りまきながら
暁の空を行く
カルシウムでできた複雑な骨を失い
たった一本の竹串を骨にすることで
初めて得た飛行を
力の限り大切にしながら
もうコケコッコ ....
手に触れるすべての
温度と湿度が
いつもより優しく感じられる
マリオをやれば
たくさんコインを取れる気がする
喪服に袖を通す
今日はもう
泣かずに済むのだと思う

+

 ....
人の嘘で
鳥は空を飛ぶ
鳥の嘘で
ドアは人を
閉じ込める
ドアの中で
人は鳥を
飛ばし続ける

+

いつも
三人なのに
いつも
八等分
してしまう

+

 ....
朝のやかん
なぞって
もう一度寝る
エビの夢を
見ながら

+

階段
すべてが
階段
そんな
建物

+

夕刊の
「帰」という字を
黄色く
塗っていく ....
口をふさいだ人と
耳をふさいだ人が
ただ見詰め合ってる

目をふさいでいるぼくに
きみが教えてくれた

冷え性のきみの手が
ぼくの身体のどこかに触れていて
少し温かい

何も見な ....
タクシー未満の部屋を
間借りすると
運転手がいません
タクシー未満の部屋なので
運転手未満の僕がいます
それから線路のように
どこまでも間延びした
顔の恋人
そのために僕は ....
投げやりなタコ焼きが
ソースの匂いを振り撒きながら
僕を食べに玄関まで来ている

食べられたくない僕は
お守りを握りしめるけれど
よく見るとそれはカブトムシの幼虫
行き所を無くし ....
この大きな水たまりは俺がつくってしまったのか
海を前にして蛇口は茫然と立ち尽くした

もしかしたら俺の栓を大事に開け閉めしてくれた人たちの家も
どこかに沈んでいるのかもしれない

そう ....
どこからかまた盗賊が来て
盗んでいった
かまぼこ板だけなら良かった
かまぼこまで盗まれたら
僕ら家族はかまぼこを食べられない

子供たちは泥棒さんが来た、と大はしゃぎし
とりわけ下の子は ....
モノを置かないでください
と張り紙のあるところに
モノを置いた

そんな些細なことがきっかけで
そんな些細なことの積み重ねだったのだろう

「いつもの」
そう修飾された朝は
あっ ....
せっかく外に出たのだから
妻と娘に土産を買って帰りたかった
二人が泣いて喜ぶようなものではなく
小さな包みのもので構わない
ほんの少し甘いお菓子で
お土産買ってきたよ
あら、ありがとう ....
種子が私を追い越そうとしている
それはとても嫌なことなので
速度を上げる
と、背が少し伸びる
冬に逝った人の名を
夏の終わりになって
帳面に書き足す
遠くが見えるということは
かわ ....
生きていくのだ
ブルゾンに袖をとおして
ショップの店員が
ボタンを掛け違えたまま
しめやかに執り行われます
本日の埋葬
自分しか見当たらない台所で
悲しみの真似事をするのは止めに ....
矛盾した水槽の住人は
矛盾した椅子に腰をかけ
矛盾したテーブルにクロスをかけ
矛盾したグラスで
矛盾したワインを飲む

矛盾した水槽の住人は
毎日が矛盾しているから
その矛盾し ....
あるいは
ロボットがいるかのように
僕らの生活には
ささやかな潤いがある

目覚めとともに
お互いの強度を確かめあう
もう細胞壁を持たない
サブウェイ、いくつかのヒューストン
 ....
曇った窓ガラスに
家の印をつけて
それから
母の勤めている店の印をつけて
でたらめな道でつなげる
窓が汚れるから、と
後で怒られたけれど
それがわたしの初めて描いた
世界地図でした ....
君がぽかんと口を開けているのは
口の中で風が吹いているからだ
その正体が何であるのか
問う方法も知らないまま
ある日突然に
君は君であることに気づくだろう
そしてそれは
君が君で無いこと ....
何を忘れたかったのだろう
街に一つしかない小さな駅で
男は窓の外に向かって手を振った
無人のホームでは鉢植えに植えられた
カモミールの花がゆれるばかり
やがて男を乗せた列車が発車すると
駅 ....
男は冷蔵庫の中で傘を飼育している
夜の方が良く育つときいたので
朝になるとわくわくしながら傘に定規をあてるのだが
傘の長さが変わっていることはなく
その度にがっかりする
けれど男は知 ....
娘は将来アイス屋になりたいと言う
好物のアイスを好きなだけ食べられるから
ではなくて
沢山の人を幸せにしたいからだそうだ

いっしょにお風呂に入ると必ずその話題になって
バニラ ....
しらいし いちみ さんのたもつさんおすすめリスト(25)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
初詣- たもつ自由詩5206-1-2
- たもつ自由詩1405-11-2
小詩集「書置き」(九十一〜一〇〇)- たもつ自由詩29*05-10-31
小詩集「書置き」(八十一〜九十)- たもつ自由詩2105-10-23
小詩集「書置き」(七十一〜八十)- たもつ自由詩1605-10-18
小詩集「書置き」(六十一〜七十)- たもつ自由詩1305-10-13
小詩集「書置き」(五十一〜六十)- たもつ自由詩1205-10-10
小詩集「書置き」(十一〜二十)- たもつ自由詩37*05-10-2
小詩集「書置き」(一〜十)- たもつ自由詩1705-9-30
体温- たもつ自由詩1005-9-27
間借り- たもつ自由詩1105-9-26
波音- たもつ自由詩805-9-20
濃度- たもつ自由詩16+05-9-19
盗賊がまたやって来た日- たもつ自由詩1805-9-16
修飾されない朝- たもつ自由詩4105-9-15
漂流- たもつ自由詩3105-9-6
自由研究- たもつ自由詩14*05-8-30
ブルゾンに袖をとおして- たもつ自由詩905-8-8
僕の中の矛盾した水槽- たもつ自由詩1205-8-7
ケージ- たもつ自由詩805-8-6
童話(指)- たもつ自由詩3805-7-27
子供- たもつ自由詩38*05-7-23
七人の男(手を振る男)- たもつ自由詩41*05-7-12
七人の男(傘を育てる男)- たもつ自由詩4705-7-7
十階の家族- たもつ自由詩100+04-12-11

Home
すべてのおすすめを表示する
推薦者と被推薦者を反転する