まるで白昼夢だ
満月の頃
青空に黒い月が浮かんでいるように
胸には小さな宇宙のような穴が開いていて
埋める星の金平糖を探し続けていた
潮の香りの染みついた
大きな河の静かな照り返し ....
あなたが好きなのに
あなたの姿をみながら
交差点で右折するバスに乗ってるみたいに、
永遠に逢えない。
整えられた本棚のなか
しょくぶつ、と、てんたい、の
あいだにはさまれ ....
この花は永劫の畔にゆれている。
あまたのうつろいをながめ
蕾という名の一輪となって。
風よりもとうめいなあなたの声が、
水面をやわくなでている。
どことも知れずに吹いてきては。
....
たとえ
俺が歩けなくなったとしても
路は途切れないさ
たとえ
俺に朝が来なくなっても
街路の樹木は立っているさ
たとえ
俺が夜に溜め息をつけなくなっても
繁華街の立て看板に明かりはつく ....
ミツバチは
足し算を理解する
引き算も理解するそうだ
CNNのビデオツイートに思考が止まった
青は足し算
黄色は引き算
紙に数個の図形が描かれている・・・?
入り口の向こ ....
夏の花巻
駅を降りたち
しばらく歩くと
緑の草地の中に
北上川はあった
イギリス海岸に
たどり着いて
小高いところにある
一つのベンチに腰掛けたとき
思うこと考えることの相違が
....
ミハイルには翼が四つある
バーン=ジョーンズの絵画のように美しい優雅な翼だ
けれど目には見えない その背中には何もない
ミチルは三つ ミーチャは二つある
わたしの翼はひとつだけ
片翼 ....
本屋で詩集を開かない
頁を開いたとたん
良い作品は
否応なしに
脳裏に直撃するから
理由のない涙が溢れ
店員が心配して近寄ってくるでしょ
恥ずかしいでしょ
***
....
少し早く出かける
済まないがと
彼がつぶやく
老いた女が項垂れて座り
若い女が水を飲みに立つ
それから彼は黙って
寂しい灯りの並ぶ切通へ
ゆるゆると上って行く
いいのかな ....
雪のふりつもる音を
私の耳はとらえているのだろうか
青い夕暮れに白い雪ぱらぱらふるふるもっとふれふれ
夜 雪は少しの光を乱反射してほのかに明るく
しずかに しずかになっていくけれど
....
その水道からは愛は溢れるのだ
しかしお前は
蛇口の捻り方を知らないが為に
グラスはただ薄汚れていくばかりである
誰にも教わることもなく
恥と傲慢の隙間から手を伸ばし
ようやく蛇口は ....
ほら、樽のなかでお眠りなさい
煩わしいすべてをわすれて
檸檬かしら、いえ、林檎でもいいわ
樽のなかを香気で満たしてあげます
息を潜めて、あ、とも、うん、とも
言わないで猟犬を連れた ....
月曜日は湿気った煙草を吸ってた
嫌になるぐらい肺を膨らませて
病めるときも健やかなるときも
しらねぇよっ、て知らないふり
あの角によくいた犬は?
おれの車のボンネットで昼寝してた
猫は ....
今日が、微睡んだ瞳の奥で
希釈されていく
感情は、乾いた風に吹かれ、干からびて
身体の襞に折り畳まれる
けれど、記憶はいつかまた蘇る
あなたが必要としているものは
全て ....
一人にたった一つしか持たされていなかった
それを
いつかは黄泉の国に落としていまうとわかっていても
一分でも一秒でも長く持っていたいのは
誰しも切に願う事
名を呼んだけれど応答がなかった ....
広い空にはなんにもなくて
仰ぎ見る人は口を開ける
これは翼、と
遠いところへ行くよ
子供のころの君が寝そべって言う
私はまた一人になった
転がっている石なんか拾わない
昨日のこと ....
腕時計をつけたまま眠る
決まった時間にお腹が減るように
またぼくは金色のボタンを握りしめて
祈るように 悪い子
沈むように
きゅるりきゅるり
ぽぽぽ
....
私が喫茶店の一隅に座ると
非人称の意識が渦を巻き始めた
)眼前のアイスコーヒーはシャリシャリ音を立てて波打ち
)ガラス張りの向こうは見事な晴天で
)遠くで笑う老人の顔はとても幸せそうだ
....
目覚めの一杯、その珈琲は
欠伸より先に注がれて
眩惑が晴れたのちに
細胞膜へと浸透してゆく
窓際の古い毛布を染める東雲を背に
明けの明星は針であるかのように
在りし日の純白に突き刺さる
....
東京の風がつよい
霞がかった青空だ
むりやり既視感を
呼び起こさなくても
子供のころ学校で
教室の窓にうつる
運動場や町並みだ
あのころの細胞は死滅してて ....
顔ゆがむ
酸っぱい
季節の嵐に巻き込まれた
大渦巻きのなれの果て
に耐えかねて
心の隙間に手を入れてみた
ポツンと、誰からも
理解されない
細くてか弱い
アドレスがあった
....
今日はもうお休みにしたい
前髪のまとまりが悪いから
誰にも会いたくない
数年に一度の電気点検
チラシがきてはいたけれど
居留守を使ってしまう
ほんの少しの罪悪感を
胸の奥で握 ....
世界は無から「生まれる」という感覚は少し違う
ただある途方もない無がふと区切られるだけのこと
僕がただ目を覚まし、見ると
世界は無から時間や場所や僕が区切られて「在る」になる
世界は何も変 ....
どこか楽しいところに行こうか
平日で季節はずれで
誰もいないような
そんなテーマパークがあればいい
小さな車ですいている道だけたどって
近頃君が好きになった外国の音楽を流して
ほんの少し窓 ....
俺の親父の誕生日を祝うために市場で食材を買う女は
そのちいさな宴を終えて
車から降ろされるまで大声で歌うことをやめなかった
白骨死体が見つかるまで俺を探しつづけるような女だ
俺 ....
黒い森に満ちてくる水の囁き
乱立した死を足元から咀嚼して
本能すら気づかないまま飼い馴らされ
鳥も猿もみな魚になる
愛の骸の揺籃は腐った銀河のよう
崩れ去って昼も夜もない今
柔らかな時計の ....
午後になったら
ノコギリで
トタンの小屋を建てる
夜
腹が減ったら
インスタントのラーメンを
フライパンで作る
今日の時刻表は車掌が作る
明日はボクが飼ってる山羊の担当
ゆるすからゆるされるのだ
ゆるさないからゆるされないのだ
あたしをひきちぎる
あなたのひとみ
にんげんみたいなぬいぐるみ
悲しみのピアノ
短調の和音
ゆび ....
おいでんさい、おいでんさい
ここは誰もが座れる
椅子の広場さ
人は空に
空は蜂に
蜂は花に
花は大地に
大地は海に
海は光に
光は蜂に
蜂は花に
花は人に
なにに座 ....
認められてぇの病気です
あんたの心に刺さりたいんです
深く
浅く
どっちでもいいけど
まぁピンと来て
ポチッとされて
あぁ快感
くだらないサイクル
よそはよそ
うちはうち
....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37