シグナル―時計と写真―
ペペロ

俺の親父の誕生日を祝うために市場で食材を買う女は

そのちいさな宴を終えて

車から降ろされるまで大声で歌うことをやめなかった

白骨死体が見つかるまで俺を探しつづけるような女だ

俺はいまじゃ死者だから

俺の過去にも俺のいなくなった世界の過去にも行ける


だからと言うわけではないけれど


俺のいなくなった世界がつづいている世界にも行ける

時計と写真のような関係

時計が写真に微笑んだり写真が時計に微笑んだりする

気まぐれな神さまはときどき世界を少し変えてしまう

でも諦めずに幸せになれ

泣くようなことではないのだから諦めずにそう幸せに





自由詩 シグナル―時計と写真― Copyright ペペロ 2019-01-27 16:17:58
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