シグナル―時計と写真―
ペペロ
俺の親父の誕生日を祝うために市場で食材を買う女は
そのちいさな宴を終えて
車から降ろされるまで大声で歌うことをやめなかった
白骨死体が見つかるまで俺を探しつづけるような女だ
俺はいまじゃ死者だから
俺の過去にも俺のいなくなった世界の過去にも行ける
だからと言うわけではないけれど
俺のいなくなった世界がつづいている世界にも行ける
時計と写真のような関係
時計が写真に微笑んだり写真が時計に微笑んだりする
気まぐれな神さまはときどき世界を少し変えてしまう
でも諦めずに幸せになれ
泣くようなことではないのだから諦めずにそう幸せに