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きみはときおり
溶けてしまうね……
信号機に架かる
朝の虹を
ながいあいだ眺めて
お腹から
消えていく
涼しくさわやかな風も
去っていくみたいに
海のなか ....
夏に買った
金魚鉢は
金魚を飼うための
金魚鉢なのに、
いまではもう
青空を飼ってしまっている。
いつか知らないうちに
金魚が青空に
溶けてしまったという、
嘘みたいな嘘 ....
わかれのよかんをかんじたら
おんなはすばやくはんのうし
あたしをどおしてきらうのと
きっとつめよることもする
うそだ
うそです
うそだといってと
きらわれてもいい
すがりつ ....
恋愛をもうやめたのねきみひとり《幸せ》になれていいねと風吹く
愁あるおんなの仕草が試される《詩》を書く涙のわけとは無縁の
泣かないで強い大人になるんだろ、わかっちゃいるけど止ま ....
神なき時代、
しかしもう嫌だって云わない
人は明るい明日へ向かって
向かって、行くものだ
私なんかいらない、
痛む内臓が嘘をつくよ?
忘れたころに昔に戻り、
言葉がまだ生きてい ....
一夜、すぎ
油の匂いのする聖水の
油膜を
洗い、すすげない、
その匂いにキャンキャン鳴いている
かしこい顔の犬を追いはらい、
泣きそうな君を
バス停までだけどね
見送ったのに、
君の ....
うわっ。だめだ。
月曜日って毎週、けっこう辛かったりするけど
今日はちょっとマジメに辛いわ。
まぁ、
誰も悪くなくって、
わたしひとりが悪いっちゃ悪いんだけど。
なら、
....
からめあった足の白さが
波打ちぎわまで押し寄せてきた
夜半にくるくる回る満月
血に濡れた髪を真銀に染める
あなたの友人は
みな海底から這い上がり
石榴の頭であなたにすがりつく
....
閉じた目をあけたとき
私は一個の月となり
孤独な三日月の
寒さに凍えたのでした
ふるふる震える
突き刺さった星の旗は
悲しみから遠く離れて
無関心なあの丘の上で
風に吹かれ ....
さかなのひれが走り
海はのどかに青い石をのみこむ
くじらのせなかに白い
かげがえんえんと生えている
むろん海だけじゃ
生きていけないから
あたたかなほうようをおこなうのは
水平線 ....
夜になると
いちにち恋をひとつ
棄てようと思って
田んぼの畦道で夜風に
洗われています
やることがほかにないから
しかたがないのです
ここ ....
月あかりの降り注ぐ庭
馴染まない舞踏の催しはいつまでも続くのだろうと
諦めていたのに
私は彼女の踊りに
心を撃ち抜かれてしまった
生まれて初めて私の瞳に私の光が映った
瞬間だっ ....
その深き夜
ぼくたちは
この世界に巣食う
この世界の地の底を這いまわる
ふたりっきりの
蛇なのだと自覚した
それからぼくたちは
かつてよりよく知っていた幸せを
....
あなたが好きなのに
あなたの姿をみながら
交差点で右折するバスに乗ってるみたいに、
永遠に逢えない。
整えられた本棚のなか
しょくぶつ、と、てんたい、の
あいだにはさまれ ....
顔ゆがむ
酸っぱい
季節の嵐に巻き込まれた
大渦巻きのなれの果て
に耐えかねて
心の隙間に手を入れてみた
ポツンと、誰からも
理解されない
細くてか弱い
アドレスがあった
....
まだ生きる
蜜柑の香りのする居間で
ふたりに夜なし、死の絆なし
新月に
聴こえる星降る歌の声
赤い少女の唇にも似せ
羽根のない
詩人の傷は恋となり
ふた ....
浮き輪を
投げてあげたい無数の暗い努力の腕
アデューって挨拶を
輝く笑顔で友のためにする
好きなだけ
好きだから。
一番最初のまだ青い石榴の実は
眠るための大人の詩に
し ....
1
枯れた桜の木のトンネルの下を歩く
破れ果てた網戸の運命のような青空の下
じぃ〜ん、じぃ〜ぃんと
死ぬまえの蚊のような、
けがれた沼の精のような、
虫がとんでいる。
青 ....
暗い道を歩いていた
道端に三色すみれの咲く細い道
月は三日月 傾いて
笑って私を追いかけていたっけ?
その あしたへむかう真っ白な道を
未来へと至る ....
我が名を、
呼べとうずくまり小雨に濡れて
黒猫を抱きしめて目をつむる
そこには、
孤独など感じられない
死にたいとも願えない
暗い絶望が、
コールタールになってい ....
それは 悲鳴だったか。
夜、
星空に吸いこまれた
めざめれば消えてしまう
夢の中の笑い声。
とつぜん黙ってしまった
橅の森の中で
目に見える
淡い緑色のそよ風 ....
ぼんやりと希望の光が眩しくて
何度か眼を逸らしたので
まるで世界が悪夢のようで。
一生があまりにもなごり惜しくて
むかしから闘う虎になりたくて。
ほんの一瞬 明るい未来 ....
『傷つかないで』と言われても
そんな風に心が自由に操作できるものなの?
思うように世界を操れるの?
あなたがそばにいてくれたから
私はうぬぼれてしまっていた。
あなたを想う私 ....
蛇が川の上を駆け、
葦の草むらへと向かっている。
冷たい小雨をはじき、
さまよう古代の戦士の亡霊たちとともに。
詩人には見えない明るい涙の笑顔が
誰の読み物をも読めな ....
愛を直視して、みせて
僕が君を好きな理由を
勢いにまかせて、告げようとした。
私もそうなの、と、
味のないガムを吐き出すより早く
目も見ないで言ってくれて
好きな理由を言わ ....
とくべつな愛されかたをしたかった
紅色の、燃えるような声で。
まるで悲しみをすべて暴き出してしまう
慈悲のかけらもない冷たい蛙の眼つきで。
寂しいひとり寝の暮らしなど
....
あの 夜はひとりで寂しくなかった。
ただ、貴女がいないのでとまどった。
どこへいったのかな
さがしてもさがしても
風の音しか聞こえてこない
あたたかい声が夜空から ....
知ってたつもりだったけど、
ほんとうは、知らなかったんだ。
みんな、ほんとうに、蛇が嫌い、なんだ?
蛇が消えた。
戻って来てくれと願う。
もう、無理かもしれな ....
赤い三日月が東、
その尖った切っ先から
なにかを滴らせている。
舌足らずなきみの言葉では
心に届かないなにかを。
この街にある
この国でもっとも高い建物のせいで
ほんの少 ....
ちいさく囁くのは、
この街に染められた心が勝手に、
懸命に悲鳴を我慢して漏れた
生き残るための
こころの絶叫のひとひらの花びら。
樹氷のビルの屋上に立ち、
過去の私の ....
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