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逃れ去っていく
逃れ去っていく記憶の
その核心を掴もうと
広がる鉛の海を泳ぐ、泳ぎ続ける
 
 失われた薔薇の花と団欒
 終わった関係と更地
 虚脱の時を刻む秒針

静まっていく
 ....
肉身の疼く
夜陰の沈黙に

心は乱れ不安に駆られ
詩と死と戯れる余裕すらなく

焼酎を二杯、三杯と

焼け付く視野に
蜘蛛の巣張り

払いのけても払いのけても
辺り一面の糸は切 ....
青、
樹間に揺れ
白い巨鳥、
羽ばたいて
僕は行く
天に呑まれ

光の矢、光の矢!

蒼穹は割れ
漆黒の宇宙が唸っている
今日高曇りの空の下、
肉を引き摺り歩いていた
春という大切を
明るみながら覚えていく
妙に浮わついた魂を
押し留めながら、押し留めながら

離れていかないように
剥がれていかないように ....
雨が降る
漆黒のタール、銀に輝かせ
雨が降る
懐かしい匂い、散布しながら
雨が降る
遠い記憶の感触、浮き上がらせ

今宵すべてすべて静まり返り
わたしは独り寝の床を整える
未知の予感 ....
小雨は
薄日を乗せて
銀の色

濡れて
照り映える
ふくらはぎ

白く優しく季節に溶け

小雨は
薄日を乗せて
銀の色

遠く
夏の予感を
膨らませ




 ....
空間に
手を差し出し
ゆっくりと
上下左右にかき混ぜる 
けれども
存在する
はずのグラスは
見つからない
空間は
次第に重く澱んでいき
だらんと開いた手のひらに
粘りつくように ....
今宵、
白い部屋に
在るもの在るもの
自らの輪郭を鮮明にして
回流する澄み切った夜の空気に
すっかり馴染んで留まっている
横たわっている私もまた寛ぎ
在るものたちと繋がり合う、
揺るぎ ....
雛鳥の
巣を抱くような
恋をして

心臓を
貪るように
交わって

雪の降る
街で
そっとお別れを

そんな
お伽噺のような
時を過ごし

漆黒と
戯れる今は
孤独 ....
全ての喪失は流れていき
乾き切った胸奥に
氷食地形の
研磨された岩石の如く
哀しみの蒼い窪みだけ
鋭く冷たく穿たれる

(愛は
私の中にある
思いを伝達しようとする
すべての努力を ....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく

やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら

降りていく
宇宙の底 ....
よる
あふれる
かなしい
ゆめだけ



あさ
こぼれる
かわいそう
ことばだけ



ひる
みちる
うれしい
ひかりだけ
遠くの森のザワメキが

木霊するよな青空に

白雲一つ漂って

微睡みの午後に呑まれていく

遠い遠い感覚が

辺りを静かに支配して

わたしはぼんやり日溜まりで

胡座を ....
砂漠に住んでいる
高曇りの砂漠に
暑くもなく寒くもなく
居心地のいい処だ
余計なお喋りもなく
余計な関わりもなく
足元は絶えず崩れながら
孤独に寛ぎ待つことができる

俺はいったい何 ....
君が今さっきまで居た
空間に
光射し込み
無数の影、ゆらゆらの揺れ
わたしの脳裡に鮮やかに
真白い面にピンクの頬、
浮き立ち余韻を
響かせる
から だった
前進しようと思えば未だできたが
から だった

寝ても覚めても
あんまりカラカラと鳴るばかりで
もう嫌気がさしちまった

(なのに夢の空はまた
淡い淡い紅に染まり
何 ....
静けさの
充ちて
落ち着き払う
この夜陰、
独り在ることに満ち足りて
私はゆっくり沈んでいく
底抜け宇宙の底の方へ
私はうっとり泳いでいく

其処は貴女の声、発せられるところ
其処 ....
生牡蠣の緑は
内蔵のオー
真珠の淡いピンクは
皮膚のウー
冬の夜に吹き抜ける寒風は
頭蓋のアー

アー ウー オー
オー アー ウー
遠く遠い去る去り逃れる
憧れ懐かしい戦慄の
 ....
私が喫茶店の一隅に座ると
非人称の意識が渦を巻き始めた

)眼前のアイスコーヒーはシャリシャリ音を立てて波打ち
)ガラス張りの向こうは見事な晴天で
)遠くで笑う老人の顔はとても幸せそうだ
 ....
海が薄暗がりのなか
世界を満たす溶液のように
広がり
わたしは
裸で泳いでいく

貴女の不在を知りながら

貴女の声の余韻に包まれ
宛もなくただひたすらに
切断された記憶の奥へ
 ....
遠くで鐘が鳴っている
ひんやり切ない秋の日に
何処までも高い青空に
追いかけても追いかけても
決して追いつけないあの場所で
(金木犀の花が軌道を舞い
秋の大気が生まれるところ)

遠く ....
ひたすら憧れて
螺旋階段を昇っていく降りていく
根無し草の宙吊りで
呼ばれるように拒まれるように
(何一つ叶えられることはないのだと)
遠い遠い鐘の音を追いかけながら
ただひたすら憧れて
涼やかな風が吹いている
寂しげな曇天に包まれて
秋の気配が漂っている

僕は相変わらず臥せっていて
君の姿は遠くある
遠く響く君の声
僕は抱きしめ此処に居る

君、ぼくたちはどこから ....
熱風が吹く夏の午後
僕は木陰に座っていた
何一つ考えることなく
ただ予感がヴィジョンを結ぶまで

草木が揺れ
積乱雲が流れ
風景は異郷と化し
一日も百年も等しくなって
裸の少女が夢見 ....
もとこさんのひだかたけしさんおすすめリスト(24)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
その時その瞬間〇寂寥と平静- ひだかた ...自由詩720-9-6
予兆(改訂)- ひだかた ...自由詩320-6-25
光の矢- ひだかた ...自由詩420-6-10
春の意志- ひだかた ...自由詩720-5-22
雨が降る- ひだかた ...自由詩9*20-5-9
銀の雨- ひだかた ...自由詩520-5-6
空と盲目- ひだかた ...自由詩920-4-25
今という時- ひだかた ...自由詩620-4-22
孤独- ひだかた ...自由詩520-4-18
燃やす(改訂再録)- ひだかた ...自由詩320-3-7
夜底- ひだかた ...自由詩420-2-21
一日- ひだかた ...自由詩5*20-2-10
微睡みの午後(改訂)- ひだかた ...自由詩419-5-2
記憶の奥に(改訂)- ひだかた ...自由詩5*19-4-28
君の(改訂)- ひだかた ...自由詩5*19-4-15
Walk・on_14_からがら- ひだかた ...自由詩519-4-12
沈黙の声- ひだかた ...自由詩919-4-9
宇ノ声(改訂)- ひだかた ...自由詩719-2-23
今日もまたこの世界が- ひだかた ...自由詩6*19-1-29
欲動(改訂)- ひだかた ...自由詩519-1-20
憧れ・続- ひだかた ...自由詩13*18-10-3
憧れ- ひだかた ...自由詩918-9-25
エコー- ひだかた ...自由詩11*18-9-11
贈り物- ひだかた ...自由詩6*18-7-21

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