ミライ



彼女の部屋には小さいベランダがある

そこに大きな室外機がどんとある

猫の額に、犬が座っているようなものだ

そんな余白の無い欄外で

ぼくは、タバコをすいたい ....
終わりの始まりは
10歳になった猟師の息子が
父親の古いライフルで
森の木の枝のフクロウを
撃ち抜いた時だった

息子は父親を振り返り
やったと笑い
獲物から最後まで目を離すん ....
月あかりの降り注ぐ庭
馴染まない舞踏の催しはいつまでも続くのだろうと
諦めていたのに
私は彼女の踊りに
心を撃ち抜かれてしまった

生まれて初めて私の瞳に私の光が映った
瞬間だっ ....
枯れてゆく冬に名前はなく
キャベツ畑の片隅で枯れてゆく草花を
墓標にしても誰もみるものはいない

ただ今日一日を生き抜くことが
大切なんだと、うつむきがちに言う人に
ぼくは沈黙でこたえる、 ....
静止した 夕ずつを
灰の妖雲が 覆う
静寂が 孤独な
姉妹のように ひろがる

暗い空の 水脈から
垂直に 降る雪は
地に落ち 鬼火になり
辺り一帯 埋め尽くした

人は こんなに ....
瞑想する 内面の
冬枯れした 感覚
糸はみな 途切れ
気力の輻射は 尽きた

心底の 廃墟を
刃毀れした 憎しみが
夜風となり 撫で
破風のうえには 妖星が流れた

女の 厭世詩を ....
掻きむしりたいほどのこの感情は
時間が忘れさせてくれることもなく
この心の底でいつまでもくすぶる

手のひらの痒みが消えないのと同じで
痒みを忘れることはあっても
またいつかやって来る
 ....
鈴木課長の席に
アリクイが座っていた

同僚たちは
あれ、と思ったが

それが課長の本心なのかな、と
それぞれの仕事に戻る

仕事は終わらない
 
窓の外では
初春の風が
ビ ....
生牡蠣の緑は
内蔵のオー
真珠の淡いピンクは
皮膚のウー
冬の夜に吹き抜ける寒風は
頭蓋のアー

アー ウー オー
オー アー ウー
遠く遠い去る去り逃れる
憧れ懐かしい戦慄の
 ....
眩しい太陽が見たい
強い陽射しが

暗い空も
澱んだ雲も
冷たい風もいらない
横殴りの雨や
蒼の炎を放つ月も
打ち消すほどの
太陽が見たい

空気は冷たいままでいい
眩しい太陽 ....
さけのんでわすれたい
けのんでわすれたいさ
それくらいのめいていしたあたまで
っかちなおまえのふあんかん
はたらいてりゃわすれるか
はたらいてりゃわすれるか
やすみがふあんなんだな
 ....
 風の種を、冬に播き、夏、嵐を刈り入れる。この{ルビ平原=ひらはら}はまるで、ユトランドの牧景の様に、野を、素朴の音が渡り、農人達が、{ルビ獲入=とりいれ}の厳かな儀式を行う。晩鐘色に田の覆われる秋、 .... 答えを探している

答えは至る所に
極めてさりげなく
あるいはこれ見よがしに
散りばめられているのに

コインを拾うように
極めてなにげなく
自分のものにしてしまえば
楽になれ ....
「遠くへ行っちゃダメよ」
「五時までには帰ってきなさい」
生半可に返事をして遊びに出掛けて以来
五時が訪れることはなく
あたしはスイカの横で蒸し暑い砂浜に埋まっている

あたしとママを繋ぐ ....
電子ポットのお湯でコーヒーを淹れる
暖色系の照明に照らされた部屋

木目調の長テーブルと椅子の上で
三毛猫とプードルが遊んでいる

遠い南の島から流れ着いたヤシの実が
潮の香りを運んでく ....
春の空は霞んでいた
梅の花もほころび
ダウンジャケットをリュックにしまい
自転車にまたがり坂を下る
気分は爽快なのだが
次第に世の中の見えない重力が肩にのしかかり
理想的な春の日も消滅する ....
生命線をなぞる
左手のひとさし指でいちど君と
出会った気がした真昼に
やさしく訪れるように降る雨が
こころに刺さる氷柱を一欠片ずつ
溶かしていく夜に冬が泣く
何度も読んだ小説の
一行 ....
鬼灯の実が紅くなると中身を綺麗に抜き取って空にした
それを口に含んで上手に鳴らした

脳裏に仄かな明かり
思い出には靄がかかっていた

子供らはとても無邪気
数人の男のこのなかに女のこが ....
父は固まりかけた膿を溶かし
排出するために発狂している
脳の中に落とし込まれた不穏な一滴が
とぐろを巻き、痛みをともない
いたたまれなくなると腫れ物ができる
やけに透明で黙り込んだ熱量を持つ ....
あの山から降りるのは困難なことだ
見るからに太って大汗かきの男がこう述べた後
突然の暗雲
みなはディナーの手をとめて
お互いの顔を眺めた
そうすれば何もかも大丈夫だと言うように

光雄は ....
もっとも、彼らがそうせざるを得なかったのには理由がある
激しく打ち寄せる波が陸を削っていていそがしく
こまり顔がかわいい少女は星を食べる
水を売る老人が身体を捨てようとしている

激しく打ち ....
紙封筒に
足を
すべり込ませる

乾いたシーツのように
こもる体温
あるいは
薄っぺらな閉塞

体を覆う
紙一枚

意識なきまま
文字もなく
どこへともなく
なに ....
珈琲の中に
城を作った

溶ける角砂糖
火傷する体

十個目の窓に
助けてと願う

白い粒子が
マグカップの色で
塗り潰されて

スプーンで
混ぜると
黒い海に光る
星 ....
誕生日おめでとう
私はだんだん私ではない何かになっていく
その姿をあなたに見ていて欲しかった
止めて欲しいとか
哀れんで欲しいとか
そんなんじゃない
私は
私が変容するさまを
あなたに ....
ヘッドホンで蓋をして

世界の全てにさようなら。

頭の中で騒ぐ感情を
小さな機械から溢れる盛大な音に浸して
終わりのない映像が生まれる

目を閉じるほど音が、風が、匂いが
まず頭を ....
「モラトリアム」

貝殻の中で

海の響きに耳を澄ませていた

澱んだ温かさの中で

海の響きは一筋の救いのよう

澱んだ温かさの中で

貝殻の砕ける日を待っていた
 ....
いつか真夜中に犬たちの遠吠えが
飛び交っていたことがある
あれはいつだったか

野良犬というものをいつからか観なくなり
町はひどく清潔で余所余所しくなった
リードに首輪、犬たちも主人により ....
その深き夜
ぼくたちは
この世界に巣食う
この世界の地の底を這いまわる
ふたりっきりの
蛇なのだと自覚した



それからぼくたちは
かつてよりよく知っていた幸せを
 ....
円はそれを描き重ねていくと

ぎざぎざな多角形になる

円は点の集まりだからだそうだ


何度もそこ通ってた

曇り空

葬式の

垂れ幕みたいな桜木


円はそれを描 ....
まるで白昼夢だ
満月の頃
青空に黒い月が浮かんでいるように
胸には小さな宇宙のような穴が開いていて
埋める星の金平糖を探し続けていた

潮の香りの染みついた
大きな河の静かな照り返し ....
もとこさんのおすすめリスト(1092)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
ミライ- 後期自由詩219-2-25
owl- mizunomadoka自由詩819-2-25
女神が春雷- 秋葉竹自由詩519-2-24
冬の墓- 帆場蔵人自由詩11*19-2-24
- ルラ自由詩7*19-2-24
厭世- ルラ自由詩3*19-2-24
新しい風- 坂本瞳子自由詩6*19-2-23
疲れた- やまうち ...自由詩4*19-2-23
宇ノ声(改訂)- ひだかた ...自由詩719-2-23
太陽が見たい- 坂本瞳子自由詩4*19-2-22
んあふはるよのくりかえし- 砂漠枯自由詩219-2-22
ドレリア- la_feminite_ ...自由詩9*19-2-22
答え- nonya自由詩10*19-2-21
五時のスイカ割り- 山下ヤモ ...自由詩519-2-21
魔法瓶- あおいみ ...自由詩319-2-21
重力- あおいみ ...自由詩519-2-20
はじまりは揮発していつしか空が曇る- かんな自由詩12*19-2-20
鬼灯が紅くなる頃には- こたきひ ...自由詩619-2-20
発狂- 山人自由詩3+*19-2-20
Sestina- ふるる自由詩3*19-2-20
Pantoum- ふるる自由詩4*19-2-20
紙封筒- シホ.N自由詩519-2-19
珈琲に角砂糖を十個入れる理由- ミナト ...自由詩219-2-19
春の待ちぼうけ- umineko自由詩10*19-2-19
音に溺れる- 三月雨自由詩3*19-2-18
思い出- 田中修子自由詩619-2-18
犬たちへ- 帆場蔵人自由詩4*19-2-17
ある『愛』の詩(ミッドナイト・スネーク)- 秋葉竹自由詩519-2-17
ぎざぎざの円- ペペロ自由詩419-2-16
まるで人生って!- 立見春香自由詩1019-2-16

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37