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  目の前に置かれたコップに
  なみなみと注がれた透明な夜を
  一息に飲みほせば
  僕はもうすっかり自由になれる
  高い窓の鉄格子の隙間をすり抜け
  出ていける
  幽かな光 ....
ターコイズブルーの湖、三つ
ねっとりと動かず
こんもり黒々とした山々の頂きに
ぽっかり ひっそり
横たわり在る

(空は妙に白く透き通り
皮膜の裏光り)

湖は波一つ立てず
こちら ....
海べの小道には、
海へとつづくだけ、
海までもどるだけ、
それでもどこかへゆくのか、知らない?

私を追いこしていた、
私を忘れていた、
私を落としてしまったのは、
どんな時だった?
 ....
誰にも殺されたくはありませんからね
勿論
誰も殺したくはないです

普通に
人間やってきましたから
これから先も
普通に人間やっていきたいですから

誰かに殺されたり
誰かを殺した ....
ざわざわと
視界を埋めて啼き騒ぐのは
梢で触れ合う
青葉たち


輪郭をなぞろうとすると
否定形しか使えない
あまりに崇め過ぎたから


信じるということが
見ないという事でし ....
原初のもりのなかには
原初の夢があったのだろうか

生命ははじめて声をだしたときに
詩を綴っただろうか

曖昧な系統樹のはてに僕たちは
何の権利もないことを知るが

それが自由なのか ....
背中の影が
みえないかなしみを染み込ませて
笑ったら
朝になった

そんな
ちいさな窓からは
めにはみえない明るさが
すんなりと射し込んで
失った色を思い出させた

どん ....
今日、JAZZ喫茶映画館に集う僕等は
日常の仮面をそっと外す。

万葉の頃から続く〝言の葉〟への思
いを胸に秘め、見えない風に背を押
され、見えない糸に導かれ、この夕
べに集う僕等は一枚の ....
講堂前の桜が咲いても
読まれるべき人達へ
君の文章は届かずに散ってゆく

話すべきことも
聴かれるべきことも
触れるべきことも
抱きしめるべきことも
何もなく
散ってゆく

その ....
鰻が滑る滑り台
背から腹から
強化プラスチックの象
透明に子供の足形
無数
いくら踏まれようとも
登られようとも
笑っている
ブランコ
ブランコ
フラミンゴ
特殊な鳥は前世罪人だ ....
毎夜夢に現れる人達の
考えていることが見通せない
それぞれがそれぞれの意志を持ち
まんまブラックボックスだ

私の夢なのに!私の夢なのに?

彼らは何処からやって来るのだろう?
彼らは ....
ガラスを壊したのが
三十年前だとするとその頃から
死ぬのが決定付けられてた
優勝、
一言で終わる
それが
息を飲み
目を触る
松の木の肌を剥がす
松脂がついた手すりを思い出し
思い ....
青空が見えている

静かだ

青空を見ている

静かに


呑まれていく
わたし


青空が見ている

静かに
重いテーマじゃない詩は軽いと誰かが言う
震災、津波、原発、自殺、貧困、差別、
そういうものを扱わなければ詩じゃない
そういうものを書かなければ詩人じゃないと
重いテーマを重い言葉で綴った重い詩 ....
産まれる寸前に切符を渡されました
渡されたと言うか
無理矢理握らされました

それから強く背中をおされたみたいで
その勢いで
改札口通り抜けました

そしてそのまま押されながら
駅舎 ....
夜のセミは、あたかもうるさいように
僕と、遠く離れた君の見えない空気を
同時に吸いながら、夜景を眺める
一つだけ、約束をした手紙は
未だ、君を締め付けてはいないかい
雑草がサワサワ 近くに何 ....
太陽の中の受精卵が
笑ったり怒ったりしながら
こっちを見ている

(周期不安定な回転運動)

念仏を唱える君
私は狂ったように笑う

本当の暖かさを忘れた春が
待ちわびる正真正銘の ....
巨大な古木の湾曲は
幹から枝へねじれを伴い
陽光
葉から地へ
木漏れ日となる

朽ちようとも
折れ
枯れようとも
ねじれは残る

虫の子守り歌
ズズンと横倒れ
いびきをかく
 ....
しずかな雨音をさせながら
はじめての春にふる霧雨は
朝のおそくに目ざました人らに
つめたい感覚をよびおこす

寒々しい白色の{ルビ硝子=ガラス}戸のおくに
私の茶の色の{ルビ瞳=め}のただ ....
もちろんピンピン生きて
コロリと死にたいよ

できればビンビン生きて
スカッと死にたいよ

せめてヒラヒラ生きて
サラリと死にたいね

だけどヒーヒー生きて
ジワジワ死ぬのかな
私を、ここに居させてほしい。
ここが、好きなわけではないけど、
一番手近な場所だから。

何者でもない私を
どうか、踏みつけないでほしい
権利も義務も見えない目で
ただ、空を見上げている ....
現実だったのかそれとも非現実だったのか

その思い出は曖昧でした
曖昧でぼんやりしていながら
自分の知らない内に
いつの間に記憶の紙面に刷り込まれていました

私はまだ小学校に通っていま ....
私が見ている光景と
あなたがたに見えている事件は違っている
ということを
驚きとともに思い知る事がたまにある

でもあなた方が一斉に
同じ景色を見ているのだと思うのは
たぶん私の錯覚で
 ....
銅線で
脳神経を
キリキリと
縛り上げていく
のは快感だろうから
この春の夜に画策する

までもなく
渦巻くハンマー音の波
ラバー壁に弾き返され
夜半過ぎに獰猛な咆哮
で復讐を開 ....
兵隊蟻の隊列
ポテトチップスの欠片

吹く風、生暖かく

蹴散らせ!踏み潰せ!

整然とした生の営み
獰猛な死への傾き

俺は天を仰ぐ
二本の巨人の足となり
ひょっこり魔女がやって来て
箒でお掃除するでしょう、
帽子は中折れするでしょう、
夜はこれから更けるでしょう。

ビルの谷間を翔ぶでしょう、
その身を凍らすビル風は
魔性の心を呼び覚ます ....
生まれて今日まで
濃厚なキスさせて貰った記憶ない

どうせさせて頂けるなら濃厚がいいからさ

でも
キスって、させて貰うんじゃなくて
奪い取るもんなのかな

俺って軟弱な意思の
意 ....
プリンを冷やし固めている間に、僕はこっそりと旅に出ました。
知らない街で少し心細いですが、僕にはあのプリンがついています。
死体のような
ひたすら一点に
冷たく凝固していく
気配、
辺りに充ち満ち

私は漆黒のアスファルトを進む

蒼く蒼く結氷する
異界の感触、
次第に足許に広がり
じわりと恐怖に浸さ ....
春の宵は
優しくなって

優しくなるから
寂しくなって

気がつけばただ
ひと目見たいと

故郷の写真を探してる
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