無性にしたくなる事
こたきひろし

 途中で無性にカップヌードル食べたくなった。
 コンビニの駐車場に車停めて店に入ると一個だけ買った。
 店内で直ぐに開封し蓋を開けて備え付けのポットからお湯を注ぐ。
 熱いそれを持って寒い外に出た。
 駐車場の隅で片手にヌードル片手に割り箸持ってまるで盗み食いするみたいに食べた。

ある冬の夕暮れ。

 生きている間にさんざん悪さすると
 死んだら地獄に堕ちるって
 閻魔様に舌を抜かれるって

子供の頃に親から教わった。
それを神妙に聞いていた。
そんな時分があったっけ。

 大人になった今はそれを素直に信じられなくなっていた。
 多分それが大人になった証拠なんだろう

天国も地獄も人間の創った夢物語。
死んだら
痛くも痒くもない無限の闇。

 無性にカップヌードル食べたくなったら
 何も怖れる事なく食べられるのは
 ここが生きている世界だからだろ?

だってこの生きている世界にこそ
地獄も天国も紙一重にあるんじゃないかよ!


自由詩  無性にしたくなる事 Copyright こたきひろし 2020-10-31 07:35:29
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