いい加減にいやになる
どうしていつもこんな色
そんな東京の空を
みあげる 首が意思を持って
かなしく首はうなだれて
ごめんなさい とわたしに云う
大丈夫 とすぐには返せないけど
首の ....
どうしてひとは死ぬのか
でも
恐竜やマンモスたちが死んでくれなかったなら
わたしたち、居なかったね
どうして父さんは死んだのか
十余年がんを繰り返して
苦労したから痛かったから我慢はた ....
午後三時を過ぎると
気持ちがおかしくなる
行かないで今日
光りよまだそのままでいて
午後三時がもうすぐ
わたしの部屋に訪れる
お願い来ないで
気持ちがおかしくなる
午後三時は地 ....
神経を{ルビ刮=こそ}ぐように
そとは雨降り
中途半端な滴の音たちが
わたしのからだに
張り巡らされた
過敏な絃を弾いてやまない
痛くてたまらなくって
家出したがってる
こころ ....
{引用=金のメダル
銀のメダル
銅のメダル
どれがあなたのメダルでしょう
(これはお約束だから)
銅のメダルです
と応えた
では銅のメダルをあげましょう
嬉しかった
三人 ....
遠くに行ってしまいたいような
夜が転がっていてつい
拾ってしまったの
月並みな置手紙のこして
四丁目を後にした
北に焦がれる冬のこと
月がなんだか
笑顔して
わたしをみてる ....
うらはらな気持ちで聴いている
ボビー・コールドウェル
さっきまで泣いていたのに
自分は ほらもう大人でしょう
むりやりな確信を強いて
あしたは床屋さんでショートにしてもらうの
あきれた決意 ....
三丁目の彼は
四丁目の彼女を知らない
こんなに
想って、も
諦観を知らない彼女は
痛みをくりかえし
懲りずに
想うことをやめない
天も地も人も
味方をしない
一 ....
真夜に向かってどんどん
冷めてゆく ひとの体温
あつめて 作り上げた
ここは 四丁目のカフェ
四丁目のサンクチュアリ
入り口は木製のドア
古いふるい西洋の、
お城の廃材から 作っ ....
ご近所の
あまり繁盛はしていない
お花屋さん
三代目とか、で
商店街に下りる 区からの予算で
やっと 食べている……
って
三代目だから 役員をしていてね
お店を開いているだけで
暮 ....
着いて翌日の朝は
マスタード色の
プラスチックのコップに注がれた
オレンジジュースで始まった
初めて見るプラスチック製のコップに
本物の生のオレンジジュース
九つになったばかりのこどもには ....
ポエジーは
朝の光りだ
目覚めれば
其処に在る
生活に在る
卓袱台にだ
靴を履いて
路傍の歌に
耳を澄ます
空を見上げ
今日を思い
店頭の魚の
記憶を辿り
海を目指し
陽が ....
胃が悪化してきつい朝
今後のことを考えるためにわかばに火をつけた
西日に首を傾げている
絃を爪弾きながら 全く
永遠の光芒の野は無邪気で
故に無伴奏から不在を学ばず
そのままです神さま 私は全く
手放した数多の心には
なみだを送り毛布を送り
子守唄 ....
静寂の支配下で
絶叫したいひとが一人居るようです
壁に向かって
壁しかないから
蒼ざめた部屋
とても蒼ざめた
とてもとても蒼ざめた
ママ
ちいさな
ことばで
優しさ一つ
ください
空気も澄んだ冬の夜空には
四人の天使にまもられて
三つの卵がすやすやと
仲良く並んで眠っています
あなたも気づいて御覧なさい
この夜は宇宙でお星さま
いつかは降りて地球のこども
そうして ....
四季の最後の花野が
まぶしく閉じようとしている
たそがれが迫っている
そよぐ草の実も
褐色にこぼれ落ちてゆく
やがてみえなくなって
たそがれが迫っている
森では気の早い獣が
冬のね ....
たぶんそれはちいさな歌のように咲いている花のこと
うたへ
好きでたまらなかったけれど
努力をしませんでした
きみへ
好きでたまらなかったけれど
努力をしませんでした
ゆめへ
好きでたまらなかったけれど
努力をしませんでした
....
……ことばを思い出すまでには回復した
荒涼とした無人の地に心が捉われ
そして 父さんのことを想っているような
いや、想っていないような
神さまのことなんてまったく脳裏には
それは赦されま ....
りんご飴が縁日で命拾いを繰り返す
ちいさかったあの子の手のひらは
覚えているだろうか 君の{ルビ紅色=くれない}
{ルビ藍紺=らんじょう}をみあげていた無垢
{ルビ初夏=はつなつ}の薫風と ....
満天
潮騒
風
シチュー
助手席
タワー
うんこビル
そと
ふるさと
白熱電球
あした
光り
愛
と、骨
私は草に生まれたかった
十代よりも若かった頃のある日、フェアへ
オレンジ色のビートルで連れて行ってもらった
その国の言葉の先生のたからもの
古い古いビートル
フェアのことを仔細には覚えていない
けれど先生が買ってく ....
眠れない未明に
仕方もなく起きだして
ふと開けた引き出しから
懐かしくて熱いものが
彼女がのこして
そうするしかなかったままの
断片がみんな
雨の雫色をしてる
それらは歌で
....
さびしさに疲れました
まちがえて産まれて
お母さん 申し訳ありません
父さん ほんとにごめんね
なかったことにできないことが
こんなにかなしいことはない
どうしたってもたぶん
骨はの ....
オリオンを確かめて
冬と悟る空に
白い吐息を吹きかけて
部屋に戻る少女たち
残された結晶たちは
さまよった末に
辿り着くのだろう
この夜も 夢へと
赤いバレエシューズ姿の女神が ....
疲れてる あの人この人言うことの悪意ばかりを追いかける夜
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