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羽を広げて歌ったり
髪を下ろして眠ったり
きみを観察して飽きることがない
しなやかな人形のようだ
内側にめくれて行く海の
遠い波音を聴くころには
月が高いところまで上り
僕はいつまで ....
雨に散らばる青空
汚れを洗い流すために
身を切る生き物
タイミングの良し悪しは
物事の良し悪しよりも
ずっと大事なこと
予感より速やかに
水面を走って君と
華やかな町の雰囲気に ....
うれしいことも、うれしくないことも一緒くたにして、あなたは僕を困らせる。
ラベンダーの香りのする部屋で、コウイチがそういった。その香りは彼の部屋を訪れたほかの女の香水の香り。これはわたしの男です ....
雨が強くなり
森が海に呑まれる
木々の繊維が悲鳴をあげ
窓枠がかすかに共振する
死に向かう命の塊を
やはらかに包んで緑は
夜闇の中で黒と見分けがつかぬ
音がなくなれば沈黙は意味を失く ....
ヘリコプターのような方ですねと
僕が言ったので
相手は少しへりくだって
それからむすっとして
紅茶を飲んだ
暗い路なりに
銀色の聖餅が落ちているのを見て
これはパンでもないし餅でもな ....
臭い息を吐きながらバスに詰め込まれて
長い坂道を登りまた降りてゆく
雨に濡れた路面と涙を含んだまつげが
ブレーキのたびに摩擦で軋む
日々は流れる水のようでいて
なにも清浄にすることがない ....