すべてのおすすめ
最後のひと粒まで絞り出したと思っていた
種袋の中から再び種はとめどなく溢れて
私の足下を濡らします
蔓はのびて再び身体はとらわれ
私は動脈をあずけ蕾をひらくことに専念します
この柔らかい ....
もっと簡単にあなたを愛したい
複雑な手続きなど経ることなく
もっと簡単に
もっと簡略に
僕は僕の皮膚を越えて
外に出て行くことはできない
僕から出て行くのは言葉
それは様 ....
地下鉄は難しい
乗り換えなくても難しい
行く先々で枝分かれしないでほしい
でもまず乗り換えが難しい
地下鉄は地下にある
地面直下だったり深かったり
違う駅名の駅が重なっていたり
同じ ....
厚い一枚板のカウンターに2杯目のカクテルが運ばれてくる。
君はウエイターに軽く会釈すると、すぐグラスに口をつけた。
鮮やかなライムグリーンのカクテル。グラスのふちについた唇
のグロスの跡を ....
月光輪は白く
外灯は虹をかがやく
世界は青く
白い道をしめす
道端に手向けられた花は
誰をしめすでもなく語りかけ
僅かな戦慄と蜘蛛の糸のような
儚い残存を与える
あぁ、夜だ
....
しんしん、と
二月の雪の中に 母は溶けた
ゆうゆう、とした その表情は
茜色のきおくと 夜の闇が混ざった
やさしい 混沌、だった
(冷たい、真っ黒な腕で その先で 飴玉みたいな瞳がゆらゆ ....
疲れてきたのかな?
女子マラソン観てたあの人がつぶやいた
どれどれとテレビの画面を見やれば
折り返しまで先頭グループにいた選手が何度も後ろを振り返った
背後に見えるのは何なんだろう ....
腹が立ちすぎて鬱
揚げ足ばかりとられて、
見過ごされてる形のないもの
つぶされていくものの多さ
自分以外の人のことでも
木の幹に守られた樹上の猿みたいな
生活が必要だ
....
世間では今枕絵が熱いらしい
見たことのない景色みしてよ
わがままだけどいいじゃないか
こんな広い宇宙の中なら一つくらい
夢物語りの世界が合ってもいいじゃないかな
通り魔は ....
{引用=
紺碧の空が紅く燃えている
何かを予言するように
逆方向に流れていく 蜂蜜色の雲を眺めていた
握り締めている 何度も確認した時刻表は
文字が見えなくなるほどかすれて 消えて
蝶 ....
東京都足立区立千寿第二小学校
一年三組の教室に入る
すでに半分くらいの同級生たちが来ている
ぼくは黙って自分の席に向かう
座るとうつむいて
机の上の
ナイフでえぐられた傷跡や
木の節 ....
とうめいさを
いつまでも盾にしていられないので
やぶり取られることに怯えている
肉の壁をおしつぶして
いたみと寄り添い
静寂の根本までおちてゆけたらいい
くずれかけた砂の橋も
ほこり ....
{引用=
人間には
なあ〜んにも
わかっていない
赤が赤であることも
赤とは何であるかも
自分が何もわかっていないことも
何がわかっているのかも
....
白壁の結露が乾く前に
一足先に階段を駆け降りて
鏡の曇りが晴れるよりも早く
下駄箱から逃げ出した
必要なものが少なくなってしまい
机に描かれた落書きもどことなく素っ気ない
悴んでばかり ....
神田小川町から靖国通を歩く四人の詩人
一人は青い顔をして健康の大事さを説きぶつぶつ食べ物の名を呟く
一人は赤い顔をして声高に愛を語る
一人は黄色い顔をして金の儲け話を話す
そして、一人は黒 ....
{引用=
月曜日
欲望の匂いがしてオンナノコちゃんは目が覚めた
窓辺に刺したガーベラは9ヶ月前からとっくに枯れてしまっている
乾燥した花びらは触れると粉になって
オンナノコちゃん ....
綺麗を飾ればコサージュのような言葉
オーガンジーにシフォン、ローズの多重層
華やかなだけならば、脈がなくても事足りる
赤褐色の壁の向こうへハンマーを打ちつけて
さあ腹の底から泣いてみなさい ....
世の中が 世の中がって捲し立てるけど
蜂にさされたのは君じゃないだろう?
今の君は世界の不幸も届かないほど小さな楽園なんだよ
いざ、君が獅子のような蜂と対峙した時に
ようやく半径2mの世界 ....
100129
鳥のくせに
妹が居る
姉が居る
男が居ないのはなぜかと疑うのは
男だけだろう
雪が降ると寒いと思っていたが
そうでもないと聞き
常識にとらわ ....
退屈さを
ごまかさず
指はおいて
静けさはそのままに
胸の辺りにあるものを
すます
決まっていない順番のとおり
ひとつづつ
さいごに
ひとつだけ
なるように
....
春の兆しであたためてあげるよ
川沿いにみなぎるさくらの木々たち
さくらの紅のような ほんのりとした色づきで
水のあるところには命が溢れるんだ
溺れてもいいよ
溺れてもいいよ
わたし ....
夜の冷たいベランダに出て、丸い月を眺
める。誰にも云えぬ悩みを白い吐息で呟
けば、胸底の容器に濁り積もった毒の塊
が、少しずつ、少しずつ、蒸発し、夜の
静寂に吸い込まれ、いくぶんか、胸の重
....
どうにも背中が重苦しくて
心霊学を生業にする友に
キルリアン写真を撮ってもらった
すると
遠い昔に白い羽だった
左右の肩甲骨の間に
まあるい暗闇が写っていた
....
ひとりの遊びが鏡へ沈み
逆さの冬と共に居る
指を離し
糸をからめる
雪はやみ 夜は狭まり
呼び声の奥
目をふせている
ひとつの顔
霧を曳く灯 ....
萎れた木から一匹の羽虫が飛んだ 羽虫は雨に濡れて地に堕ちた
泥水の中でも奴は生きる しぶとく生きる 足が蠢いている
背中の夥しい数の斑点は死の象徴 色濃く鈍い色彩を放ち
羽が濡れ 長い時間をか ....
白いあなたはたちのぼりました
火葬場の空に
時間はどこででも流れるものだと
感じた棺の残骸
自分の嗚咽に一番 自分が驚きました
私はあなたを憎んでいたし
あなたと対決する日がこわか ....
お月さまみたいだ
昼間もうっすらと感じています
夜は突き刺さるように感じています
これ以上書いたら
また嫌われるようなことして
困らせるからやめるね
ここまでなら大 ....
時計の針がチクチク鳴っていて
私の脈が皮膚を打つのがそれよりも少しだけ早いのが心配だった
{引用=ある晩黒い大きな家の影に
キレイな光ったものが落ちていた
むこうの街かどで青いガスの眼が一 ....
{引用=
光沢をみせる
明かりが窓からもれ出ています
街辻に面した旧い教会は、十字をかかげ
黒い街灯は、とがったその四角い頭をおもたそうに
旧さの中に時を埋めてしまう
子どもがくれた葉 ....
抱きしめて存在を確かめる
あなたを温かいと感じたとき
私はきっと冷たくて
私を温かいと感じるとき
あなたはきっとこごえて
ふたりは
春と秋を重ねて
交互にめぐる季節
あなたに暖められな ....
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