すべてのおすすめ
大気は徐々に枝垂れ流れ
紫色に染まってゆく
雑踏は過去のものになり
ほのかな灯りも音を持つ
乱反射していた人工のひかりは
次第に少なくなってくる
大気は更に厚みを増し
地上 ....
柔らかな光の筆先で
なぞられた街並は
おぼつかない輪郭から
あどけなくはみ出す
水彩絵具の色合い
目の前を行き交う人々の
心なしか和らいだ眼差しは
古いアルバムの内側で
セピア ....
運動会のリズムダンスの練習で
女の子と
腕と腕を組んでスキップする
回りだす小学校の校庭
小柄で
勉強ができて
やさしくて
笑顔のかわいいきみと
ぼくは組になって跳ねる
音楽 ....
悪い子がいたら えんぴつくんに
目がキラキラの良い子にしてもらうといい
気難しい笑わない偉人たちも
頬っぺが丸くなったり
ヤクザにすぐなれるんだも ....
愛してるなんて
言わないよ
嘘を
演じて
終わりが見える
変わらぬ愛なんてどこにあるの
綺麗事は、いらない
苦しいなんて、はじめから解ってた
穢れなき想いを
心を君に
捧げ ....
彗星は氷の塊だと教わりました
ゆんゆんと楽しげに
春風はすぎてゆきます
りんりんとさかしげに
春の日がおちてきます
春風は単に空気の移動な ....
角砂糖をひとつ
昨日の夕焼けに落とした
レモンだけじゃ
辛すぎるかもしれないし
ただなんとなく
作り笑いをひとつ
一昨日の捨て台詞に添えた
当って砕けただけじゃ
苦すぎるかもし ....
青空から真っ白い
雪が落ちてくる
所在なきものたちが
幸福を連れて
地上にやってきた
見えないところで定着
成長する細胞のはじまり
子宮でお遊戯会が催される
喘ぎ声 ....
叶えてこその この夢を
恥を捨てて語れない
写実に甘んず浪漫主義者よ
総べての道はローマに通ず
急がば回れの臆病虫に
喰い尽くされた靴を履き
歩く道は実に平坦
義務を言い ....
朝が墜落する前の静けさに
私とあなたは手を繋いで
ただ狭いベッドにぶら下がっていた
午前五時、東京という街
徹夜明けで、熱のひかない目蓋
ピンク色の境界線がぼやけている、口唇
....
そこにぴったりとはまっている
高々に
自傷癖を語る姿
喜々として
薬名を羅列する姿
底からすくいあげることに疲れ果てていた
何より腹を立てていた
隠すのが遅れ
本音のしっぽを捕 ....
虹が晴れ 雲間がみえると
ようやく私達は地球だ
雲が晴れ そらがみえると
ようやく私達は地球だ
ただまだ仲間に入っていない
「かいかん」 作 えんぴつくん
削られて キモチいい
削られると キモチいい
刃物で削られて
ボクは 鋭利になっていくね
もっと ....
首をたれたる山の猫
尾っぽを幹にまきつけて
上目遣いに梢を見やる
たわわに茂った緑の葉
あまねく陽射しに当てられて
葉脈をちろちろ光らせる
峠のふもとの静かな林
暮れるにつれて霧 ....
時期遅れの花見
とっくに散った花びらのかわりに
輝く緑
若き季節の息吹
青空には
果てを知らない鳥たちが舞い 謳う
みなの真似する花見よりも
散った ....
090415
ちょうの付く字は
ちょうだよねと
幼児のような返事を返す
分かったつもりの会話です
お父さんは
会社
お母さんも
会社
お兄さんも
....
わぁ泳いでる
宴会場に入ったとたんに
女性陣から声が上がる
浅い椀に入った白魚が
勢いよく泳いでいる
透明な体に赤い心臓
鰓が細かく震えている
勢いあまって椀から
飛び出す ....
あの頃
私は叙情の生き物で
君の全てが詩歌であった
差し出された手の平に
丁度良く収まる
この手を乗せると
合わさった部分は
いつもほの暖かく
淡い色合いの空気が
ぐるり ....
先が折れ曲がっても
まけるナ がんばれ
先が枝分かれても
まようナ すすめ
先を舐められても
舐め舐め返してやれ
キモチだ キモチを出していけ
え ....
雨がふります
風がふきます
さくらの帯が
蒼ざめたアスファルトに
朽ちてゆきます
自動販売機をまがります
白猫がかまえます
大気が雨に洗われます
大気を ....
一
退屈と虚無が蓄積された日々
人生という大それた響きが
重くのしかかるから
あたしはかしいでいく
日々が圧縮されて
密度を濃くして体積を狭めていく
その重みは保っ ....
淡淡と靴を鳴らして
いつもの裏通りを歩く
何も企てず何も自慢せず
ゆっくりと風景を進める
淡淡とキーを叩いて
いつもの物思いに辿り着く
答えを出さず確信を持とうとせず
おずおずと ....
隣の家のカナリヤが
萌黄色の羽根を少し震わせ
細長く高らかな声で
ちよちよと鳴いています
向こうから歩いてくるねえさまの
頭に飾ったかんざしには
うすももいろの桜がしだれており
控え ....
冬の残り香に酔いが回ってくると
忘れ雪にも花びらにも見えない
白い何かが降り積もってきて
そこら中を 冬とも春ともわからない
明るい何時かに染めていった
それはきっと 葬儀のつもりなのだ ....
想像の桜はもっとぼんやり柔らかかったのに
僕の目には視界を占拠する粒が、桃色の粒として、
眼球の膜の中まで押し込まれてきそうだった
最近はほとんど写真でだけ桜を見ていたから
自分の目の画素数を ....
破いたノートに
はじけた甘い物語
こぼれた涙が
君の名前を歪ませる
何も知らない
2人の想いが
ノートの上で
続きを待ってる
空を見上げて
星を拾って
手と手で絡めて
こ ....
茶色い野良猫
わたしに呼ばれるときには茶色ちゃん
菜の花とともに
帰って来たね
去年の春
かわがっていたおばさんがいなくなって
夏と秋と
だんだん見かけなくなって
冬には思い出すた ....
このところちょっと体調悪くて
なんにしても
弱気がちな自分に気付いてみたりする
元気なときなら
生になんて執着しなくて
潔い
そんなことばの良く似合う心模様だったはずなのに
具合 ....
やわらかに色紙の花園で
子猫が蝶々を追って駆けて行く
{ルビ淡紅色=ときいろ}の薫りを放つ花たちは
自慢の花びらを踊らせることにいそがしく
まるでそれは雨のように降りしきり
この花園を埋め尽 ....
夜ご飯の支度をしていると
息子が
「今日の夜ご飯なーに?」と聞きました
「コロッケだよ」「やったー」
寝そべって漫画を読んでいる息子は
11歳
伸ばした手足や
レゴをしゃがんで組み立 ....
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