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忙しい日々のレールを脱線するように 
不意に訪れた長い休暇 
病室のベッドに横たわる僕は 
窓外に立つ 
独りの樹の葉群を躍らせる 
風、を視ていた。 

( きらきらと、協奏曲の奏でる ....
夜の冷たいベランダに出て、丸い月を眺
める。誰にも云えぬ悩みを白い吐息で呟
けば、胸底の容器に濁り積もった毒の塊
が、少しずつ、少しずつ、蒸発し、夜の
静寂に吸い込まれ、いくぶんか、胸の重
 ....
鏡に映る、私という人にはすでに 
数十億年のいのちの記憶があり 
数え切れない先祖達の声があり 

鏡に映る、私という人にはすでに 
宇宙の初めの爆発と 
宇宙の終りの暗闇が 
今も密か ....
安易なキボウが、風に消える 
この糞ったれな世界にて 
ぼくは今迄よりも必死に 
「ほんとうの答」を探し始めた 

古書を開いて捲るほど 
文字の無い空白の頁の 
左側には、十字架にかけ ....
日常の道を歩むほど 
いろいろな幻影達の呼声が 
背後から 
細長い腕を伸ばして
追いかけて来る 

僕は振り返らずに、往くだろう。 
無心に腕を、振り切って。 
マッチ一本の夢を、胸 ....
{ルビ嘗=かつ}ての僕は頼りなく 
些細なことで今にも崩れ落ちそうな 
不安な、不安な
青白い魂でした・・・ 

今の僕は 
昔の服を脱ぎ棄て 
無明の闇に、瞳を閉じ 
高まる胸に、手 ....
無人の霊園に吹き抜ける
夕暮れの風を頬に受けて  
墓石の下に隠れた祖母に 
両手を、合わせる。  

背後を振り返り 
見渡す故郷の山々に 
あの頃よりも増えた家々は埋もれ ....
公園の陽だまりで 
走って遊ぶ子供等の 
胸の辺りに 空 がある 

花壇から 
それを眺める花々の 
花弁の奥にも 空 がある 

無心に遊ぶ子供等の 
無垢な笑顔の瞳の奥に 
 ....
いつか誰もが別れるという{ルビ運命=さだめ}を 
もし、ほんとうに思うなら 
どのような人であれ 

目の前にいる人を 
愛惜しくも、思えよう 

僕の向かいの空席に 
水を入れたコッ ....
誰もいない家の 
ベッドに一人横たわり 
イヤフォンを耳に入れ 
励ますような 
君の唄声を聴いていた 

窓から吹き込む夜風に 
カレンダーはざわめいて 
{ルビ捲=めく}れる暦の隙 ....
地面に落ちたタバコから 
煙がひとすじ昇っていた 

誰にも気づかれないよう
踵で踏んで、消しておく 

いたずらな風が吹いて 
火の種が、人の間に 
燃え移ることのないように 

 ....
{ルビ若布=わかめ}の{ルビ疎=まば}らに干し上がる 
六月の浜辺を振り返れば 
今迄歩いて来た僕の 
たどたどしい足跡が 
霞がかった岬の方まで 
延々と続いていた 

あの岬の幻は  ....
白い壁に掛けられた 
金の額縁には 
名も知らぬ画家の描いた 
淡い水彩画の少女 

朝の光に透けながら 
すきま風に膨らむ
カーテンの窓辺に佇む
黒い瞳の少女 

日々多くの人と ....
 今日は休みなので、町田の国際版画美術館でやっている「ルオー展」に行きました。近所のバス停から11時前のバスに乗り、藤沢で久しぶりにダイヤモンドビル内にある有隣堂に寄りました。お目当ての本は「蕪村句集 .... 旅人は{ルビ叢=くさむら}に埋れて 
横たわり  
いちめんの空に 
浮雲の群を見ていた 

それぞれに{ルビ流離=さすら}う雲は 
違った形の膨らみで 
西から東へ流れゆく 

自 ....
ベビーカーに寝かされて 
泣いている赤ちゃんを 
若い母が覗きこみ 
「痛いの痛い飛んでいけ」と囁けば 
不思議と笑みが浮かびます 

産声を上げた誕生の日から 
幾十年の月日は流れ 
 ....
「コチラハ廃品回収車デス 
 御家庭デ不用ニナリマシタ 
 テレビ・エアコン・冷蔵庫等 
 壊レテイテモ、構イマセン 」 

夕暮れ時に
2階の窓から眺めると 
我家の前の川沿いの道を  ....
もし99%の暗闇に 
世界が覆われていても 

たった1%の光の原石を 
この掌に握りしめ 
深夜の淵に、独り立つ 
 昨夜は新しい詩集「Familia」の出
版記念の詩の夜であった。何人もの詩の仲間
がこの本を手に取り、休憩時間にメッセージ
と名前を書いて、一人ひとりに手渡せた時、 
僕は詩を書く者の幸せを ....
工場には 
一つの巨きい機械が常に作動し 
ベルトの上に運ばれる 
「商品」は次々に仕上がり 

( 巨きい機械を組織する 
( 無数の小さい歯車達は 
( 涙を流す、暇も無い・・・ 
 ....
「世界」という名のパズルから 
はみ出した1ピースの「私」は 
いつまでも 
自らの存在に、飢えている

風に揺られる野の百合や 
空に翼を広げる鳥は 
「世界」という名のパズルに入り  ....
休日はらんぷの灯の下に 
古書店街で買った 
古びた本の、頁を開く 

少し引っ張れば 
すぐに千切れてしまいそうな 
薄茶けた頁に並ぶ無数の黒字は 
遠い過去から語りかける 
音の無 ....
亡き祖母の和室を書斎にして 
らんぷ灯の下に 
古書を開く 

この和室で 
祖母が永遠に眠った 
あの日から 
部屋の隅に置かれた受話器は 
お辞儀をしたまま黙っている 

背後 ....
誰もがきっと探してる 
心の穴を埋める 
たった一粒の薬を 

誰もがきっと求めてる 
この世の果ての薬局にいる 
あの不思議な薬剤師を 

群衆に紛れた君が 
ビル風に飛ばされそう ....
一人の人間の内の 
最も奥深い処に 
遥かな昔 
全ての大事な人が流された 
あの大洪水の悲劇がある 

全てが流れ去った 
広い空の下の荒地に 
たった一人取り遺された 
遠いあの ....
仕事から帰ると 
三ヶ月前に世を去った祖母の 
妹のI叔母さんが 
ソファーに腰掛け 
親父とお茶を飲んでいた 

母ちゃんが 
「お茶をもう一杯・・・」 
と言うと 

I叔母さ ....
友と杯を交し 
日々の想いを 
語らう夜に 

酔いどれて独り 
家路を辿る 
夜の道すがら 

何ヶ月も同じ場所に坐り 
路傍の石と化した 
家無き人の 
汚 ....
初老の母ちゃんを乗せた 
旅客機は 
赤ちゃんを産んで間もない 
姉がいる富山を目指し 
羽田空港の滑走路から 
大空へ 
飛んでいった 

定年をとうに過ぎた親父は 
警備の泊まり ....
地下鉄の風に背中を押されて 
階段を下れば 
ホームの端を 
黄色い凸凸道が
何処までもまっすぐに伸びていた 

いたずらな風が 
吹けば 
すぐによろつく私だから 

凸凸道の内 ....
夏嶋 真子さんの服部 剛さんおすすめリスト(29)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
海の音楽_- 服部 剛自由詩910-3-7
お月見の夜_- 服部 剛自由詩9*10-1-27
(無題)_- 服部 剛自由詩4*10-1-20
宇宙の本_- 服部 剛自由詩310-1-14
無心の道_- 服部 剛自由詩310-1-12
炎の鳥_ー雪の降る、家持の庭と夜空に響く、コルトレーンー_- 服部 剛自由詩609-10-13
夕闇の暮れる、その前に_ー祖母の墓前にてー_- 服部 剛自由詩6*09-9-17
花と子供_- 服部 剛自由詩509-8-14
新盆前夜_- 服部 剛自由詩309-8-10
夜の拳_- 服部 剛自由詩509-7-31
火の種_- 服部 剛自由詩409-7-24
明日の海_- 服部 剛自由詩909-7-3
窓辺の少女_- 服部 剛自由詩16*09-6-17
静かなる夕暮れの道・ルオー展にて〜町田探訪記〜_- 服部 剛散文(批評 ...209-6-7
ペネタの雲_- 服部 剛自由詩909-6-5
ベビーカーの青空_- 服部 剛自由詩409-5-31
デクノボウの詩_- 服部 剛自由詩609-5-31
光の石- 服部 剛自由詩309-5-29
詩集「Familia」に込めた想い_〜(もう一つの世界)に尽 ...- 服部 剛散文(批評 ...509-5-19
イデアの国_- 服部 剛自由詩809-5-15
「_世界のパズル_」_- 服部 剛自由詩309-5-14
「_古書ノ声_」_- 服部 剛自由詩809-5-11
石ノ顔_- 服部 剛自由詩309-5-11
「_猫ノ薬_」_- 服部 剛自由詩709-5-9
「_遥かな国_」_- 服部 剛自由詩409-5-5
「_祖母の部屋_」_- 服部 剛自由詩709-5-4
光の夜道_- 服部 剛自由詩909-4-23
幸福の食卓_- 服部 剛自由詩1809-4-3
賢治ノ星_- 服部 剛自由詩1209-2-20

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