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家にはじめてテレビジョンがはいったのは
ぼくが八歳のときだ
十二月の寒い午後
第九交響曲を唄う白いブラウスの女性たちが
画面に映る
カメラは三人くらいずつを順番に写していく
近くにだれ ....
夕暮れの道場に電球が光る
入口の傍らに鉢植えの赤い薔薇の花
母と一緒になって道場を覗く
柔道着を着た大人と子どもたちが
笑顔で挨拶する
その中にキツネの目をした小学校の同級生がいる
見つか ....
小学校から帰って
叔父に自転車の運転を習う
家には大人用しかない
「両足がとどかないよ」
「おれだってとどかないよ」
叔父は自転車のサドルから腰をおろして
片足しかとどかない姿をぼくに見せ ....
小学校から帰って
叔父に自転車の運転を習う
家には大人用しかない
「両足がとどかないよ」
「おれだってとどかないよ」
叔父は自転車のサドルから腰をおろして
片足しかとどかない姿をぼくに見せ ....
狩野川台風で橋が落ちたために
駅からタクシーで大まわりして
修善寺温泉街にはいった
九歳のぼくは父と母に連れられて
和風の大きな旅館にはいる
玄関をあがるとすぐに大きな池がある
池の周 ....
東京都足立区立千寿第二小学校
一年三組の教室に入る
すでに半分くらいの同級生たちが来ている
ぼくは黙って自分の席に向かう
座るとうつむいて
机の上の
ナイフでえぐられた傷跡や
木の節 ....
玩具屋から
長兄が竹と網を買ってきた
二本の竹を十文字に交差させる
曲がりにくいところは
ロウソクの火であぶって
柔らかくして
十字の結び目を針金で固く縛る
網を竹の先端の四隅で止めて
....
小学校の体育の時間に
逆上がりができなかった
隣りの席の女の子が休み時間に
鉄棒をしにいこうと誘ってくれた
ぼくらは二人で
校庭の隅に立つ鉄棒に向う
鉄棒は低いのから
順番に高くなってい ....
晴れた春の日に
幼いぼくは
緩やかな坂をのぼる
菜の花がまばらに咲いている空き地に
白く小さなものたちが
浮いたり沈んだりしている
菜の花に止まっている
蝶の羽に手をのばす
指 ....
小学校の修学旅行で
男子は三つの班に分かれる
クラスのほとんどがいずれかに手を挙げたが
ぼくはどの班に入っていいかわからない
先生が人数を確認していく
「男子がひとり足りないわ」
それ ....
東京都足立区立千寿第二小学校
一年三組の教室に入る
すでに半分くらいの同級生たちが来ている
ぼくは黙って自分の席に向かう
座るとうつむいて
机の上の
ナイフでえぐられた傷跡や
木の節 ....
ぼくは少年のころ
特別な存在だった
月光が家の前の袋小路を照らすころに
宇宙から迎えの使者がくるはずだった
トイレの中の窓がまぶしく光る夜
ぼくは何事かと小窓をあける
袋小路に円筒の光 ....
地面から声がする
見おろすと小さな
白い帽子が揺れる
帽子を乗せている茎を折って
目の前に近づける
帽子に見えたのは
米粒よりさらに小さな女の子たちが
たくさんぶら下がっている姿だっ ....
白いシーツがうねりながら迫ってくる。ぼくはおおきなベッドに
いる。シーツは生き物のようにぼくのからだを捕らえる。シーツ
に巻き取られると、頭まで包まれて目の前が暗くなる。シーツが
締めつけてきて ....
ぼくは小学校にはいるまで
母の隣に寝ていた
母が小料理屋を始めて
夜遅くまで帰ってこなくなった
ぼくらの面倒をみるためにきた叔父が
押入れにあがって布団を被った
ぼくも隣にはいる
ぼくは ....
遅刻しそうになって
朝食を喉につめて
走って小学校に行く
教室に入ったとたんに思いだす
今日は図画工作の日だ
先生から新聞紙や糊やハサミや色紙を
持ってくるように言われていた
ぼくは ....
運動会のリズムダンスの練習で
女の子と
腕と腕を組んでスキップする
回りだす小学校の校庭
小柄で
勉強ができて
やさしくて
笑顔のかわいいきみと
ぼくは組になって跳ねる
音楽 ....
夏嶋 真子さんの殿岡秀秋さんおすすめリスト
(17)
タイトル
投稿者
カテゴリ
Point
日付
テレビジョンの中にはいる
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殿岡秀秋
自由詩
6
10-10-1
満ち潮のように
-
殿岡秀秋
自由詩
7
10-9-15
川のコトバ
-
殿岡秀秋
自由詩
6+
10-9-1
川のコトバ
-
殿岡秀秋
自由詩
4
10-7-15
修善寺狂想
-
殿岡秀秋
自由詩
5
10-7-3
木の葉のささやき
-
殿岡秀秋
自由詩
2
10-6-1
四つ手網
-
殿岡秀秋
自由詩
4
10-4-14
逆上がり
-
殿岡秀秋
自由詩
6
10-4-1
初めての狩り
-
殿岡秀秋
自由詩
3
10-3-14
お化けになりたい
-
殿岡秀秋
自由詩
9
10-2-28
木の葉のささやき
-
殿岡秀秋
自由詩
2
10-1-31
白い風船
-
殿岡秀秋
自由詩
6+
10-1-16
タンポポ
-
殿岡秀秋
自由詩
6
09-10-17
白い記憶
-
殿岡秀秋
自由詩
2
09-10-4
もうひとりのぼくが囁く
-
殿岡秀秋
自由詩
4
09-7-3
忘れ物
-
殿岡秀秋
自由詩
8
09-6-20
リズムダンスの後で
-
殿岡秀秋
自由詩
2
09-4-18
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