卒寿となった いま
おらはすなおに 向きあえなくなった
        たとえば 漫才にも
       絶えず輪転をつづける
     中学大学時代での走馬灯が
      ....
   声帯を枯渇してしまった
卒寿のおひとりさまは羨望する

 梅雨入りまえのそよとの風が
庭木の梢をそっと愛撫するのを

      新緑っていぃなぁ
  おまえには話相手があって
 ....
         都市計画税で造られた
      住宅街の一角を占める広場は
           きのうもきょうも
      浮雲の空っぽいかげを映して
ブランコに 滑り台と ジャングル ....
先へのばすか
 後にまわすか
  日々の暮らしの行列にあって
他愛のない愚問で
   脳細胞の弛緩をもてあそぶ

遠くで一一九が唸っている
 近くでチンが吠えたてている
  中空からは ....
  歌声はなく詩歌も聴こえない
        瀕死の裏通りで
    一日がさみしいながさに
     北風はつむじをまげて
       「不平を云うな」
      「不満を抱くな」と ....
上瞼を垂れて
  何をおもい
下瞼を釣り上げて
  何をかんがえるのか
卒寿となったおひとりさまよ
 
リグレットは薪となって
カルマも束となって
空の一角から火柱が立ちのぼる
「弥 ....
   高い虚空が深呼吸するなか
    近くで鴉がわめいている
  広い大地が共鳴しているなか
   遠くで街宣車が叫んでいる
それなのに 無聊に甘えながらも
   「時」の深さを知りたくて ....
一坪菜園を撫でまわし
ベランダの屋根を照り返す
昼さがりのふゆびが
連日ささやいています

卒寿となった 
おひとりさまにむかって
過ぎた「時」の古傷を
迎えた「空」の生傷を

残 ....
     「生」が図太かったら
    短命でも良しとするかい
           それとも 
      長命にめぐまれたら
 「精」の脆弱さに甘んじるかい
  卒寿のおひとりさまになっ ....
      それは 束の間だった
    ときいろの「時」を仰いだ
             年台も
    にじいろの「空」を眺めた
             季節も
そして 謳歌を暮しに ....
       雪雲が覗いている
    疲れた卒寿の独り暮しに
  隙あらば発破を仕掛けようと

 庭木も垣根も身もだえしている
    そのうえ 漆色の夕陽と
   きつい北風に 門扉さ ....
    瓦斯ヒーターのファンが
   しばしの平安を息づくなか
   真冬日が その真っ只中で
      卒寿にたどりついた
   独り暮しのまどろみを誘う

前半生で水にながした
  ....
それは 在り難いことだ
    現役の引退と同時に
人間関係がデリケートに蒸発する
               事は

それは 在り得ないことだ
    卒寿の独り暮らしと並行に
四次 ....
  昔 いっとき 叫ばれた
  つたないスローガン──
       「発想の転換」
    そうだ そうだった
       卒寿に甘えて 
      弱きになるのか
       卒 ....
       「時」はきしみを刻み
     「空」はゆるみを映すなか
      古来の卒寿にめぐまれて
    おらはおひとりさまとなった
 自問自答のたわごと それは傷いた
      ....
    来年早々 かかげられるかも知れない
   祝卒寿の垂れ幕を そっと仕舞い込んで
    いまは リグレットの残骸を散らかし
     熾きの残り火をみつめているだけの
    おらがた ....
      たけだけしい北極圏で
 つむじかぜばかり描きたてている
        鼻息の荒い牧童よ
  どうしてそんなに意固地なんだ

       青い春のおもかげが
白い秋の顔立ちに ....
     ときどき いたずら に
   玄関テレビホンを押してゆく
 おせっかいな通行人がいるもんだ
        知ってか知らずか 
   ご老人 呆けてはいませんか 
         ....
   青い列島から緑の半島が突き出て
     その半島がさらに伸びきって
    茜の離島となり・・・・そこに
     住みなれていた退役の老残は
         赤いゆめをなくした
 ....
       冷血漢なしののめに
 よだれを垂らすカーテンを開ける
   おいぼれきったおひとりさま

  「時」がうつつを抜かしていた
  「空」はうつつに拡がっていた
「風」と「光」を ....
   春待月の かぜとひかりょ
  街はずれのプロムナードでは
   ゆっくり 踏みとどまって
       奏でてくれないか
ベートーベンの交響曲「田園」を

  たとえ 家並みをそそく ....
     街はずれから伸びている
    単味の散策アベニューには
  半生がつくった リグレットを
       帳消しにしてくれる
  「風」と「光」が波うっていた
    そして 在り ....
   ヌードになった 庭木の梢に
涸れた寒気の 往復ビンタをくわせ
   そのうえ 独り暮しの老残に
  重い散策さえも 強制するのか
   にびいろのマントをまとった
        年積 ....
     黙りこくった 斑雲を

そっとやさしく はねのけながら

       ひかりをまぶして

   やぶさめを みせはじめた 

    まぶしい朝陽は・・・・

    ....
しののめの そらがほのぼの あけるころ
       さみしくなった 終着駅は
           歯磨きをおえれば
          始発駅のかおになる
              だが ....
       青い春の 赤い夏の
賑わった滞在地は フェードアウト
  おいらはリグレットを噛み潰し
いまや 熾きをみつめて感じている

秒針が刻む一分間の 長いこと を
 長針が流す半生 ....
       裏庭のベランダや
    玄関先の三和土にむかい
      冬将軍を気づかって
保温に専念する 晩秋のお日さま
            そして
    貧しい庭のわくらばには ....
          小さな秋に
    里のまつりのイベントで
       そしらぬかおして
そのひとは 全身を着飾っている
     薄墨いろのはなびらと
 セピアいろのこの葉でもって─ ....
        風雨にも 寒暑にも
       裸で修行に耐えている
     アベニューのつぶてたちよ
            こんにちは
 平均余命一桁のおいぼれた おらは
  近頃す ....
         加齢にせきたてられ
          老化にさいなまれ
      しののめの 青いひかりも
           知らず 解らず
     レム催眠に 翻弄されている
 ....
信天翁(638)
タイトル カテゴリ Point 日付
丘肌の淋巴腺⑤自由詩215/6/4 8:19
丘肌の淋巴腺②自由詩415/5/23 21:21
丘肌の淋巴腺①自由詩515/5/14 9:54
丘肌の淋巴腺自由詩115/5/5 15:09
折れた光り②自由詩115/3/28 21:06
折れた光り自由詩115/3/22 9:47
歌声はかすれて(九)自由詩215/3/14 19:53
歌はかすれて②自由詩215/3/7 10:44
唄はかすれて①自由詩315/2/27 20:41
唄はかすれて自由詩115/2/20 21:07
漆色の夕陽が落ちて(九)自由詩315/2/14 14:58
漆色の如月に自由詩215/2/7 11:12
漆色の夕陽が落ちて⑦自由詩215/1/31 10:08
漆色の夕陽がおちて⑤自由詩215/1/16 19:58
漆色の夕陽が落ちて④自由詩115/1/9 19:51
漆色の夕陽が落ちて③自由詩115/1/3 10:05
芥子色の北風が吹いて③自由詩214/12/30 15:48
芥子色の北風が吹いて②自由詩314/12/26 19:01
漆色の夕陽が落ちて①自由詩114/12/22 20:07
しわぶきとなみだ⑧自由詩214/12/19 20:44
しわぶきとなみだ(五)自由詩014/12/12 20:35
薄墨色の日課自由詩014/12/5 20:07
にがいしわぶき(九)自由詩214/11/28 19:58
にがいしわぶき⑧自由詩414/11/22 20:35
にがいしわぶき(七)自由詩214/11/21 21:01
熾きをみつめて(八)自由詩214/11/16 16:31
にがいしわぶき自由詩114/11/14 19:39
仮装自由詩314/11/7 20:40
熾きをみつめて(十)自由詩2+14/10/31 21:23
街はずれの譫言(四)自由詩314/10/24 22:30

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