いつのまにか 
齢(よわい)は噛み砕かれ
おカネが 卒寿の勲章をたずさえて
ころげこんだ
おひとりさまのふところに・・・・
このうえの無い因果となって

あぁ 
ことしは冬将軍の目覚め ....
卒壽となったおひとりさまは
なかば めざめの大脳をさそって
朝食後
ウインドーズをたずね
蒼白なワード面をひろげてみました

すると 第一行には
    詠嘆の麗句が
そして 最終連に ....
なぎさでさわぐ波濤のように
名前まけする 小公園の
こだちがざわめく 晩秋 に
卒寿となった おひとりさまは
もっぱら せまりくる
おのが身の陰影(かげ)に追われる
甲高い鳥のさえずりと
 ....
街なかのさみしい
    さみしい小公園で
低学年のこどもたちは
新調して貰った
  自転車にまたがって
喊声をひろげ
    尊い「時」を讃えている
あゝ おらにも かって
  そう ....
 陽はやわらかにあふれいで
 光はしずかにふりそそぎ
 こがねのなみがおさまった
 神楽月は わびしい街はずれ

 原っぱの片隅で おとなにとっては
 意味もなく くりかえされる
 こど ....
ヘクトパスカルがひとやすみしている
ゴーデンサファイアを紛失した
神楽月の昼さがり
   腕ぐみ─まどろみ・・・
      なまあくびして
        なみだをふきだし
視野をひろげ ....
 紺でもない
  青でもない
   空は空いろとなって
    白い雲をそだてている

そ し て 
     やさしく みつめている
      
      卒寿となった
    ....
 晩秋にただよう
 すっぽんぽんの朝の冷え込みを
 なだめ すかそうと
 (北の高血圧の隙間から)
 まつ毛をかわかして
 ものしずかにふりそそぐ
 神無月の太陽の優しさに いま
 鴉 ....
 かぜが およいでいる
   広場のベンチの端っこで
 ひかりが ねころんでいる
    更地の草かげのしたで

 とある日曜のショッピングで

 おとこたちは とまどっている
 目移 ....
         庭木のこずえが
         暮れ六つどきの
    かわいた秋風にゆれている
 
        しのびよる冷気と
 弱気なひかりにさえ おどされる
   卒寿のお ....
         つつじが丘の襞隅で
       鴉が わめきあっている
    キジバトも うなりあっている

 そうだ あのときは そのときなりに
    対処していた 筈なのに・・・ ....
 卒寿のおひとりさまにあって
 起床時と就寝時のあいだには
 別個の世界がころがっていた
 
      灰いろの深い溝に
   芥子色の北風が渦まいて

       眺めみたものは
 ....
 識者は囁かれる
 「きょうが 最後とおもって いきよ」と
      そして その垂訓は
  淡い桃色のこだまとなって
      渦を巻いている が
  哀れなことに
  卒寿となった ....
 朝がない 昼はない 夜もない
  卒寿のおひとりさまにあって
   ただ「時」だけがながれる
    さらさらと音もなく──
     なのに「空」の範疇は
    花火の音で拡がっている ....
        遠くで鴉がうそぶいている
      近くでキジバトがうなっている
            もういっぽうでは
      無聊が楽隠居のかげをひそめて
   脱落のひなたぼっこ ....
前立腺肥大症 プラス 腎硬化症 に
    因果のさらなる 追い打ちで
     両大腿脛骨骨折を来たした

     卒寿となったおひとりさま

     そして いまや 若き日の
  ....
    無聊のいちにちがながれた
    そして 浮力さえなくした
      卒寿のおひとりさまは
    ナツメ球をともしただけで
    青い春 赤い夏 白い秋を
 ぼやけた回想のスラ ....
臨死の正夢が
それとなく
覆いかぶさってくるのだろうか
少年の 青春の 壮年の 年月日と
そして 卒寿となった 
ゆがみかけた 四次元が
いまや 逆夢に翻弄されて
夜ごとの枕をぬくめ
 ....
卒寿のおひとりさまにあって
          それは
昼さがりの うたたね でも
    まどろみ でもなく
ただ 無聊に
 まぶたを 閉じていたとき
    隣家からもれてくる
   ....
          臨死の翳を
微かに 背負いながら
徒労の日々と 無意味の夜毎を送り 迎え
スプリングベッドに
         猫背を沈めて
天井のモザイクを 
        眺める ....
重みをなくした
  他愛もない 愚痴を
 オブラートにつつんで
 嫁いでいった 一人娘に
しばしばメールしている
    卒寿となった おひとりさま
だが 一人娘は 多分・・・
  言外 ....
 空には 常に 空の顔付がある
    雲にも 雲の顔色がある
      そして・・・人にも
    その人の 顔立ちがある

     緑陰は いまが盛りと
       そよいでいる ....
           蝶番に赤錆びが 出始めた
         脳味噌に白カビが 生えだした
                  それなのに

       卒寿までいのちが めぐまれたこと ....
熱中症の耐性を 獲得しようと
    落日に 散策の途次で
 物蔭・木陰をすりぬけるとき
   日中の 重く湿った風は
   一服の清涼剤と変わって
        幼けないほど
     ....
          なぜだろう
  トンネルに入る汽笛が鳴った
         青い春の旅路

          なぜだろう
 トンネルにもきづかずに過ぎた
     赤い夏 白い秋の ....
             濁りを澄ました
   女性の立ち話が さざ波を打っている
     梅雨明けの 蝉しぐれのなかから
 
      近くの広場からは 時を忘れて
わらべの甲高い嬌声 ....
             卒寿となって
    おひとりさまは やっと気づいた
連日 体の苦情を おのれに呟いているが
        そのことだけでも 実は
        在り難いことなの ....
        減価償却を終えた
     ベランダの屋根の端から
    垂れ始めた雨垂れを眺める

円錐のしずくはセピアいろとなって
  際限なく奈落に落ちてゆくのか
      卒寿 ....
     一日中 のど笛が消えて
   卒寿のおひとりさまとなった
いま ひそかに愚痴をこぼしている

      無駄口でもかまわない
   もっと もっと若かりしとき
声帯を訓練してお ....
冷蔵庫のコンデンサと
    コンプレッサとが
ご機嫌いかが と適時にささやく
そして そのたびに
    卒寿のおひとりさまは
ぴくっとして 暮しの流れに竿をさす
過ぎた四次元の追憶を迫 ....
信天翁(638)
タイトル カテゴリ Point 日付
風の舌 ⑤自由詩215/11/26 11:25
風の舌(四)自由詩415/11/23 9:59
芥子色の北風(四)自由詩515/11/18 8:52
光のまつげ(四)自由詩315/11/16 10:28
光のまつげ ③自由詩615/11/7 19:56
想いはかすれて(十)自由詩215/11/4 9:06
想いはかすれて 九自由詩115/10/26 12:03
光のまつ毛(一)自由詩215/10/23 19:13
芥子色の北風①自由詩415/10/21 16:24
光のまつげ自由詩315/10/18 21:05
風の舌①自由詩415/10/14 15:30
芥子色の北風自由詩115/10/13 9:09
想いはかすれて ⑤自由詩115/9/30 19:47
想いはかすれて(四)自由詩215/9/27 15:10
想いはかすれて ①自由詩315/9/23 20:07
想いはかすれて自由詩015/9/19 11:14
想いは枯れて自由詩415/9/17 9:37
緑門 ⑤自由詩215/9/2 14:11
緑門(四)自由詩215/8/27 9:13
緑門③自由詩215/8/24 20:33
緑門②自由詩515/8/22 11:15
緑門(一)自由詩115/8/19 15:18
緑門自由詩415/8/13 9:56
無題自由詩115/8/1 16:07
老いの演繹(十)自由詩215/7/26 9:49
老いの演繹(九)自由詩215/7/24 9:51
老いの演繹(五)自由詩215/7/11 16:11
老いの演繹③自由詩115/6/28 9:22
老いの演繹①自由詩115/6/27 10:28
老いの演繹自由詩415/6/25 11:24

Home 戻る 最新へ 次へ
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 
0.08sec.