ドアもウインドもない部屋で
  かがりびのはぜるおとはきこえず
    血のなかのこえもききとれず
猿ぐつわをされたわたしは焦っていた
カイロスのうしろ髪をつかもうとして
      ....
            街路灯の薄目が
パチンコ屋のネオンがそれぞれ瞬き始める
    沈潜がひとしおの黄昏はひととき
 玩具の掛け時計はオーバーにひびかせる
          セコンドの刻 ....
     一日まるまる泣き腫らしていた
空が 今日は朝からルンルンの上機嫌です

            季節のながれは 
     ひそかに映しだすのでしょうか
        そのひとの ....
    かげろうが乱れとびだすのです
     ひび割れたトルソの脊柱から
       刺客が襲いかかるのです
    凍てついたタナトスの陰影から
それは半生のあいだ生かされているのに
 ....
      落日が千手観音となって
     丘のひだをまさぐっている
    きょうはどんな日だったのか
        と いわんばかりに

  雑木林のそよぎは「時」が駆ける
    ....
あさ まどをあけたら
ひものをやくにおいがした
隣家はさかのしたにある
我が家はさかのうえにある

日暮れ さんさくにでたら
しろいよじげんのにおいがした
雑木林のおくから
みじめな戦 ....
    めがしらとめじりに溜まった
        いちにちのめやにを
 両薬指の先でこすりとる癖となった
           ねつかれぬ夜
      果てしない四次元からの
    ひ ....
            それはなぁんだ

   ペガサスが颯爽とかけるかのように
            天上の大奥から
   青い吹き矢となって迫ってくるもの

  マグマが轟々と地鳴り ....
     もはやそこに音楽はなく
           遠雷だけが
     Erosの扇をひろげていた
      regretの沼にむかって

  日常の仮面が剥ぎ取られるとき
根源的 ....
        サハラ砂漠のように
      地上をすべてやきつくす
           向日葵の葉月
        青空にひろがるのは
     regretのシャボン玉ばかり

 ....
     熱波のむこうから立ち昇る
      まぼろしとかげをさけて
    けなげな向日葵のまえに立つ
          のはいいものだ
わびしい「時間」の角質を削るように

    ....
        せつないという
        ことばのおもみ
    それは こころのなかの
         どのぶぶんに
  のしかかってくるのでしょう
            きっと ....
セピアいろした靄のなかでは
柄物を照り返す鬼火は見えない
(ふやけたエナージーが衰退したからか)
そして 空洞化した脊椎のなかにも
白物を跳ね返す漁火は見えてこない
(病んだ血が淀んでしまっ ....
  町並みは息をひそめているし
 プロムナードは息を抜いている
空はカンツォーネを奏でているし
 海はレクイエムをうたっている
    風は愚痴を吐いているし
    光は論理を愛撫している ....
           競歩のまねして
      ちゃちな市道をすりぬける
野末には瑞々しい水田がねそべっている
 くろはえにすなおな いとけない稲は
    衣擦れのそよぎこそないものの
 ....
       梅雨空がうすめをあけて
      こすずめが遊戯を始めても
    気の抜けたサイダーの街並みは
    相変わらずのさみしがりやです
             時折ひびく
 ....
    庭土が連日の梅雨で 満足げに
         雑草まで育てている
   庭木も梅雨の晴れ間で 満足げに
      みどりの息を弾ませている
       そして 生垣の隙間には
 ....
      年代のながれとともに
 好きなテレビ番組が変わるように
  嗜好品も濃厚から淡白なものに
思考もカイロス的よりクロノス的へ
             そして
         行 ....
      町並みが息を潜めているのに
   プロムナードは息を吹き返している

    空がセレナードを奏でているのに
      海はレクイエムを歌っている

   風が雑木林へ愚痴を ....
    梅雨が一服してくれた朝
  南風と陽光に履き清められた
       小庭に立ちながら
   なぜか むなもとで痞える
   気・血・水のアンバランス
            そして ....
遠くで
律儀な救急車がうなっている
吸血に余念のない 藪蚊のように

近くで
躾のない飼い犬が吠えている
違反者を追う パトカーのように

傍らで
しかめっ面が息をこらしている
縄 ....
  結膜や角膜も干上がっている
   内耳や外耳も塞がっている
    鼻翼や鼻腔も欠けている
   口腔や口唇もむくんでいる
        そんな そんな
     孤高の埴輪を黙殺して ....
           梅雨空が
あさぎいろに変色しはじめるのは
          いいもんだ
  たとえ群青色にならなくとも

         散策の途次で
   草いきれが臭ってくる ....
   生成のサウンドを折りたたんでゆく
          たそがれが訪れると
       にぶくなったひかりのなか
   夕刊を斜め読みする紙音だけが囁く
                 ....
       ひとつの想いが
  なぜか こむらがえりする

 紋白蝶と日傘が舞いはじめる
      梅雨のなかやすみ

遠くでうかびあがったなにかが
かげろうとなって近づいてくる
 ....
たそがれにはまだはやい昼さがり
   水無月のかげをのみこんで
       「もぅいいかい」
        「まぁだだょ」
  公園広場のいとけないぬしが
       とびまわっている ....
        色あせたアジサイが
 垣根のあいだでじっと舐めています
         梅雨入りの雨粒を
        待ち焦がれたように

        いろじろのむくげが
    ....
   新緑はリビングの奥まで染みこみ
  薫風はねこぜとうなじを舐めまわす
             梅雨入り前
  日向と日陰がくっきりと区分された
              広場では
 ....
          わびしいことだが
  もはや 純白と漆黒のネクタイ以外
   格子柄も水玉模様も不要となった 
いま タナトスの掠れた呼び声の合間で
       過ぎ行く日々への愛惜と
 ....
あさがさまよっている
  ため池の笹舟のように

ひるがまどろんでいる
  ため池の葦のように

よるがよどんでいる
  ため池のヘドロのように

ときをえらばずやってくる
  ド ....
信天翁(638)
タイトル カテゴリ Point 日付
にびいろの声紋(九)自由詩307/11/10 19:55
Confession(3)自由詩107/11/4 19:45
光跡(五)自由詩107/10/31 22:23
喃喃と自由詩107/10/18 19:44
微吟(十)自由詩107/10/13 22:08
好日自由詩107/9/23 20:44
密談自由詩107/9/15 19:48
それはなぁんだ自由詩207/9/2 17:06
皆既月食自由詩507/8/30 14:07
時の滴り(九)自由詩207/8/28 20:14
処暑(一)自由詩107/8/25 15:08
肌着自由詩307/8/18 15:22
眠っていたい自由詩307/8/10 20:24
にびいろの声紋(六)自由詩307/7/29 16:18
その名に自由詩407/7/24 20:09
錆ついた音叉自由詩207/7/20 21:24
ひととき自由詩907/7/17 21:33
正味期限自由詩107/7/13 19:57
にびいろの声紋(六)自由詩307/7/8 19:07
欠落のリフラン自由詩407/7/5 10:15
nil自由詩307/7/3 15:52
守護神自由詩207/6/30 20:25
いいもんだ自由詩507/6/27 11:04
落日自由詩507/6/24 20:34
ひとつの想いが自由詩307/6/20 11:11
平安自由詩207/6/17 20:19
光跡(4)自由詩207/6/15 21:12
ささやかな祝典自由詩307/6/12 21:57
風騒(1)自由詩207/6/9 21:41
thanatos自由詩207/6/7 16:25

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