独り暮しで 卒寿を越して 
初めて気づいた ことがある
 
馬鹿げた 無駄話でもいいから
時には交わして みたいものだ と

ひたいの横皺が せせらぎをつくる
眉毛の尻尾が どぐろを巻い ....
君には とっくに 
わかってることだよ なぁ

脳髄が八丁味噌となって 
発酵し 腐敗しかけている ことを
空虚となった 胃袋のなかで

そぅだ 
老いは老いでも
北風に耐えてる
 ....
卒寿となって 卒寿を越すと
どうして 翳が浮き揚がるのだろう
喋ることにも 聞き入ることにも
 
何もみるな 何も想うな
弱気の愚痴も 吐きだすな
強気の言い訳も すべきぢゃない

冷 ....
紺ではない 青でもない
空には 空のいろがある

幹ではない 枝ぶりでもない
木々には 木々の姿がある

顔ではない 所作ではない
人には人の さだめがある
   灰色の冷気が 幸福な耳翼を 切る

白い救急車が 愁いを 告げて 突っ走る

 わが家の黒い柱が ひび割れを 見せる


       街はずれの 冬の田んぼに

       ....
   「時」に不満はない筈なのに
        「空」をすっかり 
           わすれてる
      卒寿を越した 翁 様
 暇にまかせて テレビをつけりゃ
    食いしん坊 ....
   暮しのネタを持ち得ずに
  時空はひとみを失神させて
        ただ 黙々と
 うたかたの みなおをつくる
卒寿を越した おひとりさまが
      無聊のキッチンで
     ....
      天空は 残暑の顔して 
          低くたれこめ
           そのためか
むし歯の町並みは ため息を閉ざす
              だが
      隣家の ....
       どこかの空港から
     ジェット機が 飛来し
それに応えて のどもとを震わす
          土鳩がいた

 あぁ 赤い夢を 持てなかった
          わが老 ....
            充実感はもとより

          空白感にも気がつかず

   いつのまにか 卒寿の峠をおりてきた

        その しあわせを・・・・

     ....
   猫背に貼りつけられた
       気・血・水が 
梅雨空に 漂いあふれたとき
   古里の 知人の面影が
   浮遊してくる そして
       そんななかで
 卒寿の息は磨り切 ....
停滞の蒼穹から
       聞こえてくる
ピアノのよろめいた 音程が
でも・・・
 どうして 立たぬのだろう
   こんじきの さざ波が
そうだ ・・・きっと
 魔弾の吹き矢が
   ....
      蒸し暑い 水無月の夜
   ベッドで 寝返りを繰り返し
枯渇した 卒寿の大脳をもてあそぶ
      だが 暗黒の寝室には
        琴線の余韻はない
   笛や太鼓の山彦 ....
      枯渇した 時空のしたで
 
     血虚の 生ぬるい風と光が

  けだるく 痩せた猫背を つつみ

ふやけた卒寿の かげをつくる とき

    わが半生は 半古紙 と ....
 使い古した デンデン太鼓

     いま 取り出して 
 
幼きころを 真似してみても

張りがないから 濁っている

濁っているから 死んでいる
 わびしい 町はずれでも
    
  僅かばかりの音がする
野鳥の羽ばたきもきこえる
  
    太い音は佇んいる 
   細い声は蹲っている
     
   青い風は歩いて ....
 父ちゃんからは 叱られる
 母ちゃんからは 諭される
兄ちゃんからは 無視される
 弟からは 小馬鹿にされる
  姉さんからは 笑われる
  妹からも からかわれる
いじけた おらは 押 ....
      裏庭を横ぎった 
         雀かなぁ
 それとも 春の野鳥かなぁ
 
     物寂しい郊外から
     聞こえて 消えた
    救急車のサイレンが

   広 ....
       水無月は日本晴れの
             土曜日
        四号公園の広場で
          子どもたちは
   ドッチボゥル遊びをしている
     おとなのま ....
     おひとりさま は
        毎晩 毎晩
    寝台のマットレスに
 卒寿のからだを沈めるとき
     青い年 赤い齢の 
灰分となった 乏しい想いが
 天井から 舞いお ....
     からだが ほてっている
     なぜだろう 風邪かなぁ
     初夏の気温のせいかなぁ
それとも老残の 空しい抵抗かなぁ

     胃袋があくびを繰り返す
      大腸 ....
老化した こころを蹴散らす
統抜ぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬぬ ....
 広場の顔した 原っぱは
  住宅街の 一角にある
  四号公園の立札みせて
   
         そして
男の幼子は 黄いろの声で
     掛けっこを始め
 女の幼子は ブランコ ....
  五月晴れした 虚空に見える
   すえひろがりの 長い白帯
 それは 単なる 天体ショウか
   それとも 平和の飛行雲か
 あぁ あぁ それは摩訶不思議
    卒寿のおらは 翳あわく ....
      裏庭に面した
   ガラス戸をあけると
冬のあいだ 我慢していた
   レィスのカァテンが
    待ちわびたように
 それは見事な波を創って
        (そして
   ....
 ベランダの 屋根にころげた
          五月雨は
 (去年の柿の枯れ葉でできた)
  樋のつまりに さえぎられ
 卒寿のなみだの まねをして
     ぽっり ぼっり と
    ....
   徳は隣りを照らす とか
           されば
       時空の四次元は
 おのれ自身を 照らす のか
      あぁ ねたましい 
         ねたましい
    ....
    いつの間にやら
      できていた
    玄関先は・・・
 
    冷たくなってる
      コンクリに

    曲がりくねった
     割れ目が二本
 蟻の棲 ....
 ブランコや滑り台やら
   ジャングルジムが

    さつきのひかり
      フルにうけ
    子すずめたちに
      よびかける

ひなたぽっこにおいでょ
      ....
    わがやのまよこの
       原っぱには
(ときには鴉が来るけれど)
 幼い子たちを待ちわびて
 晴雨をいとわず座ってる
   木製ベンチと滑り台
    ジャングルジムや
  ....
信天翁(638)
タイトル カテゴリ Point 日付
失 題 (七)自由詩118/2/23 12:34
失題(6)自由詩218/2/17 15:41
失題 四自由詩618/1/15 11:12
失題(三)自由詩218/1/13 14:34
失 題 (その二)自由詩318/1/10 10:23
失 題自由詩217/10/21 11:57
ennui(1)自由詩517/10/8 11:51
ennui自由詩217/10/5 11:53
秋分自由詩217/9/23 15:15
遺言メモ自由詩217/7/9 15:17
停滞自由詩117/7/5 15:14
気虚自由詩217/7/1 16:32
水虚自由詩117/6/30 13:55
血虚の蒼穹自由詩117/6/26 14:33
骨董品自由詩117/6/21 15:17
古びた日傘自由詩317/6/15 15:08
薪の一束自由詩217/6/10 15:08
田舎街の風自由詩217/6/9 17:48
想いは枯れて(三)自由詩317/6/5 13:11
摺り足自由詩417/6/3 14:33
想いは枯れて(二)自由詩117/5/31 11:05
枯渇の想い自由詩117/5/27 11:49
想いは枯れて自由詩317/5/22 15:14
大脳皮質に破裂ができて自由詩217/5/20 14:56
五月の風自由詩817/5/14 14:46
五月雨自由詩217/5/13 14:45
述懐(一)自由詩017/5/12 9:38
築四十年自由詩217/5/10 17:46
つつじが丘小公園自由詩117/5/8 11:10
つつじが丘四号公園自由詩517/5/6 11:58

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