漆色の夕陽が落ちて(九)
信天翁

       雪雲が覗いている
    疲れた卒寿の独り暮しに
  隙あらば発破を仕掛けようと

 庭木も垣根も身もだえしている
    そのうえ 漆色の夕陽と
   きつい北風に 門扉さえも

だが 一瞬 日差しが漏れたとき
  居間の一角にひろがったのだ
いまは亡き妻の小さなおもかげが


自由詩 漆色の夕陽が落ちて(九) Copyright 信天翁 2015-02-14 14:58:51
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