丘のひだに喰い込んだ
かぼそいアベニューをほどこうと
腰骨と膝小僧に云い含めたとき
野末はすでに 綻びていた
黒い「しみ」さえ見せて
そして 
かたわらの雑木林では
薄気味悪く 土鳩が唸 ....
習慣性流産を繰り返していたのに
なんという迂闊さだったのでしょう
半世紀 経ったいま 
やっと気がつきました
物置の奥で埃をかむったままの
ひびわれたトロフィーがあったことに

あぁ ウ ....
死んだふりをしている
 丘の家並み
生きてるまねをしている
 丘の老残
ひなたには内と外とがある
   ひかげには表と裏がある
      姿・形にも虚と実がある
すべてが勝手にかたよっ ....
青い年のひとはよく云う
「自分をほめてやりたい」と
だが 黒い年のおらはつぶやく
「自分をいとおしんで逝きたい」と
つむじかぜが快音を殺して
      紫斑の肉につきささる
薄日が歓声を ....
鴉のひとなきで
晩秋の弱音をはく西空
   ほんのり浮きでた梢には
       わくらばがすがりつき
   ぼんやり沈んだ北風は
       ひとの声をさがす
なのに 
   行き交 ....
かがりびのゆらぐ
     奈落からのように
ちぢにみだして追いかけてくる
   眉をつりあげ追いかけてくる

天崖を隠蔽するためなのか
  地軸へ拉致する気なのか
喪服のおいぼれめがけ ....
「時」が顔に仮面をつけて
   「空」を皮肉っている
やがて おまえさんにも
そのとばっちりが降りかかるだろう
ボレアスがにびいろのなみだとなって

あゝ 森閑の門口から
   パラダイ ....
          さやさやと
     緑の褪せたわくらばが
       揺れて慰め合う秋
 羊田には渡り鳥が集いはじめる

プロムナードで自分に呼びかける
   さぁ ねこぜをそらさ ....
わびしさのつもる夜だった

「もの」には「み」のあるものと
       「み」のないものがある が
「かげ」のない「もの」はない

「かげ」がないとすれば
    それは「もの」ではな ....
短気が弾み胸をしめつける
  亀背のかげを自転車で追って

「声」にならない
 「火」の消えたリズム
「色」にならない
 「水」の濁ったハーモニー

悪夢にしばられた近い「時」
   ....
げんこつであごを支えている
机上の散乱物をながめて

あがきつつ果たしている
四次元から背負わされたミッション

ひとつひとつに浮き出ている
カルマからくくられた押し花の自分史

あ ....
どこから迷いこんできたのか

まさか探し物ではあるまいに
落ち着きもなく
       庭木の葉っぱに
黒い蝶がそばえている

(それは
   おらの半生を見るようだ)

ちよっと ....
庭のむくげが猛暑で負けた
 腐った水密桃のようになって
庭の隅がわくらばで参った
 燃えるごみの置き場所のようになって

「風」がうなだれている
  「光」は怒鳴り散らしている
「時」も ....
透明なコスモスがつぶやいて
  風鈴の綿雲は
はやぶさの風来坊となって消えた

かがり火ょ
赤いランプとともに
     燃えつきょ

鬼火ょ
白い灯台とともに
    燃えあがれ ....
予報では猛暑日という朝
雨戸とガラス戸をあけても
レースのカーテンは脈を打たない
我が家の血は死んでしまったのか

隣りの公園から主婦らしい会話が漏れてきた
犬の散歩同志というだけのようだ ....
風のなかで朝が目覚めた
 光のそとで夜が深まった

ウォーキングの往路でわくらばを食べた
サイクリングの復路で血痰を吐いた

上り坂でペガサスの小夜曲をハミングした
   下り坂でさそり ....
蝉しぐれが猛暑をかきたてる
冷房は好みではないので
網戸からのかぜにまかせている
避暑が強制的でないだけに
それは それは ここちよい
世界は「生かされて在る」という
ウラノスからのメッセ ....
いまにも蝉の初啼きがするかと思う
前線にさ迷い続ける梅雨の朝
四号公園にひとかげがちらつく
ベビーカーのわだち
飼い犬のあしあとを造って

婦人同士のこえが流れて消える
あるいは買い物の ....
あしが ふらつく
   いきも ふらつく
      おもいは もっと・・・・・

だから

いきを ころせ
   ちのあがきも ころせ

そして
 
のうしんけいも・・・・・  ....
 レースの白カーテンだけが息をしている
         独り暮らしのリビング
  さざなみを打つ少腹に
            組む腕をのせた
うずくまる追憶の入江で
           ....
---浦風も吹きわたらない 惰眠にふける公園の広場
申しあわせたのか
        夕食前の腹時計の計算に
集まったこどもたち
    その黄いろの声を
つりがねのひびきのように聴いたとき ....
あごからくびすじにかけての草刈り
ふつかもしたらまたのびている

両手で皺波をさかなですると
休みない「いのち」の波がつたわってくる

若葉も日ごとにましている
緑陰を思う存分干からびた ....
はてしない空の
       果てしない青さに融けて
リーダーのもと 小雀たちは円舞している
    生と愛の真姿をオードして

そして虚空からは
   風の伯爵夫人が
         ....
つつじの季節が訪れた
   アベニューのまばらの路肩に
鳥待月は「昭和の日」
    北からのかぜが西みなみのかぜに変って
白髪を一挙になびかせる
  白骨の丘へと
にびいろの四次元を償却 ....
ふたかかえもする
庭石のくぼみが淀ませている
枯れ葉を腐葉にして
「時」のひかりをふくむこともせず
「空」の叫びにこたえることもなく

やがて 湛えたあまみずもさよならするだろう
そして ....
花びえ 底びえ・・・・・・
「気」のみちはとざされ
 「血」のくだはしずみこみ
  「水」のすじにはヘドロのシミ跡が

あゝ 熟成しかけのゴマ塩あたまよ
   おまえはまさしくそっくりであ ....
        北風のたけり立つなかにもめげず
    冬枯れの庭に 精気をとりもどしてくれた
      もくれんが 去年とおなじいろあいで
               でも なぜだろう
 ....
           リビングの窓から
        なにげなく庭をながめる
     北風は相変わらずしつっこいが
もくれんのつぼみは寒冷に耐え奏でている
       四次元のみえないリ ....
光りの肌着を
灯りのパジャマと着替えるとき
くらしのかおりは消え失せて
腐りかけたくだもの ....
 北風よ
あわれな枯れ葉を
見捨てておきながら
それでもあると
言い続けるのか
透徹した四次元の警句が

 冬陽よ
かなしげなねこぜに
かげを作らせておきながら
それでもないと
 ....
信天翁(638)
タイトル カテゴリ Point 日付
暗いちから(八)自由詩310/12/17 9:32
時の溜まり場(七)自由詩010/12/12 21:40
空の片言(五)自由詩110/12/3 16:47
血の死相(九)自由詩110/11/27 10:56
時のしぶき自由詩010/11/21 22:02
水の死相(8)自由詩110/11/13 11:20
水のあがき(8)自由詩210/11/6 9:38
暗いちから(七)自由詩110/10/31 9:40
血のわめき(七)自由詩110/10/17 13:04
沈む独房(四)自由詩110/10/2 19:56
水のあがき(五)自由詩110/10/1 10:15
水のあがき(四)自由詩110/9/27 9:27
天海のわめき自由詩110/9/23 21:14
コスモスの日自由詩210/9/14 19:27
血のあがき自由詩210/9/12 11:34
沈んだ四次元自由詩110/9/11 20:51
忘れた夏(九)自由詩2+10/7/20 9:36
血のあがき(六)自由詩1+*10/7/7 13:32
老耄自由詩210/6/21 9:26
水のわめき自由詩210/6/20 16:07
いとおしくも自由詩210/6/3 10:05
血のあがき(六)自由詩2+10/5/12 8:43
光の肌着(二)自由詩110/5/1 9:55
血のあがき(三)自由詩210/4/29 21:06
凍てついた炬火(九)自由詩210/4/15 16:10
四苦の日2010/04/09自由詩110/4/9 10:30
四月馬鹿自由詩210/4/1 16:06
見えないリズム自由詩310/3/21 9:03
光りの肌着(十)自由詩310/3/4 15:27
バリエーション自由詩110/2/27 10:55

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