近所から けたたましくも
       聞こえてきた
     一一九の 唸り音
    さぞや 顔色かえて 
     いられるのだろう
  担架以外のご家族さまは
 
    あぁ ....
  皐月 水無月 待ちこがれ
       ものやわらかく
       あたためられて
      萌えだしはじめる
        庭の柿の木ょ

  ことしの夏も 変わらずに
うれ ....
       うれしいよぅで
       あわれのよぅな
卒寿を過ぎた おひとりさまは

 手足を動かす 園児のよぅに
      (わが子か 孫にも
        等しい年代の
 ....
    卒寿をすぎて
      ふと想う
    痩せっぽちの
      俺さまが
  よくも いまでも
 生かされている と
  「時」が真っ赤な
「塑像」になっている
  「空 ....
       目をとじて 
  深い呼吸を真似てるが
    数息観とは程遠い
それは単なる寝不足の証し

 奈落の門は知る由はなく
 日々の好天をからだのむ
卒寿を越したおひとりさま
 ....
    空は冷たく 風を呼び
  隣家の庭木がさけんでいる
            当然
     わが家の裸木たちも
          まだまだ
      初夏は来てないと
     ....
錆ついて 細く小さく 縮こまった
わが古家を 見くだすような
裏の隣りは
新築された豪邸が
 ....
            脚はがたを来たし
             腰もひん曲がり
        青い想いまでも涸れはてた
        卒寿を迎えたおひとりさま
    なにをささえにい ....
  卒寿となった
   いまになり
とぎれ とぎれに
  きこえてくる

    青い年に
 満ち満ちていた
ひかり あふれる
   卯月の声が

 なつかしいけど
  あわれだ ....
       ひずみの原版を
    かかえたままで いま
      息を切らしながら
       つくづく 思う
        卒寿を過ぎた
        おひとりさま

 青 ....
 春とは名のみの夢見み月が
 発育不良な日差しを漏らし
       涸れた裏庭を
     舐めはじめるとき
      何もしないのに
    ほころぴてゆくのは
   腕時計の不要に ....
野の鳥のさえずり とだえて
    空が深いなか から
 巡回豆腐屋の拡声器だけが
        冴えわたり
  猫背の髄は 傾くばかり

   金属にも疲労があるという
       ....
       東海は きさらぎの
      優柔不断な 虚空から
  ふわふわ 裏庭に 舞ってきた
       不揃いな 粉雪 め
          ひょっとして
  寸暇を つぶして ....
    雪ぐもが 北風にながされ
 ほこらの立木が 愁いの波を打つ 
             その時 
     過ぎ去りし 壮んな齢の
        および腰のかげが  
       ....
    腕ぐみで 冥想の真似をして
   過ぎた心情を つまんでみても 
 もはや 始まらないが どうしても
のどにつまるのは 青い年に生まれた  
      つぶやきの苦さ ばかり

 ....
  おさなごたちが 飽きもせず
   年積月の 乾いた空の下で
  小公園滑り台を繰り返したり
 片隅ブランコをゆすり続けたり
       ジャングルジムで
    サーカスをまねたりして ....
   ものさみしい家並みのあいだで
       どこに棲みついたのか
      けさは珍しく ひととき
          子すずめたちが
         わめきあっている
      ....
     年積月の西日が 

南だれの居間になだれこみ

    たそがれまじかの

いそがしさを そそぎこむ

       原っぱでの

     おさなごたちを

 小踊 ....
かたつむりの まねをして
「時」をつぶしている
卒寿となった おひとりさま

臨死のまなざしとは
あの「空」のことなのだろうか

過ぎ去りし「時空」にすがりつく いま
もうあの友も そ ....
こころが 
あれこれ 指図しても
からだが
言うことを 聴いてくれなくなった 

卒寿を迎えた おひとりさま

いっそのこと
あの青い空の
白い雲に とけてゆきたい
灰色のかげとな ....
庭木の梢が 北風で揺れている

踊っているのか

笑っているのか

震えているのか

呟いているのか

でも  泣いてはいないよ ね
ことしも 

庭の柿の葉が

一枚 一枚と散ってゆき

やがて 冬の裸木になるだろう

まるで 俺の老体のように

でも やがて 春には

芽を吹き 葉をつけるだろう

お ....
テレビ番組に観たいものが
何ひとつない

インタ-ネットもすぐに
厭きてくる

やっぱり 平凡だが
話し相手がほしいなぁ

無駄話ができることほど
人生を豊かにするものは

な ....
   梅雨の隙間のヘドロから
      カルマがしみでる
         にじみでる  
そのとき 救急車のサイレンが
         渦をまいて
         たちのぼる
 ....
      むせ返る 土曜日の落日前
       街なかの みすぼらしい 
       原っぱでは 飽きもせず
      黄ない喊声が渦まいている
          なんで そんなに
 ....
      丘ひだの わがやに
      もう雀のさえずりが
    まったくきけなくなって
       しののめの窓辺に
      明るみがさしたとき
    指先で目やにをぬぐって ....
ゆめかうつつか

天気予報とうらはらに

どこまでも

はるかにひろがる

青天井
 眉間(みけん)に皺をよせあつめ
     浅い吐息をくりかえす
    卒寿となったお独りさん

     時々刻々にながれゆく
    素朴な四次元は渦のなか
  気にこだわって うず ....
卒寿となった おひとりさんは
    空の鮮度が気にかかり
いまも たわごとが 泡をふく
 
   梅雨(つゆ)が明けなきゃ
        おらの終活も
    始まらんのか と──
 ....
  梅雨(つゆ)の隙間の
    木洩れ日のもと
常日頃は見向きもしない
   街なかの原っぱに
   うずまきただよう
   黄いろいエナジー
    それは それは
     卒寿と ....
信天翁(638)
タイトル カテゴリ Point 日付
五月雨の朝自由詩117/5/3 15:14
青葉自由詩117/4/30 16:12
だいこんの里(その二)自由詩217/4/29 14:01
大根の里を訪ねて自由詩317/4/26 15:59
古びた珊瑚自由詩117/4/24 14:49
晩春自由詩317/4/22 16:55
痩せ我慢自由詩217/4/15 14:30
卒寿を過ぎて自由詩117/4/12 11:35
大根の里自由詩317/4/9 15:31
染色月(三)自由詩217/3/24 11:34
染色月(一 )自由詩417/3/8 10:52
卒寿のかげ(五)自由詩217/2/25 10:13
卒寿のかげ(三)自由詩317/2/20 15:04
卒寿のかげ(二)自由詩117/2/13 14:34
卒寿のかげ自由詩417/2/5 14:51
断章 九自由詩316/12/19 16:41
断 章(四)自由詩316/12/10 14:13
断 章 (二)自由詩216/12/3 16:28
自戒(九)自由詩216/11/25 15:08
塑像 (十)自由詩116/11/23 15:57
塑像(九)自由詩216/11/20 11:25
塑像(八)自由詩216/11/18 15:36
塑像(七) 独り暮しの翁自由詩316/11/13 15:05
蘭月(二)自由詩216/7/9 14:50
蘭月(一)自由詩216/7/8 14:54
蘭月自由詩416/7/1 14:19
鳴神月(七)自由詩416/6/30 10:29
自戒(七)自由詩316/6/26 14:15
鳴神月(六)自由詩116/6/24 11:27
塑像(五)自由詩116/6/20 13:49

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