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空の青と
花の赤を
重ね合わせた
君の可憐のマゼンダを
追いかけ過ぎて
森の緑を彷徨った

森の緑と
空の青を
擦り合わせた
僕の弱虫のシアンを
飼い馴らせなかったから
花 ....


車は停まり
人は進む

車は停まって
足は歩いて
手はそよいで
目は泳いで
思考は羽根をつける

時計を読み流して
ショーウィンドーを見過ごして
雑踏の中で溺れかけ ....
雨が似合う日に
とっておきの
憂鬱を着て

雨が似合う道を
お気に入りの
傘をさして

雨が似合う花に
こっそり
逢いにいく

雨が似合う人には
なかなか
なれそうにないけれど

もう雨は
嫌いじゃ ....
厳格な直線と
流麗な曲線で構成された
コンクリートは
お好きですか?

清潔な時間と
快適な空間が約束された
コンクリートは
お好きですか?

過剰な郷愁と
曖昧な体温を排除する
コンクリートは
お ....
ぼんやりと浮腫んだ月が
夜空の底から覗いていた
見透かしたような月光が
書きかけの溜息を嘲っていた

出かけたっきり帰ってこない
セツナサを待ちあぐねていたら
黙りこくったキーボードを
飼い猫が悠々 ....
回線は切らずに
口を閉じた

私信は返さずに
目を瞑った

耳にはイヤホンを
捻じ込んであるから
君の声は椎名林檎だ

鼻は塞ぎようがないから
自分の愛しい臭いを
嗅ぎ過ぎて吐いた

誤解を解こうと ....
水曜日の夜明け前
午前3時に起きたからって
別に魚河岸に行こうってんじゃないんだ

ただ奇妙な夢にうなされて
凍えた静寂の音の真っ只中に
目覚めてしまっただけなんだ

夢の中でおれは岩 ....
空の
顔色をうかがいながら
傘を
閉じたり開いたりするのにも
雨の
中途半端な冷たさに
肩を
じわじわ侵されていくのにも
そろそろ
嫌気がさしていたんだ

とりあえず
晴れたね
濡れた土のにおいが照 ....
ぽ ぽ ぽ

あてどなさを
撒き散らしながら
歩く

ぽ ぽ ぽ

優しさを
蹴飛ばしながら
漂う

ぽ ぽ ぽ

愚かさを
噛み締めすぎて
笑う

ぽ ぽ ぽ

淋しさを
演じ切れ ....
昨日の上に
淡々と
今日を敷き詰めていく
清々しさ

今日の上に
黙々と
明日を積み上げようとする
凛々しさ

ただ
目指すことだけを
目指す

雑り気のない
まっつぐな力に
憧れてしまう
小さな後悔を
ひとつずつ折りたたみながら
冷たい雨の中を歩く

しつこい雨音を
ことごとく無視しながら
答えをクシャクシャに丸める

痩せた街路樹は
桜並木になろうとして
つれ ....
自傷天才詩人の
ブラックモア君は
半端な綺麗事ばかり書くなと
僕を罵った

確かに
君の本音剥きだしの綺麗事は
美しいけれど

明らかに
臆面もなく格好つけていいのは
君のほ ....
「晴」


青空の尻尾が眉間を撫でると

開いた眉がくすぐったそうに泳いだ

昨日の薄皮が少しずつ剥がれて

今日の陽光にりるりるとはためいた




「耕」


 ....
剥き出しになった電線に
切り刻まれた夕日から
滲み出すオレンジ色の血潮

一夜にして枝葉を落とされ
無念の拳を空へ突き上げる
街路樹の黒い影

夢見るように
朽ち果てていくことさ ....
君の唇の くれない が
僕の内側を伝い落ちると
日常が育んだなけなしの植物群は
夢見るように朽ちていった

君の爪の くれない が
僕の外側を掻きむしると
日常に着せたつきなみな制服 ....
小さな掌に握り締めた片道切符
縁日の人込みに紛れた赤い鼻緒
引き千切れなかったモラトリアムの鎖
終わってしまおうと噛み砕いた白い錠剤
でくのぼうの首に巻きついたネクタイ
裏切りと同じ色に ....
I がない一日でした
アイがない一日でした
自分が留守な一日でした
ただ流されていくばかりでした
土左衛門なのでした

いくつもの橋の下をくぐり
今更ながら橋の憂鬱を知り
壊れたが ....
伝えたくて
伝え切れないもの

捨てたくて
捨て切れないもの

慌てふためいて
掴み損ねたもの

握り締め過ぎて
壊してしまったもの

煩わしいものたちを
もう一度抱き寄 ....
「移」


知らぬ間に忍び込んだ次の季節を

昨日より微かに老いた眼差しでやり過ごす

移ろっていく速度のやるせない違いに

胸の奥をさざめかせながら運ばれていく



 ....
西側の窓から流れ込む水の風が
産毛を心地良く逆撫でしていく
ソファに横たわって目を閉じると
耳元で涼やかに風の水が囁く

Come Together から
Let It Be へ

i ....
出口の見えないモノドラマ
無限大に広がる行間
暗闇色のボトルの中
いつまでも消えることのない気泡

秒針だけの目覚し時計
鳴るはずのない遠い約束
ミント味のする後悔の中
いつまでも ....
書き割りの高層ビルに
もたれかかる十六夜月
積木の高速道路には
飲み下せなかった
錠剤のような車の列

韻律の坂を駆け下りて
暗喩の橋を渡れば
目の前に広がるのは
上目づかいで吐 ....
浅い眠りの飛び石づたいに
今日の岸辺にたどり着いた

非武装地帯の朝焼けは紫色
ただれた雲が東から順番に裏返る

もう少し痛みが和らいだら
着古した戦闘服を洗濯しよう

レンズ豆 ....
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