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まだらに重いまぶたの道
雨の折り目
額のしずく
まぶたの奥を巡る音
まばたきのたび
出ようとするもの
入ろうとするものが
宙に光の柱をつくる
ひとつ ....
このからだをすぎるものらの
なんとせわしく弱いことか
流木が凍り
骨の道に沿う
いくら望んでも
いくら願っても
手のひらより大きくなることはない
....
ひかりたからか
からか からか
穂の息ひそめ
言の火ふらす
窓のふくらみ
煉瓦の道
こだまする影
屋根に立つ影
風のなか揺るがぬ星や星
足の指がつ ....
埃の海に生まれたもの
きらびやかに手放されるもの
岸から流れつづける景
底をすすむもののかたち
褪せた光の降る路地の
さらに褪せた色の扉の
入るものもない静けさ ....
音のない息の浪が
寄せている
ひとつの曇の裏ごとに
くちびると闇はわだかまる
補色の先へ向かおうとする
水の上にしか映らぬ鳥
冬に軋る
冬は軋る
影の斜 ....
かすかに
ひかり
あるく
浮かび沈むものを
なだめゆく道
座礁した船を残し
潮は干いてゆく
岩のような蝶のあつまり
分かれ解かれ 浪をたどる
冷め ....
銀が銀を囲む道
鍵が鍵をひらく道
迷子の文字
目の奥に目を描く銀
誰もすぎず
誰もすぎない
銀の鎧の内の道
やわらかな光の刺さる道
長く長く猫が鳴く
....
水と同じ手をかざし
流れを曲げる生霊が居り
声と光を抄いとり
からのはらわたをのぞきこむ
手のひら 手の甲
水車の回転
既に無いもの 失いものの影
ひとつ余分 ....
板のような
霧のなかの
岩をめぐる
冬のまぼろし
応えは応えつづけている
応えられぬものはないかのように
ひとつひとつこぼれゆく
ひとつひとつ消えてゆく
....
なだらかな
未分化の稜線
言葉少なな
ひとつの泡
曇間の明かり
水が水を分ける音
一枚の葉
星の裏まで
同じ大きさ
旧い川に
ふいに沸く銀
....