おまえらは知りたがる
必要のないところまで
おまえらは欲しがる
重要でないものまで
おまえらは見たがる
わざわざ柵を越えて
おまえらは愚かだ
自分が思うよりも
おま ....
ひとつのラブストーリーがあった
誰にも聴かれないような
そんな密やかなものだった
聴きとれない英詩が
ただ流れ続けていた
その中で
"love story" ....
神社の鳥居をくぐる
それだけで空気が違った気がする
生まれる という言葉をひらめく
きつい上り坂に沿って
水が流れている
のぞきこめば 蟹がいた
命って言葉をひらめきながら
もう指をのば ....
コーヒーがcoffeeでもなく珈琲で
カフェがcafeでもなく喫茶店で
レトロなものがハイカラだった頃
右肩上がりの時代はもう終わってしまったのか
無気力を必死に押し留めようとしながらも
....
ゲームはおしまい
うちにかえって眠らなきゃ
きめられた腕のなかで
いつも通りに
それがどんなに退屈でも
ゲームはゲームでなきゃならないよ
洗濯物を畳む
隣では母が洗濯機を畳んでいる
自分で洗濯物も畳めないほど
すっかり老いてしまった
母は工具等を手にしながら
ここはどうするの
と時々聞いてくる
面倒くさくて ....
女の子がさみしがるのは
しかたない
身体の真ん中に
おおきな空洞があるし
男の子が暴れん坊なのは
しかたない
身体の真ん中に
収まりきらない剣があるし
ふたりが組み合うのは ....
ちちに
なんどもきいた
あれは
みどりではないのかと
あおだといった
そうとしか
いえないようだった
しんごうが
あおにかわる
わたしにも
あおにしかみえな ....
れ、れ、れれれみふぁ、れみふぁ、
狂った夜のオルゴールが叫んでる
あちらこちらで、もろもろ台無しにした挙句
狭い部屋の中で煮られてるおれの内臓の
ひと房ひと房までに嘘がしみこんでる
おれ ....
惹きつけられる絵があって
なにに感じて
涙腺がゆるみそうなのか
言葉でいいたくてたまらないのに
海に泳ぐ砂みたい
文字がさらさらおちる
心の中の流れは
少しもとまらなくて
なぜ な ....
貧しい公園の貧しいベンチで
貧しい僕らが座っていて
コーヒーをひと缶
分け合って飲んで
だけど、愛だけはあるから
寂しくはないよ
お金が入ったら
二人で公営の団地に住もう
そこには ....
おもいが強すぎて
伝わらないね
ちょっと
はなれてみてるよ
しかたないから
いろいろあるけど
朝にはドーナツ
わたしの彼は
筋金入りのミルク入り
恋してる人は
ばかみたいに熱がある
直射日光みたいに直視できない
強になってる暖房機みたい
恋してる人は
前線でコトにあたるといいよ
無敵で不敵な
シュプレヒコールで恋人との ....
朝顔の苗を植えてから眠りたい
朝顔の種を蒔いたのは遠いむかし
空が晴れ渡る季節だったから
プランター 淡いひかり
うすむらさき「街角
ジョロ(夕立 白い指先
うすべに色の ....
麦の穂がりいりい、とゆれる
すみれ色をした空想の
行き着くあたりで
番犬みたいにとびまわってる
ぼくは忠実なひばりでありたい
かなしみをかなしむとき
いつくしみをいつくしむとき
太陽 ....
久しぶりの実家へ歩く道の途中で
幼い頃からあったガソリンスタンドが
跡形も無い、さら地になっていた
少年時代にキャッチボールをした
友達の古い家と庭を塗り潰すように
まあたらしい ....
自由になりたい
不自由になりたい
どちらも同じだと思う
コインだって結局コインだ
占いだって全部私のこと
傘をさしていてもずぶぬれになった私は
雨に沿うのをあきらめて
肩にかつぎ ....
こんなに雨がふっても
それでも空は知らん顔なんだ
雨のすきまをぬって
空へのぼってやりたい
つきぬけた空は
がらんどうの広場なんだろう
だあれもいないかわりに
なんにも響くことはない ....
ノートの中で消えかけている
紫陽花の履歴
錆びた機器類は蓄電されることなく
表面積のすべてが風に接している
人の断面には形容詞が無い
優しさを語ることに対して
まだ臆病 ....
だれからも好かれる資格が無いような気がしたので
もう
古文書は読まない
豚の仲間
豚の仲間
軽蔑される
怖いから
雨の止み間に
雀は求愛のダンスを踊る
雄はたたんだ羽と尾羽を震わせ
ぴいぴい鳴いて
切実に請い願う
しかし雌は植木鉢の中の草の実を
ついばむばかり
興味がないよ ....
糸を伸ばして
青虫
屋根からだらりとぶら下がっている
ざわざわと
草や花や木々に合わせて揺れている
おまえの糸は
青虫
私たちには見えないけれど
確かにつながっている
糸 ....
早朝に濁る法廷
誰も聴いてはいない
無為のことなど
三分の一になったポケットには
ハンカチもティッシュも入らない
入るのは 指の第二関節まで
ポケットはすべて
修繕に使われた
三十年以上
同じ服を着るというの ....
あらゆるものは過去へ戻り
今へ戻り くりかえす
たかが神
たかが死
まがいもの まがいもの
言葉より先へは 戻れない
....
言葉たち
罪ない言葉たちも
降る雨に似て
時に罪色になる
心模様
荒れて唇が
ふるえて打たれて
雨が薬になる
どんな音?
どんな夢?
雨がみせる景色も人それぞれ
悲し ....
心ってきっと
からだの奥になんかない
入り口にあるとおもう
目も耳も
からだじゅうのあなのちかくが
心のはじまりだね
ほんの小さな
文字から私の旅ははじまる
今日といういちぺい ....
鎮魂のうたなど
私たちはうたうな
やわらかな慰めなど
うたうな
白い光と焼き魚と
熱い味噌汁をならべながら
テレビを見て
悲しみを放るな
悲し ....
外国に行けない僕は
英字新聞を持って
どこの駅前にでもある店で
値段の安いブレンドを啜っている
外国に行けない僕は
百貨店の一階をわざとゆっくり歩いて
強い香水の匂いを
....
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