髪を切った君に吹く風は

新しい何かを運んだかな

結えないほど短くなった髪が

少しだけ嬉しそうに揺れた気がした
 
港町を
女の子と歩いていた
正直、
まったく楽しくない
第一、話がまったく噛み合わない
彼女は体育大学出の
ばりばりの体育会系で
本などほとんど読んだことがないという
その点、俺ときた ....
詩を書こう
とびきりの詩を。
読んでくれ
生まれたばかりの子供のように
初めに言があったとは
聖書のお小言として
身にしみてくるのは
お塩の塩味
また聖書が問いかけてくるのは
塩に塩味がなくなれば
どのように塩味をつけようか
塩味と命名したのは
神様の勝手 ....
雨はずるい
ひとつぶは冷たくないのに
大勢でかかって
すっかり冷やしてゆく
いつのまにか
私のカラダは冷え切ってしまった

だから
あなたの存在が
唯一のヨリドコロにおもえて
私は ....
詩で
人に賞賛されたいと思う


それは
誰にとっても叶わぬ願いだろう
行きつけの寿司屋でマグロを食べた
昨日のこと


川べりにもたれて子猫と会話する
歌を歌っていた

 ....
静かになりすぎて
困った私は大きな
はさみで夜を切ってゆきます

ぺらりとめくれば
昼間の太陽があって
すみませんが音くださいと
お辞儀をしてもらうの

太陽だって別に悪気はなくてね ....
しんどいねん
あなたがそう言うから
うん って答えた

いいことあったんよ
あなたがそう言うから
うん って答えた

しにたい
あなたがそう言うから
うん って答えた

あなた ....
僕は台所



聞こえる水の音・・・



ほとばしる


ドレミ



床に落ちた瞬間に
奏でる



ファソラシ



消えてゆくときに ....
食欲がなくなったうさぎの糞に異物が混ざっていたのであわてて医者に連れて行った

催花雨降る午後3時
猫が毎日パトロールする学校の裏庭ではメトロノームだけがなっていた

医者は云う
「球体からの指令 ....
震えてからすこし
脱皮をしました
ちいさなかたちになって積もっていく
昨日までのわたしでしたそれは

ずっととどまっているそこにいて
爪を磨いているひとの温度は
ちょうど夜を ....
強がりしかいない国
君と僕もまた例外でなく

弱さなんて
いつのまにか鍛えられる
そうでなければ
前をむくこともできやしないから

だいじょうぶ
そういうことでしかゆるされない
君 ....
ぎゅっぎゅと十本の指で
つくりだすお料理
言葉だってそんな風に
指を丸くするでしょう

にぎった鉛筆
注がれる瞳は
まるで文字になる想いを
食べるようでしょう

夜とそれ以外の時間 ....
二人で海に行ったのは
あれが最初で最後だった

二人で並んで堤防を歩きながら

貴方は地平線を見て
遠いね、と笑い
私は貴方を見て
遠いですね、と笑った

貴方の涙はきっと
この ....
あなたのあしおとに世界は絶望した


    理性が邪魔だ


まっすぐな瞳と誰が決めただろう


    正しさを解体した


手を差し伸べるなら最期までついてきてくれま ....
とろけるような綿菓子だと思っていた


濃厚なコンデンスミルクだと思っていた


綺麗なキラキラのビー玉


真夏のサイダーの炭酸の煌めき


つららから垂れる雫


 ....
小さな薪がいつまでも燃えているような
雑然とした部屋の中で
冷たい風が僕の傍にあった
艶やかな声の為に白墨を幾つも食べた
僕は狼よりも孤独だった

僕の愛の歌はどれだけの人の傍を ....
わたしは生来みなし児であったので
血縁のおそろしさを知らない
また血の繋がりの
ありがたさも知らない
血の糸がもつれからみあい
愛憎きわまる悲喜劇に
みなし児らは失笑するの ....
無口な人は悲しげだ
無口な人はうれしそう

主人公って大抵無口だ
そんなに話さないのにどうして
人をひきつけられるのか
そんな気になる設定は
やっぱりテレビの中にしかない

無口な人 ....
フラットがたくさん並ぶ
その向こうに何が見えるだろう
はるか遠い未知の世界


シャープな雨降る季節には
豊かにきこえるカエルの合唱
楽しくもあり哀しくもあり


過去のおたま ....
{引用=





生きていくのに必要な
自分の命を数えたら、わからない
人に「1」だと教わっても
まだ、わからない
とても汚くつかってしまう


生きていくのに必要な
人 ....
喉のずっとずっと奥から声がきこえる

とてもたのしそうな叫び声に 紙がビリビリに破かれる音がまじって水びだしになったわたしの部屋は金魚が死んでいる

蛇口をひねる
吐きけがでてくる
なにも ....
夜空を聴診する
U・F・O
テキサスの広大な田園が
宇宙のカルテ
 

 
住所不定の人工衛星
ポップアップトースターみたいな
不思議なかたち
通信する明日の ....
 
 
夕暮れの公園で牛が一頭
シーソーに座っている
反対側にトンボがとまる
牛は少し腰を浮かせる
トンボは驚いて
飛び去って行った
しばらくして
男の人がやってくる
牛は腰を浮か ....
アツクなりきれない太陽も
そろそろ落ち着いて
そんなわけだから戻っても
もういいんじゃないかな

どきどき ばんばん 暴れ出し
駈け出してきたんだろ
吐き出す息も敵にみえて
苦しかった ....
その

ながい煙突は

をんなのまるい腕のやうで

その

やはらかい踊場は

灰色の砂糖のやうだった



あたしは

去年の今ごろも

この路をひとりでとおっ ....
夜がすき
真っ暗でも
えい と空を切り裂けばきっと
星も月も
むこうのページだってきっとある
そう信じているから

眠っている間に
くるる くるる まわる地球
いやなこと
悪いこと ....
あの日あなたは
この世からこぼれてしまって

涙が止まらないのはなぜだろう
瞳があって
涙腺があって
涙がこぼれて
そのことと悲しみにどんな関係があるんだろう


あの夜
寒い ....
想う ということは
一銭にもならないという
想う ということ
ただそれだけでいいという

想う だけじゃ
想っている だけじゃ
不安だという少年は
来る日も来る日も屋上で
想う が降 ....
安っぽいラジオから
哀しげなファドが流れて
甘ったるい洋酒が手元にあれば
アイムサティスファイド

おじさんだから、
このファドに抱かれて
この時に留まる。

もしかしたら  ....
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