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公園広場の人だかりに囲まれて
学ラン姿の少年は、笛を吹く。
指をぴろぴろ躍らせて
黒い瞳は{ルビ魚=うお}のよう。

楽しいメロディ奏でつつ
耳はだんぼに開いてる。
身も心も空っぽにして ....
つよく握りしめていた 
拳を、そっと開いてみる 

この掌は、いつのまに 
透き通ったひかりの泉が湧いてくる 
不思議な器になっていた 
ありきたりの日常に頬杖をつく人が 
目玉を丸めて、飛びあがる 
手造りのびっくり箱を 
日々の暮らしに、仕掛けよう 
ゴッホが描いた「{ルビ向日葵=ひまわり}」の 
地上に堕ちた太陽に 
人は感動するのではない 

今にも動き出しそうな 
何かを語りかけそうな 
「向日葵」の背後に視えるのは 

瞳の ....
夢の中に美人女優が現れたので 
ふら〜りと吸い寄せられていったら 
ぱっと姿が消えて、目が覚めた。  

隣には、妻が小さい{ルビ鼾=いびき}をかいていた。 

起き上がって、ソファに腰を ....
幕開け前の誰もいない舞台に 
一つの卵が置かれている 
(あの中に、瞳を閉じた胎児の私がいる) 

ぴしっと殻を破り 
世界に顔を出す瞬間を夢見て 
(胎児の小さい心臓が、高鳴っ ....
初めて飛行機に乗ったあの夜 
浮かび上がる機内の窓から眺めた 
地上に{ルビ煌=きらめ}く星々 

僕はしばらく、忘れていた 
あんなにも 
不思議な場所にいたことを 

標高3500 ....
布団に入った妻が 
すやすやと夢を見る頃 

すでに世を去った
妻の母さんの面影は 
安月給の{ルビ婿=むこ}を祝福しに 
何処か遠い国からやって来る 

机上の花瓶に咲く  
あふ ....
久しぶりの実家へ歩く道の途中で 
幼い頃からあったガソリンスタンドが 
跡形も無い、さら地になっていた 

少年時代にキャッチボールをした 
友達の古い家と庭を塗り潰すように
まあたらしい ....
一日忙しく働いた後 
たった五分でも本を読めば 
のんべんだらりと過ごしつつ 
一日一冊本を読むより 
開いた頁の一行が輝くかもしれない 

毎日なんにも悩まずに 
呆けた顔をしてるより ....
私の脳内で指揮者は独り、無人の観客席
の闇に向かって、手にした棒を振ってい
ます。青く浮き出た血管の手がくるり、
棒を一振りすれば、観客席の暗闇に、幼
年期の幸福のしゃぼんが一つ、二振りす
 ....
これからの僕は 
嫌な上司のみみちい小言を、撥ね返す。 
これからの僕は 
苦手な注射も唇結んで、ぐっと耐える。 

どうやら親父になるらしい 
僕は自分の弱さを抱き締めながら 
日常の ....
上野の美術館を出た帰り道 
焼芋屋の車が、目に入った。 

財布の懐が寒いので 
「半切りをひとつ」と言い 
小銭三枚をおじさんに手渡す 

紙袋からほっくり顔を出す 
焼芋をかじりな ....
草野春心さんの服部 剛さんおすすめリスト(13)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
笛を吹くひと__- 服部 剛自由詩614-8-23
掌の器- 服部 剛自由詩611-10-11
箱を置く_- 服部 剛自由詩411-8-16
ゴッホの瞳_- 服部 剛自由詩211-8-14
妻の寝顔_- 服部 剛自由詩511-8-11
誕生_- 服部 剛自由詩211-8-11
鳥になる_- 服部 剛自由詩211-7-16
母の面影_- 服部 剛自由詩511-6-19
空からの手紙_- 服部 剛自由詩411-5-31
夢の種_- 服部 剛自由詩511-5-9
音楽界の夢_- 服部 剛自由詩311-4-12
新米親父の詩_ー胎児の合図ー_- 服部 剛自由詩611-4-10
芋と言葉_- 服部 剛自由詩8*11-3-22

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