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もうだいぶ短くなった青鉛筆を
今日も必死に削っている
先を細く細く尖らせなければ
気がすまないんだ
そのくせ
極度の尖端恐怖症なものだから
どれほど尖っているのか
目で見て確かめることも ....
1.
すき
きらい
どちらでもない
ひとひらの
花びらを海辺にすてに行く
指先が君を呼びかけていて、長袖を捲ることが
できない
もう知ってるんだ
この先で
海辺の声 ....
私らは
あなたの為に
集まった
何年振りか
何十年振りか
集まった
微動だにせぬ
あなたの為に
何も知らない
あなたの為に
思い出す
夕暮れの微笑みは
私の為ではなかっ ....
壊れてゆく世界の音に耳をかたむけながら
だいぶふくらんだお腹を撫ぜて
ロボ子さんは懐かしむように目を閉じる
かつて自分が生身の身体だった頃の
あのむせるような夏の匂いや
頬をすりぬけてゆ ....
車に轢かれた「ただいま」があった
この持ち主はきっと
今頃帰る家がわからなくて
公園のベンチに体育座りしているのだろう
蒸し暑いこの季節になると
「ただいま」がそこいらで車に轢かれて ....
微かな音だけになって
宇宙に放り込まれたみたいに
地上の星屑が
夜を点滅させる
(七色の輝きの物語りを
伺うことはない)
ただ
静かに
....
道路をわたった向いのコンビニの怠惰な
額の奥にひかりがともってる
「今とてもしあわせだよ」
何度もこの台詞を繰り返す
高速道路の壁を国産車が
ぶち抜いていく
アンデッドなボディーとソー ....
{引用=
***
}
ベッドの下の人たちを看取る
{引用=
***
}
自動二輪の音がきこえるしんしんと
暗闇にほの白くうかぶアークは
かわらずまわっているのか
確実の ....
(1)
明日と言う日の訪れを恐れるときがある
気を紛らわすことさえままならず
早々に床についたとしても
考えるのは埒のあかないことばかりで
苦し紛れの寝返りを打てば
人の気も知らず目覚 ....
波の匂いがする。
まぼろしはわたしをさらうことはしない。
やさしさという風が、角のコンビニエンスストアに入っていった。思わず後を追う。ああ、ここにはいつも、誰かがいる。自動ドア ....
排他的な女の子は空を所持している。
その底のほうには、白くてきれいな宇宙船や、手垢できたない算数の教科書、軍隊の格好をしたキューピー人形や、プラスチックのマニキュアの瓶が、ざくざくとはめ ....
羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
+
眠れないとき ....
カサブランカ
生まれてきたのだから咲きなさい
生み出されてきたのだから
生み出されずに
生まれてきた生命はいない
自分で自分を産むことで生まれる生命なんてない
カサブランカ
生ま ....
すこしだけ怖いことを考えたくて
夢の中で君を消した
白い朝がやってきた
さよならが乾きたてのころ
・
・
・
机の上に散乱する単語帳
角が折れてめくれてゆく
覚えることと忘れないこ ....
・
ポストには請求書ばかりが届き
携帯電話の受信フォルダは
迷惑メールでいっぱいだ
履歴書を書けば誤字脱字ばかりで
修整液はとうに使い切ってしまったし
紙屑ばかりあふれる部屋で
どう ....
{ルビ鳴家=やなり}という言葉よりさきに
ラップ音という言葉を覚えてしまった。
部屋の片隅なにもないところで
ごく局部的に温度が上昇または下降し
はっきりと物質化したエクトプラズムがあらわれ
....
トモダチは
トモダチを救えない
救っちゃいけない
救うと言うことは
同じ地平にさえ
いないということ
少なくとも
この闇の彼方の
どこかで
そいつの
うごめいて ....
オルゴールは卑怯だ
どんなに興味のないJポップも
いや時には嫌悪する曲でさえ
オルゴールで聴かされると何だか癒されちまう
職場で休憩室に行くとオルゴールがエンドレスでかかってるから
おかげで ....
陸があって
呟きがあって
知り合った
冬の夜に
繁華街の路上に
落ちた割り箸の
片割れみたいな
よごれ方は
気に入ってる
夏の
失明する真昼に
無数の甲虫が光って
あぶらぜ ....
陽を受けてさわさわと葉を寄せ合う花壇
花の名前はしらない
あたしたちってあんまり集まれないからとっても困るね
理由もなく群生する川辺とかが
一色に染まりがちな秋とか
春とか夏とか冬と ....
* 1
愛無しには生きられない
わたしは本気でそう思っていた
* 2
あの水着もそうなんだけど
これもなんだよね
目新しさは常に外側からやってくる
そんな時代になった ....
あらゆるまがりかどの公園の
無人のブランコ
ばかみたいにゴミ箱の中身はちらかったまま
カラスが群れる
夜道切り分けて曇り空は進む
ガラス窓が割れて
流線型で情報が流れ込んでくる
ひき ....
タンゴの旋律に
呼吸を合わせるように
茜色のロウソクの火が
ゆらめいている
凪だった{ルビ水面=みなも}を掻き立て
眠っていた感情に爪を立て
ゆさぶりながら
身体の中を貫 ....
あまりよく、覚えていない
ふらふらと適当に帰りついた夜
白く重たいドアの先で
お父さんが
ガチガチに冷凍されていて
あれ、しっかり保存されていたんだ
そうドアの前の過去に
気が付つい ....
月曜日
仕事から帰って
メイク落としシートで顔を拭いた
ゴミ箱に捨てる瞬間
シートがため息を吐いたような気がした
火曜日
上司に怒られた
理不尽なことが世の中には詰まっていて
....
先生
ボク帰って来ました
この教室に
円周角やら
関係代名詞やら
習った
この教室に
先生
あなた方が座っていた
デスクに
今
ボクが座っています
こんなにも
広かっ ....
死んでいくことで
踊っていける、たった
ひとつの
空だけを
おぼえている、
わたしか、きみが
いるために
誰かがいる、場所
ぱちん、と、弾ける音は車に掻き消され
なんか、弾けたんじゃない?
なにが、弾けたのだろう?
少し、痛い気がするわ
棘でも、刺さったのかしら
でも、もう痛くはないけれど
雨は夕方から降り ....
焼きはらわれた、夕暮れ
に
わたしたち
それぞれは
ただひとりの者として、
心を
あつめている、
ひときわ明るい光に
焼き
はらわれて、誰でも
いいような
ただひとりの
者 ....
一瞬 一瞬 が
連続 して
動いて いる
呼吸(いき) を して
いる
血液 は
その 流れ を
止まない
心臓 は
規則 正しく
「時」 を
すり減らす
動い ....
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