すべてのおすすめ
薄暗い
漠然と広がった
空間のなか
台形の
ノッペリとした
大人の背丈半分程の
鉛色の工作機械が
等間隔で何台も
一列に並べられている
大きな金属音があちこちから
互いに呼応す ....
風のつよい朝は
こころの傷が浮かびあがる
神聖な朝日に触れられて
恥ずかしげに
うずうずと傷がうごきだす
傷は
しんぞうから流れる
からだのなかの
赤い悲しみの出口で
....
人生にもゴミ箱が必要だ
私が自ら落とした塵と
人が落としていった塵とがたまってしまうからだ
眼に止まっても直ぐには拾えないが
いつまでも放置しておけない
その内拾い集めてゴミ箱へ
....
お言葉ですが、と言った男
確かに言葉に違いない
うまく喋る
来年の言葉も昨年のように喋る
言葉は耳で聞くものではなく目で見るもの
肉体だからね、目で見る
山下君、山下君だったね
はい ....
暗いと不平を言うばかりの人がいる
それを聞くにたえられずに
手探りで明かりをつけた人の目は
視力を失っていた
眩しい光は嫌いだ
たえられない
と言って
暗い部屋に籠る人
その心 ....
歩き疲れてベッドに横になった
からだがスライムみたいに
ひらべったくのびて
平面と化していく
目も鼻も
どこにいったかわからない
耳だけはラジオの音をひろう
手も足もシーツの端から
ゆ ....
私が見ている光景と
あなたがたに見えている事件は違っている
ということを
驚きとともに思い知る事がたまにある
でもあなた方が一斉に
同じ景色を見ているのだと思うのは
たぶん私の錯覚で
....
生まれて今日まで
濃厚なキスさせて貰った記憶ない
どうせさせて頂けるなら濃厚がいいからさ
でも
キスって、させて貰うんじゃなくて
奪い取るもんなのかな
俺って軟弱な意思の
意 ....
冷たい眼と
温かい眼の温度差ってどのくらい
それを計る温度計があるとしたら
見る人と見られる人の
見えないところに隠されている筈だから
体温計みたいにピピって鳴って
引き抜いて確か ....
わたしはさいきん
けずりぶし
いえ、最近じゃなく
常時そうなんです
ふりかけられては
振り落とされては
そこが あつかろうが
さむかろうが
おどっている
おどらされている
....
生きている道
生きていく道
途中踏み切りにぶつかる事は何度もあった
無情に遮断機がおりているときは
じりじりと待たなければならず
運よく遮断機が上がっていても
慎重に渡る必要があった
....
鉄を歩く
乗りもの置場の跡地
人は生きる
舌の根が乾く
抱きしめられたまま
父などは逝った
公民館に隣接している朝市で
複数のものを見る
入れるものがないのに
さっきからポケ ....
青、
樹間に揺れ
白い巨鳥、
羽ばたいて
私は行く
天に呑まれ
光の矢、光の矢!
蒼穹は割れ
漆黒の宇宙が唸っている
遠く太陽は爆発し
ちょっと耐えて
触れずにいた、かさぶたが
ぺりっと めくれ
新たな肌が日に照らされた
ほんとうは
回復しよう、しよう、としている
皮ふも 心も
まるごと
川の流れにゆだねた ....
午後が落ちている
歩くのに疲れて
坂道を歩く
人だと思う
エンジンの音
やまない雨の音
降り積もる
昔みたいに
曜日のない暦
夏の数日
確かに生きた
覚えたての呼吸で
....
辺りを見渡せば意図塗れの言葉を吐いてる魂の貧民窟に住んでるやつら
俺が笑っているのはお前らの自尊心がひどく間抜けで仕方がないからさ
いまその場で誰かをやりこめることしか頭にないんだろう
目先の価 ....
月光螺鈿の庭で会おう
このかなしみは
悲しみでも
哀しみでもなく
ただ透きとおるばかりだから
ふたしかさの中でしか
結べない約束を
たぐりよせるほかに術はないから
月光螺鈿 ....
摂氏零度。麓の畑のビニールハウス。
その脇に放置された時代物のセダン。
「使い古しでも、役に立つことを証明せよ。」
すべてが命ぜられるがまま。
俺らは車体を、割れた窓まで銀色文字に塗りかえ、
....
青よりも青い空から
工事用クレーンで
吊り上げられた太陽は
高層ビル群にロゴマークの入った
希望をぶちまける
ぼくの視覚と触覚は
ガラスとコンクリートに跳ね返され
聴覚は重機械に押し ....
光に照らされ 透けて見える川底
流線型の魚影が うつくしい
フォーメーション
薄雲が川に陰りを与えると
失われた魚の影
代わりに現れたのは 鱗の煌めく魚たち
わたしは、だれとも 会 ....
今日も
ボックスに入り
ボックスの電源を入れ
ボックスを叩くと広がる
ワーク・スクエア
ぬくもりのある
白いスクエアをいくつも広げて眺める
その片隅に
小さな赤い
サークルは ....
(ああ、秋の空は露草を集めて染めるのですよ)
(あれこそまことの青ですわねえ)
天からつゆくさが降る、
つゆくさ、つゆくさ、
地が青に染まる、
つゆくさ、つゆくさ、
どこかで鈴がちりり ....
まゆこちゃんは
ぶらんこをゆらして
ときどき
がむをふくらませて
あしをゆらして
そらをみていた
ふうせんは
かぜにながされて
すぐにみえなくなった
そんなにたいせつなら
....
横断歩道の
真ん中辺りで
立ち止まる
逆行が背中に
突き刺さって
立ち止まる
誰にも気付かれず
すれ違っていく
自動販売機の
真横に立って
空を見上げる
夕日が瞳 ....
わたし 娘だった頃 夜歩くのが好きだった
公園の木に挨拶し
のみならずこっそり名をつけて
木の肌に手を押し当てては
そっと名前を呼びかけた
誰もいない真夜中ならば
抱きしめたりもした ....
おっぱいパブには出口が無い
おっぱいを揉むという行為に夢中になれる時間はとても短い
以下は早めに終わってしまったために持て余した時間を利用したインタビューです
この仕事以外に何かしてるの ....
霧吹きのような雨はふかみどり
胸の奥まで吸い込んで
わたしは森になる
しばらくすれば
じゅうぶんに水を含み
耳を傾ける
彼らは
永遠を指し示すこと ....
水面を見上げると
ちいさなおんなの子の顔
こちらの様子が気になってしかたないのか
大きくなったり小さくなったり
*
わたしだけの世界
酒屋さんの軒先に置かれた古い火鉢
....
ほら横なぐりの
ぼたん雪のなかを
回送バスがはしってゆく
窓を曇らせ
満員にひしめいた乗客の気配だけを乗せて
がらんと無人の灯りを点して
回送バスがはしってゆ ....
(出だしはハイトーンボイスでお願いします。)
ああ
はしたない
夢を追い続け
ああ
いつの日か
本物見てみたい
(ここからは妙にこぶしが効いた低音でお願いします。)
週刊誌のグラビ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54