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この拳
空気の鏡にめり込ませた
英雄は、寂しいもんかい、
暗い顔をして笑ったのは
そうさ、
このおれさ
この拳
空気の鏡にめり込ませた
英雄は、 ....
もう、
どこからどこまでが地図だったかなんて
関係なくなって
美しいことをいうよ
きみはきみで
ごらん、
すれ違う人々の両手には、何か
約束のようなものがぶら下がっているね
....
カウ・ボーイがあたしに言った
「忘れ物だよ」
あたしは
忘れたんじゃない
わざと置いていったのだ
もう
いらないから
「よかったら
あげ ....
意識には軸がある
眠る独楽のように
外からは静止しているように見えて
存在を大地に穿ってゆく
そして
頂は常に天を向き
宇宙の何処かにあるであろう
とおい故郷を指し示す
独り楽しく ....
もう何がほしいというでもなく
この手を伸ばしたところで
ただ風の音が吹き過ぎるばかりです
( 飢えた狼の輪郭は透けて・・・ )
「ここは、なんにもない場所です」
そう呟いて落とし ....
ああ
いくつもの候補があったよ
さくらとか、みかんとか、まりんとか
植物や風景が多かったかな
もう生まれてくる季節なんか
どうでもよくってね
まろんとか、こなつとか、みさきとか
次々 ....
夢の中に落とし物をした日の朝
猫になっていた
仕方がないので
夫を会社に送り出してから
家事は明日にしようと決め
日向ぼっこをして過ごし
夜になったので眠った
明日はせめて、猿になりたい ....
雪が散り舞う
気の遠くなる場所から
此処まで君らは降りてきた
君らが人間なら
乾杯といきたいところだ
どうやって来たんだ、
重力で来ました、
途中大変だっ ....
「ねえ、良いだろ?」
何が良いんだかと思いつつ
とりあえず
あなたの左腕にしがみついてみる
押し付けた胸のふくらみに気づいたらしく
慌てふためく様子が可笑しくて
かまととだとか ....
ノックをしてみる
と、きちんとノックが返ってくるので
僕は待ってる
春になって数回目の風が吹く
見上げる空の青さも
鳥の羽ばたきも
風にさらされている皮膚も
本当は多分
言葉でしか ....
堂々としていよう
国会議事堂や平等院鳳凰堂よりも堂々としよう
いやもう城になろう
武田信玄も言ったじゃないか 「人は城 人は石垣 人は堀」って
俺は全国の城さんと石垣さんと堀さんが羨ましい
....
鳥の名前を覚えることから
始めようと思うの
と、その人は言った
たとえば、つばさを一瞬たたんで飛ぶ
あの鳥の名前を覚えたら
あの鳥はもう
見知らぬ鳥ではないでしょう?
さらりと雪 ....
素数ばかりの現実を逃れて
羊水に包まれたような充足と安心を
浅い眠りに{ルビ貪=むさぼ}る、朝
休日の
{ルビ繭=まゆ}の内に垂れる
一本の危うい糸に吊るされた体躯を
淡白い光りの方角 ....
君の延長線上には
何があるのかと
不意に話しかけられた
恵比寿の高架下を
歩いていると
腰あたりに
大根をぶらさげた
白いランニングに
バミューダパンツを
履いた男に
....
恋人を亡くし
自らのこころを立て直そうと
遠い旅先で
免許取得の合宿に入った君は
今日初めてのハンドルを握った
仕事から帰った僕は
君のブログの日記を読む
「ギア ....
{引用=からだのすべてを耳にしてしまいたい、いっそ}
糸電話から伝わった振動が、
あのひとの声だったと気づいたときには、もう
音もなく、底はふるえない
わたしを塞いでいく夜にも ....
公園でパンを
食べていると
Justiceと書かれた
Tシャツを着た
欧米の人に叱られた
大地にパン屑が
こぼれているじゃないかと
顔を真っ赤にした
欧米の人に叱られた
夕方 ....
「取れないのよ」
薄紫の煙草のけむりのような輪を
月桂樹の冠みたいに
ぐるり と頭にのせて
隣りの席でカノジョがボヤいている
アノヒトのことが
頭から離れないと言う
そう ....
真夏の夜だ。
蛙の鳴声。その、むせ返るような自由さ。或いは、
青春の悪徳を手に―体育倉庫から盗んだバレーボールを片手に、
的外れなコートの上に、田んぼの中にぼくらは突っ立っていた。
「試合よ ....
正気を失いながら、それでも
わたしたちは、生まれてしまうのだろう
何度も、何度も、
そしてほんとうは
一度だって、死んだことはなかったのだと
臨終のそのときに、知るのだろう
....
知らない町をゆく
晴天が聳え
すかんと何もかにも失せている
なるべくうまく置きざりにされて老いぼれたい
乾きたい乾きたい ああ
かあ わ きたい の
曲がりくねった坂道むちゃくちゃに ....
一秒ごとに
とどまる
時間が
抜殻として
輪郭を残し
なだらかに
連なる
呼吸と
思考
いくつかは保たれ
いくつかは置かれたまま
ふりむけば
うすい
半透明の
殻が ....
ふたつの手のひらを
使いこなせない昼下がり
耳を澄ませてわたしは
しずかに風を
遮断する
すべては
それとなく遠い気がして
けれども確証はなくて
言えずに続いた
....
音の屋台骨
しみゆくものと
頭蓋
ながれ
菜の花と
ことばあそび
五歳の
おとこのこのように
昔の幸せのように
毎年、節分の時期が近づいた頃
駅には近所の小学生の作った『鬼のお面』が飾られる
"上手な子"の作品が選ばれて飾られる
自分の作ったお面が飾られる子供は
近所の おば ....
ころがる
しずかな すいへいせんの上
あさ
お茶をわかしながら
てのひらで
背骨をなぞった
恐竜のように
そらへとつづく梯子の ように
あなたが
つづいている ....
(カウントして、さあ!)
笑えばいいかみさまのイコン
ついこないだまで生きていたと、信じないなら問題なかろう
すりこまれた誠意
フォルテッシモより馬鹿げたメルシー
ファイ ....
電球の切れた部屋は薄暗く
机の上のランプだけが部屋の隅を照らす
ゆれる煙草の煙
歪む視界の隅
眠気を切り裂く犬の遠吠えとクラクション
思い出すように右手で銃の形を作る
エアギターエア合 ....
かみさま って
ひらがなで書くのは反則だ
世界 ってやつをひっぱり出すのも
ルール違反ってことにしよう
そこから
おれたちはまず
書きはじめなくてはならない
雨上がりの
濡れた ....
使い古されたピアノが一台
早朝の小さな港から
出航する
ピアノの幅、奥行、高さ
しかもたないのに
言い訳をすることなく
ただ外海を目指していく
誰もが自分自身のことを語りたがる
....
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