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{引用=
とがった影は、みすてられ
切り取る冬の陽を証明する
見上げる円錐のモミの木から
どこまでも つらぬくように
まっすぐに伸びた
疑うこともせず、迷いもせずに
影を作り出し ....
台風の季節は
内川の水かさが増えて
びゅんびゅん橋が流されていく
毎年流されていく
助手席に深く座って
国道11号線のヘッドライトを目で追う
期待や倦怠で満ちた車内を
MJQ ....
古い鉄の欄干と、煉瓦倉庫と、にび色の水面
イースト・リバーに遺灰を撒いてほしい
ローワー・イーストサイドの
薄暗いアパートの1室での最後
(自由な精神は漂う)
過剰に言葉を組み立てる ....
生まれた命のかずだけ
追憶はある
みんな誰かしらの
何かしらの追憶なのだ
この夜も、あの朝も
昼間もあったか、夕暮れもあったか
七千年まえのナイルの少年の
....
ニコライ堂の鐘楼に
大きな黒い月が重なって見える夜
空気は鋭角の厳しさをもって
僕を立ち位置から取り除こうと
鈍くて黒い月光りが刺す。
ニコライ堂の裏を降りて行く坂の途中で
首の長 ....
生き残るということばが
あまりにも鮮やかに映りすぎている
この社会のサバイバルは わたしの中のサバイバルだ
誰かが死んでいくたびに わたしは少しずつ削られていく
削られていくたびにたく ....
指のさき
雪がひとひら、消えました
わたしの熱を、あら熱を
かくまうように
消えました
うなずくべきことなど
何もないけれど、
わたしは確かに
うなずきました
す ....
たばこのヤニで煤けたリビングの壁に一箇所
まるで雪景色を穿ったような真新しい壁紙が気になる
あのひとがわざわざ買ってきては飾っていた
贔屓にしてる野球チームのカレンダー
縦じまのユニフォー ....
夜半から降り始めた砂が
やがて積もり
部屋は砂漠になる
はるか遠くの方からやって来た
一頭のラクダが
もうひとつのはるか遠くへと
渡っていく
わたしは椅子に腰掛け
挨拶を忘 ....
一二の時まで、わたしは発光していました。
ちいさなわたしは
空き地のハルジオンの隙間に落ちていた
たくさんの欠片(かけら)を
拾い集めては、
序序にじょじょに発光していきました。
....
日頃の不摂生で
年の瀬に熱を出し
病院で点滴をした三日目
今日、初めて気づいた
点滴を吊るした棒の台車に
歩きやすいよう
掴まる取っ手がついてたことに
昨日、僕は点 ....
活けられた
あしも茎も
垂線のむこう
まなざしに分かたれ
きめ細かで
しべも口もまだ
ざらついていた
肌に
注がれ
開かれてゆくところ
注がれては
省みることを忘れた
めも鼻も ....
「ひさしぶり。元気だった?
こないだのアレ見た? すきだったじゃない。
じゃあ雑誌は? ずっと買ってたよね。
突然バックパッカーになったりしてさ。
・・・え? あた ....
僕は 今 丘の上に立って
不況のため売れ残りの目立つ
広大な分譲地内の家の屋根を見ている。
ちょうどあの時のように
あの時
僕は屋根の上に昇り
両足を抱えて
君の家の屋根を見ていた。 ....
十二月の
さみしい水の底から
きみのささやきに
耳を澄ませる
ふるえる感情の
ひとつ ひとしずく
その波紋
その不自由
どうして人は
急ぐのだろうね
日時計の影が
伸び縮 ....
やめてください!
写メ撮るのやめてください!
ネットにアップなんかされたら、家族や友人に見られるかもしれんやろ。
めっちゃ恥ずかしわ。
ブログにアップとか 絶対やめてください って ....
091211
蓄電池
差別される燃料電池と
太陽電池
非常用の空気電池と
ボルタの電池
アルミホィールと備長炭を
塩水につけて
電池を作る ....
きれいごと言うな
なんて言うな
こんなにきれいごと言わなきゃいけねえ時代はねえぞ
俺にこんなこと言わせるな
俺がこんなこと言うのは
どう考えても似合わねえと思うぞ
でも俺にはどうしても大事 ....
陽射しが強く射している
この昼下がり
僕は
あなたに会いたくて
空を見上げています
もしかしたら
雲のじゅうたんから
悲鳴を上げながら
さかさまになって
落 ....
年末の気忙しさに閉経後の人生を考えてみたりする
それはあまりにも取りとめなくて
生理用品の買い置きはどうしようかとか
明日から生理用ショーツ穿かなくて済むのねとか
不幸中の幸いにして生理痛とは ....
足もとのカラスは飛び去らなかった
朝のホテル街をふたりで歩いた
いいのに、でも、ありがとう、
女を駅まで送っていた
ぼくらはたとえ話のなかを生きている
これは、なにか ....
ぬめぬめとした
自分を抱き締めた。
皮膚呼吸をしているはずなのだが、
何かを塗りたくてたまらない。
空には暗いグラデエーションの夕暮れ
丘に登って見上げている僕は
ぬめぬめとした
....
※本作は、一部に過激な表現が含まれていますが、
あくまでフィクションであり、
特定の人物、団体を誹謗、中傷する意図はございません。
あしからず。
「先生、急患です」
看護[婦] ....
謝るのは簡単だ。
そう言ったのは、僕で。
今は、君が言っている。
僕の言葉は、君に届いて。
また、僕のトコへ帰って来た。
誰かに、伝えたコトは。
多分、自分に伝えた ....
回転を少し止めた朝は
おだやかな
エメラルドの生地で
ひとつの心臓もない
白い砂床に
波のつぶやきを聴く
貝の肉のような
とりとめのない柔らかさに憧れ
ギリギリと角質の擦れ合う ....
僕は夢想する
雲一つ無い青空に
ぽっかり浮かぶ黒い月を
僕は夢想する
鬱蒼としたジャングルに
飛来する原色の鳥達を
僕は夢想する
ジャングルの樹々の間を
悠然と歩む ....
脚で立つことの違和感では
耳や指に入り込む砂とは明らかにされずに
厚みですか
では開くのでしょうね
それがそれであるという意味
腕に噛み付くと大きな声を
抄本に
抄本へと
いくつもの皮 ....
{引用=殺風景。つめたい椅子のような
冬が。ぼくの骨をつかんでいる
夜は。まばたきをくりかえしている
枯れた此処に在るのはさ。枯れた現在
なんでもない路上で生きて。死んでゆ ....
無い物ねだりする人は
どっか悪い人に見えるらしい
でもね、当たり前の事だろう
隣の芝は確かに青い
もっと欲しいと言う人は
強欲だとののしられ
でもさ、当たり前じ ....
窓の外は真っ暗で、では部屋の中はどうかというと、これまた深淵のような、重力が不自然に働いているような錯覚がおきる場所だった
だからテレビが一日中つきっぱなしで、わたしの視野がますます狭くなる ....
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