繭
草野春心
殺風景。つめたい椅子のような
冬が。ぼくの骨をつかんでいる
夜は。まばたきをくりかえしている
枯れた此処に在るのはさ。枯れた現在
なんでもない路上で生きて。死んでゆくだけさ
生きて。ゆっくりゆっくりと死んでゆくだけさ
ひとは冬。枯れて、ね、死んでゆくだけさ、
さ、殺風景な此処、現在、なんでもないさ。
路上、ホラ、野良犬が死んでいるよ。そのうえに
でっかい、まあるい、ものがうかんでいるよ。そ。
そ。それがぼくの骨をいつまでもつかんでいるよ。
いつまでもいつまでもいつまでもつかんでいるよ。