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白いチョークで
道路にドアを描いている
白いチョークでは
どんなものも白く描かれるから
羽を描いても
飛ぶための空が描けない
だから僕は
ドアを描こうとしている ....
宵の衣の澄む空に
水を含んだ
月浮かぶ
果てを映したせせらぎに
火照る裸体を浸します
夢に染まった
つめたさが
しずかに狂って微笑した
(すわ)
終りにそなえて 花が咲く
こぼれる 刃
渡った眼 閉じる
光の ぬかるみに
紡いで 望む両手
つかえる やぐら
踏み 登りつめ
土鬼の から腹
澄んだ 眩暈
刈り取られる風
香り
塞いだ灯の
....
夢みたものは 何でしょう
呼びかけたのは 私だ と?
いいえそれは きっと気のせい
知らない小路に
迷い込んだの?
あやしい影が見えかくれしています
怖いのなら
ついて来ては ....
朝起きたら
郵便受けが手紙を{ルビ銜=くわ}えていた
切手はないのに消印はある
宛名はあるのに差出人がない
ちぐはぐな手紙
開けてみると光が入っていた
光はみるみるうちに封筒から出 ....
窓の外は
ひどい風の音です
のどが苦しく鳴るような
うねるような
激しさなのです
思わず私は
自分ののどを押さえます
ひどい風の音です
いま飛び出せば
何を吐き出して ....
目が覚めたらベッドにいたと言う方が
目が覚めたら浴槽にいたと言うよりも
自然なように
あなたの微笑みは
驚異的に自然だ
あなたは別れを告げに来たんだ
というのが今朝の大発見
乾い ....
世界で一番輝いているもの
それは夏の太陽でもなく
北風に瞬く冬の星空でもなくて
君が捨てようとしたもの
君がいらないと思っているもの
世界で一番輝いているもの
それはブルガリの ....
失礼します
残された時間はどれくらい
切りそろえた髪も伸びて薫った
(生きる?)と問うたが最後
もどらないもどせない
生きなければいけない
どこへいけない?
暗黒?
宣告 落果 ....
ある現実に落とされた
一粒の出来事は
どんなに大きな波紋を描こうとも
より大きな現実に吸収されてゆく
私たちはそれを
受け止めたり
跳ね除けたりしながら
けれど
その波紋の消えゆく ....
最後の赤を脱ぎ捨てた
紅葉の合間から冬の声が届くと
過ぎた年月は
あどけない写真に
痛々しく画鋲の痕をつけながら
かなしみを、ときめきを、
なつかしさのオブラートに包み込む
....
朝の
冬の
わたしだけの酸素分子が
冷たく、サラサラと
肺に触れてくれわたしは
震えました
少しの日のぬくさにも圧され
再び惰眠の目つきで
食卓に傾斜してゆく
....
風の筆で残す暗号は
地図のため息と
おたがいの足跡をかくして
いつも同じかたちに戻ろうとします
その度に行方は
なぎさに吹き寄せられて
波に、雨に、さらに細かく
見失ってしまい
....
つめたい予兆
つきぬけた青
零落した透明がふきぬけて
静寂の時が閃いた
冴えた旋律ふりそそぎ
ふるえる細胞 光を放つ
はてしない星の覚醒
あたたかい血の記憶
染まるための レッ ....
彩るうたを{ルビ口遊=くちずさ}む
こんな命があるかしら
{ルビ水=み}の{ルビ面=も}に蝶が浮いている
ちらともせずに浮いている
こんな命があるかしら
あすを知りえず浮いている
....
遠い冬に生まれた夏が、またこの冬に巡る
僕はあなたの手にそっと触れ、
けれど
僕はあなたに触れることができたのだろうか
夏が 自ずからの素晴らしさに耐え切れず
崩れてゆく幾つもの午後 ....
冷たい雪の降る夜に
わたしのからだは凍えてゆくから
わたしのからだは
小さくなる
わたしはわたしを抱き締める
冷たい雪の降る夜に
わたしのことを
わたしのほかに
....
底ひ無く
心 沈む
みあげれば あおい闇
青ざめてゆく風のなか
声も無く笑った
雨の夢は白らかに咲く
虹のもと影ろふ立ち姿
底ひ無く
心 沈む
みあげれば あおい闇
....
得た と思うと同時に失う
林檎の皮を剥いていく
螺旋が皿に垂れていく
果物ナイフに映る甘いかおりに
私は涙を告げる
何も動揺することはない
唇はかすかに震えているが
芯は蜜を湛え ....
曇り空を見るといつも
全てのことを正当化してしまえる
気になるけれど
その度に
雨が降ってくる
言葉は便利で
音楽は優しく
都合のいいお話は
いつだって楽しい
でも残念な ....
人は夜に音になって
躓かない程度に囁き合うらしい
朝が夜に向かうように
ページを手繰り寄せる
薄い絵の具を
筆の先で伸ばすように心音を
澄ませていく
夢を見る、ことを覚えてからは ....
重力に
負けそうなときは
2センチぐらい
地球とお別れ
ティンカーベルの粉
ひとさじ
ふりかけて
夜が明けると
私たちに
秋がやってきた
その意味が
私には
ようやくわかる
木々が実を宿し
さよならの準備をする
鳥たちが
それをついばむ
私たちは
あと
どれくら ....
どことなくストレス加減の昼休み
冷たい珈琲に浮かんだ氷を
ストローの先でつついたら
猫みみのかたちの小さな生きものが
ちょこりと顔を出した
頭痛の道連れに
こんな小粋な錯覚が訪れる ....
鳴かぬ 小鳥は
口止めされたのでしょう
ひとつ めでられたら
無くすよりも たやすく
このくちばしで
守るのは
明日の 春では
ないのです
月よ
明るい夜にしてくれないか
昼と見間違うほどの
白い明かりで照らしてくれないか
わたしがそっと
吐息を洩らす瞬間を
にぎやかなその光で
包んでほしい
そうして
で ....
落ち葉の鳴る、崩れ落ちる音
誰も妨げないテトラポッド
景色、静かな君を当たり前に思って
空に手を向けて
朝、誰もいない道に目を閉じて歩く
歌を歌えない
と気付いたのはいつだっただろ ....
頬を追い越してゆく風と
手招きをするような
まばゆい光
目指すべき方角は一つだと信じて疑わず
出口へと向かって
足を運んでいたつもりだった
不思議だね
振り返ることは敗北では ....
夕日を迎えようと
あわてて
西端だけ
昇る地平線
そのせいで
傾く景色
と
傾く地面を
....
薄暗い午後、
部屋の中にひとりでいると
不満、不安が沸いてきたので
十糸子のように
オレンジを買い、食べる事にいたします。
服を脱いで、リノリウムの床に座ってオレンジを掴む
ぼんやりと ....
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