波紋
ベンジャミン

ある現実に落とされた
一粒の出来事は
どんなに大きな波紋を描こうとも
より大きな現実に吸収されてゆく

私たちはそれを
受け止めたり
跳ね除けたりしながら
けれど
その波紋の消えゆく様を見ていない

先へ進むことは大切で
立ち止まっていてはいけないのだと



何処かで誰かが
涙を一粒落としました



その波紋の終末には
どんな結末が描かれるのかなんて
大切なことはそんなことじゃなくて

やがて静けさに溶け込んでゆくその

たとえそれが
大きな現実の輪の中の
ほんの小さな点のように思えても

一粒の出来事が
起こす小さな波音が
孤独ををなぞることのないように

誰もがそっと目を閉じれば
そこにはきっと

救える悲しみが見えるはずなのです


     


自由詩 波紋 Copyright ベンジャミン 2005-11-27 21:55:19
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